あけましておめでとうございます。
新年最初の「TVCMを読み・説く」は、KONAMI「ウイニングイレブン(Winning Eleven) 」です。


冬休み、ゲームをして過ごしている方は多いんじゃないでしょうか?
「ウイニングイレブン(以下、ウイイレ)」は、大人気のサッカーゲームで、私も初代からのファンです。

なんといってもこれ、対戦が面白いですよね!


そのウイイレの魅力は爽快感とリアルさで、それを実現しているのが圧倒的な「技」の数です。
ウイイレが出るたびに「技」が増え、最近では覚えきれないくらい多彩になってきています。

対戦では、この「技」の熟練度がものを言います。


そんなウイイレですが、昨年12月のXbox 360とプレイステーション・ポータブルへの発売を記念したキャンペーン

『人生はサッカーだ。日常生活サッカー化宣言』

からCMの趣向が変わりました。


今までのウイイレのCMは、例えば中村俊輔と同じフォームでフリーキックを蹴る映像を流すなどリアルさのみをアピールしたCMでした(例:ウイイレ10「ぼくらの合い言葉篇 」)。


これに対して、現在放映中のCMでは「技」の数々を日常生活にたとえた面白CMになったのです。


CMでは例えば、

合コンで女の子の注意を先輩に引かせる行動を「センタリング」、

上司から受け取った書類を他の人に回すことを「ワンタッチパス」

と表現するなど、メタファーの隠喩(※)を用いています。


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KONAMIのWebサイト には現在(1月3日)、Web限定版も含めて16種類の「技」CMが掲載されており、今後も増えていくそうです。

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この面白CMの放映の背景は、新しいゲーム機「Xbox360」と「プレイステーション・ポータブル」への発売による規顧客獲得がねらいだと想像できます。

ウイイレのおもしろさを生み出す「技」の多彩さを、身近な行動に喩えることで、このゲームのおもしろさをうまく表現していると思います。



またウイイレの完成度の高さを証明するニュース として、アジア・オリンピック評議会が主催するアジア室内競技大会の第二回大会(2007年、マカオ)に

ウイイレが「Eスポーツ(サッカー、バスケ、自転車レース)」という種目の一つとして採用されたそうです。
「戦略で頭脳を使い、指先を動かす、れっきとしたスポーツだ」というのが採用の理由とのこと。

ついにゲームが遊びの領域をでて公式に競技される時代になりました。


※隠喩:頭で考えたことを、それと一見関係なさそうに思えるモノ・コトにたとえる方法 (村山 涼一「成功思考公式 」)


今年最後の「TVCMを読み・説く」。

第18回は今年の景気の良さに相応しい資生堂「TSUBAKI 」で締めくくります。


TSUBAKI_CM


「TSUBAKI」は、前回ご紹介しましたように今年の日経「第15回CMグランプリ」1位に輝きました。

圧倒的な販促費50億円をかけ、有名女優を次々起用したCMは今年のNo.1に相応しいと思います。

「春・体感」篇では6名の女優(仲間由紀恵、竹内結子、広末涼子、田中麗奈、上原多香子、観月ありさ)を、

そして「夏・宣言」篇ではさらに6名を追加(荒川静香、相沢紗世、香里奈、森泉、吹石一恵、黒木メイサ)、

「日本の女性にありがとう」篇ではさらに1名追加(内田恭子)しました。


いや~、豪華ですね~!すごすぎ!


資生堂では前田社長2005年6月就任時に「商品カテゴリーごとにトップのブランドを作る」という目標を掲げました。

大幅なブランド統合化を進め、そして「メガブランド」戦略を打ち出しました。


各カテゴリーの「メガブランド」は


 メーキャップ化粧品「マキアージュ」
 男性化粧品「ウーノ」
 低価格スキンケア化粧品「アクアレーベル」

であり、今回の「TSUBAKI」が第4弾ということになります。


そしてこの大胆な戦略により選択と集中を行うことで、1つのブランドにかけられる広告宣伝費を増やしたんだそうです。

(日経ビジネス2006年6月5日号より)


そして、そして、なんと!


本日(12/29)の日本経済新聞 (10面)によると、資生堂はついに

ヘアケア市場のシェア4位(15.4%)から1位(23%)になったそうです!


さらに資生堂は昨日(12/28)、次のCMとして「新春編」 を発表しています。
「“多彩な晴れ着”と“輝く笑顔”をテーマに、相沢紗世、内田恭子、香里奈、竹内結子、仲間由紀恵、広末涼子、吹石一恵、森泉の8人が着物姿で登場」するとのこと。


1月1日から見られるんですよ。楽しみ!


newyear


この調子でいくと、ランチェスター戦略(※)における市場影響シェア(26.1%)まで到達するのはもう間近と言えます。


本当に気持ちがよくなるくらい景気のいい販促で、私自身も昨日「TSUBAKI」を購入しちゃいました。


kahn

 写真は愛犬「か~ん」と「TSUBAKI」


ということで、今年はこれにて。
次回は1月3日(水)にアップする予定です!

それではみなさま、良いお年を!  (._.)オジギ


※ランチェスター戦略:小さな企業、あるいは大手企業でも業界4位、5位の弱い企業が強力な上位企業に勝つための方法

(詳細はwisdom を参照ください)

もうすぐ今年も終わり。でも今年の冬、全然寒くないですよね。

今日なんて、気温が20度近くまで上がるとか!

でも、年末なので恒例の行事が次々とおこなわれています。


その恒例のひとつ。

本日の日経MJ に「第15回CMグランプリ」が掲載されています。


  1位 TSUBAKI

  2位 もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング

  3位 au

  4位 えびフィレオ

  5位 AQUOS

  6位 AQUOSケータイ

  7位 ガス・パッ・チョ!

  8位 ザ・プレミアム・モルツ

  9位 あえるパスタソースたらこ

  9位 マキアージュ

  9位 金芽米


これを見て思ったのですが、今やっているCMで、まだまだ読み説いていないのがありますね!

ということで次回は読み説いていそうで、まだしていなかったことに気づいた「TSUBAKI」を読み説こうと思います。




さて本日の「TVCMを読み・説く」。第17回はH.I.S.「学生旅行」 です。

HIS


CM冒頭いきなり、新庄剛志氏が

「このCM、学生以外には関係ないから。学生じゃない人は見なくていいんじゃない。俺にも関係ないし。」

とジャンプを読み始めます。

学生以外は「なんだこりゃ」と思うのかもしれませんが、学生はこの投げかけに惹きつけられます


ターゲット(※)を学生にフォーカスすることで、学生の注意を喚起しているんですね。

CMでは新庄氏が喋っているのと平行して、文字で情報が流れていきます。

ターゲットの学生が、どのような情報が流れてくるかと興味を持って見ている姿が想像できます。


このCMは新庄剛志氏が野球選手引退して初めて出演したCMなんだそうです。

新庄氏はメジャーリーグで注目を浴びた選手ですので、海外を想起しやすく、旅行代理店であるH.I.S.とも相関性がありますね。また、調査によると 新庄氏は現在「気になる有名人No.1」、本日の日経MJでも「今後起用したい男性タレントの第6位」だそうで、今後も特に海外に関連するCMや番組でメディアへの露出度が上がる気がします。


また、CMで紹介している「誘ってお得 人数割」 というのは、「モバイルクチコミシステム」を使ったサービスで、ケータイでメールを友達10名に転送すると1,000円の割引クーポンと引き替えてもらえる仕組み。

こういう取り組みでも、H.I.S.が学生のハートをがっちり射止め、モバイル会員を増やすことで顧客の母数を確実に増やす工夫をしていることが分かります。


できるだけ安く旅行に行きたい、そして時間に余裕がある学生をターゲットとしたこの展開、うまいと思いませんか?


※ターゲット:マトや焦点を合わせる対象のこと。広告代理店はターゲットとする視聴者(広告ターゲット)を想定し、その望ましい反応の獲得を目指して広告メッセージを創造し、メディアを使って情報を伝達している。(宣伝会議 マーケティング・コミュニケーション大辞典 より)