おはようございます、税理士の柿白です。

本日は、相続税・争続対策としての「死亡保険金」の活用のご案内です。

 

1.相続税対策として有効

 死亡保険金には非課税枠があります。「500万円×法定相続人の人数」までは、相続税がかかりません。

例えば、相続人が奥さん、長男、長女の3人の場合は、500万円×3人=1,500万円までは、非課税となります。

これは、とても大きなメリットですびっくりマーク

 預貯金で1,500万円を保有している場合は、相続税の課税対象となりますが、そのお金を終身保険に変えた瞬間に相続財産から除外されることになります(満期がくる保険ではなく必ず「終身保険」に入る必要があります)。

 

 以前と比べて相続税も身近になり、情報も入手しやすくなってきておりますが、まだまだご存じない方もいらっしゃいます。相続税の申告業務をさせて頂くなかで、これだけの預金があるなら死亡保険金に変えていれば良かったのに…、生前に相談をしてくれていれば…と思うことが結構ありますショボーン

 相続税対策の王道は生前贈与ですが、毎年100万円の贈与をする場合、1,500万円の贈与をするためには、15年間かかります(1人への贈与の場合は)。さらに税制改正によって7年遡り(生前贈与加算)となりますので、亡くなるタイミングによっては結果的に節税にはならなかったというケースもあり得ます。一方、生命保険への加入の場合は、1,500万円を一時払い終身の保険に加入するだけで節税が完結します。

 

2.争続対策として有効

死亡保険金は節税対策になりますが、その他にもメリットがあります。

①受取人を指定できる。

 相続が発生し遺言書がない場合は、遺産分割協議が整うまでは預金等の名義変更ができません。遺産分割に揉めてしまうと場合によっては、何年間も預金を解約できないということも起こり得ます。一方、死亡保険金は受取人を指定できますので、手続きをすればすぐに死亡保険金がおりてきます。これは、残された遺族の生活を保障するうえで、大きなメリットになりますびっくりマーク

 また、死亡保険金の受取人を配偶者(奥様)にしている方も多いですが、相続税が多額になるご家庭の場合は、跡取りの方を受取人にすることも重要です。一次相続の場合、配偶者は一般的に相続税の納税は発生しません(配偶者の税額軽減)。したがって、納税が発生するのはお子様ということになります。跡取りの方の場合は、不動産等を取得し多額の納税が発生するケースがありますので、跡取りの方を受取人にすれば、受け取った死亡保険金を納税資金に活用することができますグッ

 

②遺留分対策になります。

 死亡保険金は「受取人固有の財産」という扱いになりますので、いわゆる遺産分割の対象から除かれます。相続が難しくなっている時代ですが、跡取りは不動産を相続し、他の兄弟からはお金を要求されるということも増えています。資産価値の高い不動産ばかりであれば納得もいくかもしれませんが、そうでない場合は、跡取りの方の負担は大きくなります。

残してくれたお金で相続税の納税および兄弟への分配が可能であればよいですが、お金はすべて兄弟へとられ、相続税の納税資金がない…売れる土地もない…という状況も起こり得るかもしれませんあせる

 遺言書がない場合に揉めた場合、最後は「法定相続分」で相続します。遺言書がある場合に、他の相続人から遺留分を請求された場合は、「遺留分(一般的な相続では法定相続分の半分)」を支払う必要があります。前述のとおり、死亡保険金はこの財産からのテーブルが外れますので、跡取りの方やこの相続人へはしっかりと遺産を残したいという場合には、有効な手段となりますグッ

 ただし、死亡保険金が遺産に占める割合が多くなると遺産分割協議の対象となる場合があります。

 

以上のとおり、「死亡保険金」は、

相続税対策、納税資金対策、遺留分対策などに活用ができます。

ぜひとも、有効に活用いただければ幸いですニコ

 

岡崎市・三河の税理士 税理士法人クレサス