前回よりかなり時間がたってしまいました。
その7では、私は手術が好きで、縫合が好きというお話をしました。
ありがたいことに当院で手術を受けられた患者さんからは『先生に手術してもらって傷も残っていません』とよく言われますが、傷跡は必ず残りますとお伝えしています。
その傷跡がほとんど目立たなくなっているだけです。
手術を好きであればあるほど、傷跡をいかに目立たなくするかということを考えるようになりました。
あるとき二人の女性に対して、同日、同年齢、ほぼ同じ場所、同じような手術を行ったことがあります。
手術の際には、いつも同じではなく、各々の症例に応じて縫合の方法を変えていますので、同日に同じというのは珍しいです。
実はこのお二人には大きな差がありました。
それは日ごろのスキンケアです。
外科医が同じ手術を行っても、手術の結果が違う場合の要因は手術を受ける側にあります。例えばおなかの手術をする場合などは、感染していない方が感染している人より傷跡がきれいになるというのは皆さんお判りなのですが、皮膚特に顔の皮膚に関しては皆さん同じと思われている方が多いのです。
たまに私は年を取っているから治りが悪いといわれる方いらっしゃいます。
骨の場合は、そういうこともありますが皮膚に関してはあまり年齢の差はありません。逆に高齢の方の方が傷跡が目立たず、思春期の子供さんの方が傷跡が目立つこともあります。
つまりは年齢などより皮膚のコンディションが問題です。
ではこのお二人の女性はどういう違いがあったか。
お一人目は当院に2年以上受診していただき、私がお伝えするスキンケアを守っていただいているので、肌の状態が良い方です。
この方は抜糸後受診の際には傷跡がどこ?というぐらい目立ちませんでした。
もう一人は当院に受診されたのは手術希望で、本来ならば術前にスキンケアのお話をして改善したころに手術をするのですが、たまたまキャンセル待ちではやめに手術をされました。
お二人目は抜糸後再診時、傷が赤く周囲の皮膚も赤くなっていました。
私がスキンケアを強く皆さんにお伝えし始めた理由は実はここでした。
術後の傷跡がキレイになってほしい。
ひいては美容診療もきれいに終わってほしいと思うようになりました。
続きはその9で。