【神道つれづれ 55】 

※H30.1 発行「社報」 193号より

 

岐阜の山奥では、今でも大きく成長した樹木を伐採する際に、その樹の神様に、ご神酒をお供えし、祝詞を奏上するそうです。

これは、杣の作法に基づいて厳粛に行われます。

危険を伴う作業の安全を祈願することはもちろんですが、樹木の尊い命への感謝と、社会の為に適切に使わせていただく 約束も意味するものだったのでしょう。

 

太古の日本では、山の守り神となる樹木を、特別に大事にする風習がありました。

根元から枝分かれするもの。材としては使えないものでも、その勢いが特別であれば、その生き方に神性を見出し守り残してきました。

奥山に入る時は、その樹木に必ず挨拶をし、危険な動物に遭わないように、目的が達成できるように祈ったものだそうです。

 

近年、危険動物や、人を介して外来生物が、街中でも見られるようになりました。

いろんな原因が考えられますが、森林生態系ではありえない繁殖が始まっています。

太古のご先祖様たちは、どのようにして乗り越えたのでしょうか。

自然の驚異と対峙する機会は、昔の人々の方が多かったに違いありません。

だからこそ、先人たちの教えを学べたらと思っています。

 

本年も社報を担当します。どうぞよろしくお願いいたします。