平田玉蘊 江戸後期の尾道の女性画家 Ⅳ (45) | okuda8888のブログ

okuda8888のブログ

ブログの説明を入力します。

平田 玉蘊(ぎよくおん) (30) 「鹿に有明の月図」  絹本

                横30㎝×98㎝

 

江戸後期を代表する五人の女性画家の一人。今回紹介する絵は「鹿に有明の月図」である。

秋の夜が明けようとする岩の上に立って、有明の月を見るように立っている一匹の鹿を描く。

 

 

岩の周辺の薄が淡い赤色の穂を出しているので、季節は秋であることを示す。空は薄く明るくなり、まだ月が西の空に出ているので、有明の月と分かる。沈もうとする月のため、岩上の鹿より下に月があるように、描かれている。

 

 

岩場の周辺一面には薄の花が咲き、秋のもの寂しさが感じられる。それとともに、鹿が岩の上で、一匹だけで月を見ているさまは、孤独感や寂寥感を感じさせる。

 

牡鹿も体の文様や、顔の表情まで丹念に描かれている。擬人化されたような絵であるとともに、秋らしい味わいの深い絵と言える。

 

 

「画乗要略」で平田玉蘊は、「山水人物花鳥を作る。筆法勁秀(筆は力強く秀でており)、媚を以て工と為さず(媚びることをしない)。」と白井華陽は評価しているが、この絵は平田玉蘊らしい独自の境地表したものと言えよう。