平田玉蘊 「牡丹図」 菅茶山 賛 紙本
横28.5㎝×128㎝
平田玉蘊が描いた「牡丹図」である。この作品は、江戸期尾道の豪商亀山家に伝わっていた玉蘊の作品と言われている。
菅茶山の賛もあり、保存状態もよい作品である。
墨のみで、牡丹の葉の濃淡を表し、牡丹の花の魅力をよく表現している。
菅茶山の賛(七言絶句)が添えられている。
漢詩は次のように読み取れる。
李渓桃烏已成塵 ※烏ー土手
何処ノ風光カ慰籍草冠人 ※草冠ーむしろに座る人
獨有牡丹尤も解事 ※解事ーよく心得える
艶莊(米へん)緩緩向残春 ※緩緩 ゆったりしたさま
桃や李の花の季節は終わってしまった。
筵に座る人はどこで美しい春の景色を楽しめばよいのか。
牡丹だけが春の終わりの物足りなさを理解しており、
艶なる美しさで、ゆったりと残春に咲いている。
この作品も、菅茶山の漢詩が先に書かれ、その漢詩に合うように玉蘊が絵を描いたように思われる。
墨のみで、艶やかな牡丹の美しさをよく表現している。茶山の漢詩と玉蘊の水墨画が上手くマッチした一幅である。
玉蘊30代後半頃の作品であろう。