(第8話)

 

叔父である阿部昇市の前で、浩太は神妙な面持ちで座っていた。

 

「・・・・浩太。お前、今回の原因をどう考えるんだ?」

「・・・・落ちたこと、ですか?」

「いや。落ちたことは仕方ないさ。相手があるもんだから。俺の訊きたいのはそういうことじゃなく、その過程も含めて、どうして悔いの残る結果になったと思う?別にこれは、責めているわけじゃない」

 

「・・・・なんか、たぶんマジになって勉強しなかったから」

「そんなこと、ないだろ。一所懸命にやってたんじゃないのか?」

煙草を燻らせる昇市。

 

「やったは、やったけど・・・。ま、上には上がいたってことかな」

力なく、浩太。

 

「・・・ホラ、叔父さんに何か言うこと、今日来たんでしょ」

母が浩太の背中を叩く。

 

「ああ、・・・・叔父さん、俺、いや僕はどうしても大学に行きたいです。なので、1年だけ、予備校に行かせてください。後からバイトして必ずお返しするので、予備校の入学金と授業料、30万円を僕に貸してもらえませんか?」

座布団と畳に、浩太は自分の額をこすりつけた。

 

昇市は微動だに、しない。

「・・・・ということで兄さん、なんとか、工面して貰えないかな、お願いします」

母も一緒に、頭を下げる。

 

少しの沈黙のあと、昇市はすっと立ち上がって部屋を出た。重苦しい沈黙が、通された仏間を支配する。浩太も母も、神妙な面持ちで昇市の戻りを待つ。