マイ・フェア・レディ | み-なのブログ

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思ったことを書きます

2013/5/16 ソワレ
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」



photo:01



日本初演50周年記念公演
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」を観に行ってきました。
前回演出も映画も観たことがなかったのであえて事前に観ないで観劇することにしました。

物語は言うまでもないストーリーですが、ロンドンの下町で貧しい花売りをしているイライザは、ひょんなことから言語学者のヒギンズ教授の提案でなまりの矯正と淑女になるための礼儀作法を教わることになります。厳しいヒギンズ教授のレッスンに堪えたイライザは、見違えるような麗しき貴婦人へ変貌を遂げ、華々しく社交界のデビューを果たしますが...

振り返りながら映画を観ていますが、内容は映画とほぼ同じ?と思って鑑賞中。



イライザ・ドゥーリトル:霧矢大夢
ヘンリー・ヒギンズ教授:寺脇康文
ピッカリング大佐:田山涼成
ドゥーリトル:松尾貴史
ヒギンズ夫人:江波杏子
ピアス夫人:寿ひずる
フレディ:平方元基
アインスフォード・ヒル夫人:麻生かほ里









ねたばれの感想です。




下町の娘イライザは花売りで生計を立てています。
ある日オペラハウスの終演後、貴族がタクシーを待っているところに花を売りにイライザが登場。発した言葉が、かなりの汚い言葉の数々。なりふり構わず花を売っているのですが口が悪すぎて誰も相手にせず。
そうしたところ、イライザのことを影から伺っているから刑事に違いないと忠告する者が。刑事にしては高級な靴を履いているが怪しいため捕まえると、言語学者だといいイライザの出身地を見事当ててしまいます。
言語学者のヒギンズ教授はイライザの発音の悪さに興味を持ち、発音を独自の文字でノートに記録・録音していたのでした。そしてそばにいたピッカリング大佐と意気投合し、自分ならイライザを立派なレディにする自信があると豪語します。
翌日、イライザはヒギンズ教授の屋敷を訪れます。世間話程度に話していたヒギンズ教授の話を鵜呑みにして、綺麗な発音をしてちゃんとした花屋の店員になりたいと授業料を持参して。見かねたピッカリング大佐がイライザの援助をすることに。

やっぱり見所は、まずは、ヒギンズ教授がイライザに教える場面
さまざまな方法で練習をするのだけれど、ぜんぜん言えてないイライザ。
どうしてそんな発音になっちゃうの?ってくらい全然違う言葉を発していて。
かな~りイライラしてて、ヒギンズ教授の悪口を言いまくる歌を大声で歌いだす場面がかわいい。“みてろよヒギンズ”という歌の中で、「エンリー・イギンズ!」って叫びまくってました。
正しい発音ができたら炎が揺れる、なんかすごい装置が出てきた。イライザは言えてるような言えてないような・・・
チョコをえさに、正しい発音を身に付けたくて必死に発音の練習をしている姿が健気でした。日本語が言葉遊びになっていて、ピッカリング大佐の頭をたとえていたので面白い。まあ名前自体ピッカひらめき電球だし。

やっと正しい発音ができるようになって社交場である競馬観戦に出かけるのですが、イライザが登場するシーンはまるでお姫様が登場したかのよう。トレードマークでもあるストライプのリボンが印象的で縁の大きな帽子もかわいい。本当にオードリーみたいに可憐な女性に変身していました。言葉もまずまず順調で、フレディはイライザの話が面白い表現と妙に気に入った様子で馬券をプレゼントしてくれたのです。やっぱり賭け事は力入っちゃいますよね。ついつい興奮しすぎて汚い言葉の連発で意中の馬を応援しちゃうありさま。周りからかなり白い目で見られていました。この競馬観戦で初めてヒギンズの母に会います。
競馬観戦で大失敗してしまったイライザですが、一転、ホワイトが基調のキラキラドレスを身にまとい舞踏会では・・・

映画ではここでおしまい。見る側の想像に任されたわけですが、ミュージカル版ではその後が描かれているのですね。気付いたら映画が終わっちゃったので見逃したかと思いました。
舞踏会に出席したイライザは見事に立派な貴婦人となり成功をおさめます。ヒギンズもその栄誉を称えますが、イライザが急にふてくされ八つ当たりしていて、観ていて(何でそんなに怒ってるの?)と私の理解できない状態がしばらく続きました。
ヒギンズが何のねぎらいの言葉もなく、あくまでもイライザは研究対象としか見ていなかったというような発言をし、レディになったイライザに何の敬意を払わずに、街の花売り娘と同等に扱う態度が許せなかったらしい。本当はイライザに惹かれているのに照れ隠し? イライザの怒る気持ちもわかる。「ピッカリング大佐のほうがいい」と言って、またヒギンズの気持ちを逆なでして堂々巡り。いつも一緒にいて一生懸命教えてくれ、私のためにとことんやってくれる教授に惹かれてしまうイライザの気持ちもわからなくはないんだけど。イライザがどんなふうに惹かれていったのかよくわからなかったなぁ。B席から観たせいで見えなかった? 頭で無理やり理解した感じでした。慌てるヒギンズを観てやっと、(そーゆーことかー)と思ったのでした。

一方、思いを寄せていたフレディは家出したイライザに猛アタック。恋が実るかもと絶大な期待を寄せているのですが結局は残念な結果に。行くところがなくなったイライザはヒギンズ夫人の屋敷を訪れます。そこでヒギンズ教授の悪いところを言い合い意気投合。イライザを探していてどうしようもなくなり、母に泣きつきにきたヒギンズ教授はやっとイライザに再会し、嬉しいもののうまく表現できずにウジウジ。“ヒギンズ、しっかり~!”と皆が思っている中、やっと告白できたのですが、エンディングがちょっと中途半端な終わり方のように感じました。・・・おわり?・・・ここで?っという感じだったので、拍手のタイミングもパラパラパラと。もっとしっかり締めてほしかったです。

登場人物は上流階級の人達と庶民ということで、庶民の服装はベージュ系が多くてくすんだような色を着ている人が多い反面、上流階級の人々はシルバー系で統一されていたり、競馬観戦の時はホワイトが中心のモノトーン系だったり、舞踏会は華やかな色のドレスだったりとかなり豪華な衣装でした。全体的には競馬観戦の時の衣装が好きでした。

オケの方々は両サイドの建物のバルコニーにいて面白い配置でした。


ドゥーリトル:松尾貴史さん
イライザのお父さん。酒に飲まれている人でいっつも酔っ払っている。稼いだ金は全部飲み代になくなるんだろーな、こういう人は。仲間引き連れていつでも酔っていました。酔っ払いの歌も面白くてなかなかよかった。イライザがヒギンズの屋敷に世話になることになり家を出て行ったことを知り、ちゃっかり金の無心に屋敷を訪れちゃうだめ親父。でも親父さんの弁の達者さに、ヒギンズ教授の代わりにモラルに関する演説を依頼。
懐は豊かになったようで、のちに演説はうまくいったことがわかるのですが、「懐は満たされても心は満たされない…」なんて意外な本音をポロリ。まともなお言葉。結婚する気のなかった女がお金が入った途端に気が変わったことを嘆いている様子。お父さん意外と人情があって、たぶん面倒見もよくっていい人なんでしょうね。だけど、酔っ払い。どうにもならない世間を嘆いているのかしら?
松尾さん、酔っ払い役うまいです。お酒の力を借りて本音をぶちまける姿が時には痛々しかったりもする。製作発表のときから、いきなり歌いだすミュージカルがさっぱりわからないみたいなこと言われていましたが、今回の公演で気持ちに変化は起きましたかねぇ。


ヒギンズ夫人:江波杏子さん
ヒギンズ教授のお母さん。息子には意外と冷たい。いい年越えて結婚もしない(できない!?)、それでいて独身が一番なんぞとほざいている息子にホトホト呆れているのかなあ。社交界のご婦人ならばイライザを毛嫌いしてもよさそうなのに、息子が連れてきた彼女を暖かく迎えて相談相手になってくれます。二人ともまんざらでもない様子に息子と合うのはこの子しかいない!と思ったのでしょう。さすがお母様、恋愛が苦手な息子なんてチョロいもの。しかしあと一歩というところで息子の押しが足りないもどかしさに少々イラッとしている様子でした。


ピッカリング大佐:田山涼成さん
ミュージカルは初めてということで、田山さん、歌うのかなぁ? でも全然歌わないな、と思っていたら最後の最後に歌声を披露。もともとピッカリング大佐の歌うシーンは映画には出てこない(さっき知りました)のですが、やっぱり一度は歌っておかないとですね。頑張っていました。


ピアス夫人:寿ひずるさん
ヒギンズ教授宅の執事さん。寿さん、こういう役はもうバッチリですね。最初はイライザをこ汚い下品な娘程度に思っていたようですが、時間が経つにつれイライザを応援していました。


フレディ:平方元基さん
イライザに片思いしている、わくわくドキドキ感が伝わってきました。ほんと嬉しそうに歌うしイライザに会ったら常にニコニコしていて、純朴な青年なんだなと思います。ちょっとイライザのほうがお姉さん感があるかなあ。イライザを思って歌う歌は、恋が実れば良かったのに・・・と同乗してしまいました。シラノの時といい、報われない恋ばかりでかわいそう。

ヘンリー・ヒギンズ教授:寺脇康文さん
イライザを貴婦人に仕立てることに全精力を注ぐ教授。
独身貴族で結婚に夢どころか絶望しか思いつかない、ちょっと自己中的な面も。
くせがありちょっと偏屈さがあってもいいかなと思うのですが、あんまり灰汁の強くないヒギンズ教授に見えました。寺脇さんの人の良さが出てしまった?


イライザ・ドゥーリトル:霧矢大夢さん
花売り娘の時はちょっと言葉使いの悪い勝気な女の子だけど、ヒギンズの指導を受けレディに成長していくさまは
王道のシンデレラストーリーで女子が好きな話。言葉だけではなく振る舞い方までみごとにレディで美しかったです。恋愛ばなしモードで見ていなかったせいかベタな展開に面食らった感はありますが。よくよく振り返るとイライザはヒギンズが気になって仕方が無い様子だったっけ。
ちょっとがさつだけどかわいらしいイライザでした。




フレディのお母さんと女王様が同じ人っていうのはちょっとねぇ。あれ?お母さんが偉くなったの?って思ってしまいます。別の人、いなかったのでしょうか。
全体的には、イライザの魅力を存分に楽しめる舞台でした。真飛イライザはどんな印象になるのか楽しみです。