大江健三郎「憂い顔の童子」 | OKPARIS王様のBOXSTEP投資

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6月9日(日)


大江健三郎 

1994年ノーベル賞受賞 
断筆解除後長編
2000年「取り替え子」 

 登場人物(長江はじめ本作と同名)
2002年「憂い顔の童子」

 「万延元年のフットボール」である小説、「ラグビー試合1960」を著す、外国の文学賞を受賞し、名声を獲得した長江古義人の、帰郷後の周囲の人々との葛藤や、過去の因縁など絡め、、、ある種グチこぼし

読後感としては、大江健三郎って、青年期に熟成して、その後の半生に、獲得したものは、乏しい方だったのか、
持ちネタ(現・愛媛県内子町の森、大江光はじめ家族、安保)の「使い回し」としか、読めなかった。




・愛媛へのUターン
「奥瀬のホテル」「老いたる日本の会」

・ドン・キホーテを対照として、作家現在時をフィクショナライズしつつ人生を振り返る

「我が青春のジグザグデモ」の再現・・ドン・キホーテの戦い
他者の作中人物評(大江健三郎本人)として、本音を語らせる・・自虐 ※※※


・編集者の遠慮? 
ノーベル文学賞作家に直言しがたいか
文章が雑(読者放置・・過去作品の理解を前提) 修辞が淡白 オヤジギャグ


「シニアの読書」p468
リ・リーディング

自分の過去をリリーディングするのが目的の「読書老人」


長江古義人(こぎと) ←大江健三郎
千樫 妻
アカリ ← 大江光
マーちゃん

アサ(妹)

動(あよ) 山寺の長江家の青年 p34 古事記p57
ローズさん

「動童子」 別子銅山騒動
ゴード亀・・・何のこと?

塙吾郎 ・・・伊丹十三(千樫の兄)自殺

真木彦 神主(三島神社・同志社大学文学部)

ローズさんと真木彦の結婚 p248

新くん
カッチャン 
香芽(水泳)

松男 不識寺住

「若いニホンの会」p302.304

黒野
田辺夫人

医師 織田道夫 p359
ローズさんと回春

「若い日本の会」
江藤淳wikから

1958年には、石原慎太郎、大江健三郎、谷川俊太郎、寺山修司、浅利慶太、永六輔、黛敏郎、福田善之ら若手文化人らと「若い日本の会」を結成し、60年安保に反対した。



加藤典洋 評論家・実名 p488


※※※
p 234 【真木彦の討論】


しかしですね、さらに年月がたつうちに、長江古義人も反省した。反省せざるをえなかったのだろうと思います。永いなじみの出版社が、本が売れない長江からクセモノの若い女流に乗り替える。そういうこともあった。長江も人の子ですよ。人の親、障害児の親でもある。どうやってこれから食って行くか思案したでしょう。その点、翻訳のおかげで外国の大きい賞をもらったということは、幸運だった。それはその通りじゃないだろうか?

そこでこのところ、いったん書き加えた文章を、加えただけ別口を削って語調をととのえる、そういう工夫はしているようです。原理的にもね、沢山書き込めば意味が確実になるということはない…かならずしもそうでないと、自覚した様子が見られます。まあ、分りの遅い人ですね。

それでも長江古義人の考える文体は、それ自体特殊だし、あいまいでなく書くという、強迫観念にとりつかれている人ですからね。黙読する胸のうちに、明快なリズムの音楽が湧き起って、単純素朴な一行、一節に深い知恵が読みとれる、そのような名文へは死ぬまで到達できないでしょうが…・・・・
それでもね、私は長江の作品は翻訳がいいから外国で評価されたという・・・・・なんというかな

p233

南蛮激舌の原住民、長江が、西欧からの恩賜的庇護をこうむっているという感じの、それこそ原住民インフォーマント根性にはくみしない。文化的ポストコロニアリズムの議論を四国まで持ち込んではいただきたくない。

そして、わずかな数でいい、数千部単位でいいから、立ちどまり、立ちどまりしながら老作家の新作を読む。壮年の仕事を再読もする。そうすれば、なじみにくい言葉と思考が、あなた方のうちでいつか共鳴音を発し始めるのではないか?そういうゆっくりして深い読書の経験を、私はいまここにもいる若い人たちに期待します。


それでもね、なぜ当の経験のために長江古義人を選ぶと問われるなら、私に答えはないんです。ただ、私個人の思いをいわせてもらえれば、憐れを感じないか、といいたい。あいもかわらず、純文学一筋で、もう六十代も半ば近く、なお新作に悪戦苦闘してるんです。時には派手な実力行使もおやりになりますが、例外なしに無残な負けいくさのようですよ。
いま起った笑い声のみについてなら、責任は私にあります。反省を示して、総会本部から依顔されたコメントを終ります。

p234




善財童子像

白日会展から