【神道つれづれ 48】 

※H29.4 発行「社報」 184号より

 

日本最古の歌集『万葉集』は、『古事記』『日本書紀』と並び、古代人の深層心理を考える上で、欠かせない文献です。

中でも、万葉人の自然観を知ることは、自然信仰から発生した神道を考える上で、重要な手がかりとなります。

 

八百万の神々に繋がるものが、歌の中に見え隠れしているのではないか。学生時代そんなことを考えながら、私は『万葉集』を読んでいました。

時代が現在に近づくと、自然は景色となり、情緒的な歌に変わっていきます。

私は、美辞麗句を連ねることが苦手なので、歌の良し悪しを判断するのは難しいですが、ストレートに入ってくるような万葉人の歌には、愛着を覚えます。

 

万葉人は、自然とどう向き合っていたのでしょうか。どんな自然に興味を持っていたのでしょうか。先ずは、動物から考えてみたいと思います。

 

『万葉集』には、いろいろな生き物が登場します。中でも群を抜いて登場するのが、鳥です。

『万葉集』には枕詞が用いられていますが、意味がよく分からないものも多いです。 

 

飛ぶ鳥は「アスカ」にかかる枕詞。 自由に飛び回る鳥。空を見上げながら間近にやってくる鳥に、生きるヒントをもらっていたのかもしれません。

 

季節を告げるウグイス。 子育てが上手なウグイスの巣に托卵するホトトギス。

古代人はホトトギスが、ウグイスの巣に托卵することを知っていました。ホトトギスの声が響き始めると、初夏の風に変わります。

秋から冬に聞こえるシカの鳴き声は物悲しく、寒い冬の到来を教えてくれます。

寒い冬に、水辺にやってくる渡り鳥、ガン・カモの仲間。寒さに耐える術を知っています。

万葉人は、鳥との対話も楽しんでいたのかもしれませんね。

 

遠い古代に思いを馳せながら、時折、空を見上げてみるのもいいものですね。