玉蘊 風景画の名品 (105) | okuda8888のブログ

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平田玉蘊 「高士訪友図」(風景画) 絹本  

             横41.5×縦115.0㎝

 

平田玉蘊の山水画の名品である。作品本体のコンデションが大変良く、200年近く経ったと思われない色彩の美しさである。

 

 

作品全体ではこ高士が二人の童子を連れて、友人の下訪れるという「高士訪友図」という南画的なテーマを描いている。

ただ、描かれている山々や川、友人の家などはすべて江戸時代の日本の景色と言えよう。

 

 

季節は春、3本の梅の木が満開で、高士の視線の先にある友の家を訪れているのであろう。滔々と流れている川の水も温かい色をしており、春の穏やかな雰囲気を醸し出している。

 

 

友人の家の背後には、幾重にも重なる山々が聳えているが、中国南画の世界の厳しい山々ではなく、あくまで人を包み込むような優しい山々である。

 

 

橋を渡る高士に従う童子たちの一人目は書物と瓢箪のお酒、二人目は琴と、清談するのにふさわしい持参物である。

 

 

 

今回の「高士訪友図」は一見南画の山水画を描いているようであるが、玉蘊は日本の情感のある日本の風景を描いているのであろう。木々の新緑も鮮やかであり、川の水も土手を削り悠々と流れ、背後にそびえる山々もゆったりしている。

この作品の最大の魅力は彩色が描いた当時そのままのように現代に伝わっていることで、この絵を見ていると、自然の造形の妙と色彩をゆったり味わうことができる。