平田玉蘊(ぎよくおん) 「萩と小禽図」 紙本
横50.0㎝×縦123.0㎝
平田玉蘊の「萩と小禽図」である。大きな画面で左から右下に枝を伸ばしている萩の花を描く。全体的に保存状態もよく優雅な一幅となっている。
小禽(小鳥)は四十雀(しじうから)であろう。細い萩の枝にかろうじて止まり、いつでも飛び立てるように、全身で身構えている。小さな体にエネルギーが充満しているかのようである。
また、この画の特色の一つに、萩の赤い花の美しさがある。薄紅色の濃淡を利用し、萩の花の繊細ではかなげな美しさを上手く描いている。
萩の葉も手馴れた筆遣いで、葉一枚一枚、量感たっぷりと描いている。
画全体が手馴れた表現で、よどみなく描かれる。全体から気品を感じられ、玉蘊の円熟した境地を示す作品と言えよう。