第4話【花嫁は密室の中でございます】
「ここでお逢い出来るとは…まさにデスティニーの悪戯…お名前をお聞かせ願えますか？」「夜空に星、カレーに福神漬、恋にライバル大いに結構！」「お嬢様！…先程は失礼致しました。レィディに名前をきく時にはまず自ら名乗るのがジェントルメンのならわしですねぇ…申し遅れました。わたくし、あの風祭モータースの御曹司で、警視庁国立署の警部！風祭京一郎と申します。」「そうです！結婚すれば玉の輿間違いなし！警察力を駆使して大人気店を貸し切ることでさえ可能です。…して、あなたのお名前は？教えて下さい、あなたのお名前を」「ウェルカム・トゥ風祭、この広い地球で、あなたに出逢えた事に感謝します」「これは、あなたの無実を勝ち取る為の戦いです。絶対に負けられない戦いがここにある！いいんです、ご安心下さい。あなたの無実を晴らすべく、今ここに舞い降りました、白馬の騎士が。」「失礼ながらお嬢様、このまま逮捕あそばされ、少々反省して頂けますか？」「お気にさわる事を申し上げたのならばお詫び致します。しかし、麗子お嬢様侮辱罪等という罪は日本の法律にございません。そして何より、今回の事件でもお嬢様の観察力不足は否めません」「かしこまりました。お嬢様…ただし、謎解きはこちらをお召し上がりになった後に致しましょう」「これからの人生を幸せに暮らして欲しい…きっとそのような思いが込められていたと、わたくしには思えてなりません。」「確かに大切な誰かを守ろうとする嘘は、時として美しいものでございます。…として賞讃に値するかもしれません。しかし、所詮嘘は嘘。真実には敵いません。お嬢様に置かれましては、どんな時でも真実を見つめる目を持つ事をお忘れなきよう。」「わたくしはお嬢様の事を、何歳くらいまで『お嬢様』とお呼びすれば良いのでございましょうか」「それまでにわたくしもダンスを覚えておきますゆえ、その時こそ、1曲お付き合い頂ければ」「いつか分かる時が来るわ。…あなたにもね」
第5話につづく