「TVCMを読み・説く」。第22回はNTTドコモ「キッズケータイ「みんなのお守り」篇」 です。

外出する際の持ち物として必ずチェックするものは財布の次に携帯電話と言われる時代。
携帯電話は日々の生活に欠かせないモノとなりましたよね。

そんなケータイの普及率はすでに80%近くまで達してきています。

今回のCM「キッズケータイ」は使用ターゲットを子どもに絞り、「お守り」機能を盛り込み大ヒット しています。


kids

ところで、携帯電話はいつのまにか「ケータイ」とカタカナで表現されるようになりました。
これは携帯電話に「電話」以外の「メール」、「インターネット」、「お財布」、「カレンダー」、「テレビ」、「ミュージックプレイヤー」と機能が追加されることで、携帯『電話』ではなくなり、「携帯」が「ケータイ」となったのだと推察できます。


キッズケータイに盛り込まれている機能は「お守り」


子どもへの万が一に備え次のような「お守り」機能があります。


・大音量防犯ブザー音
・ブザー機能連動の通話発信、位置通知機能
・電源OFF時の位置通知機能


調査 によると小中学生の親御さんは、子どもの中学入学時や小学校進学時にケータイを持たせる比率が高いとのこと
なので、この時期にCMすることで、親御さんに購買行動(AIDMA(※))をおこさせるんです。


ケータイは機能がどんどん増え、持っている私たちとってはこれ一台で、いろんなことがまかなえるのような存在になりました。
次はどんな機能が盛り込まれるのでしょうか。



※AIDMA:Attention(注目)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の頭文字を取ったもので、アメリカのローランド・ホールが提唱した消費者が広告をどのように受け止め、情報を処理して購買行動に至るのかという消費行動のプロセスを示したモデル

(宣伝会議 マーケティング・コミュニケーション大辞典

「TVCMを読み・説く」。第21回は「ソフトバンクモバイル」です。

MNP(番号ポータビリティ)以降、いろいろと話題を呼んでいるソフトバンク。2006年末のCMも賛否両論のようです。
CMは現在YouTube ぐらいでしか見られません。


softbank

以下にCMの内容をご紹介します。

 ラクロスの練習後、グラウンド脇にて女4人組


 女4人「ごきげんよう!」
 女A「じゃあ試合の件は電話して、9時までに」
 女B「うん、携帯掛けるね9時までに」
 女C「キミちゃんにも電話するね」
 キミ「あぁいいよ、アタシに掛けるとお金かかるし」
 女B「あ、そっか。ソフトバンクじゃないんだ・・・」
 キミ「ごめん・・・」
 女B「いいよ、キミちゃんが悪いんじゃないんだし」
 女C「いいよ!」
 女A「そうだよ!」
 女C「気にしないでー」


 以下はテロップで
 <ゴールドプランなら、ソフトバンクへの夜9時までの通話が無料>
 <それ以外は21円/30秒、2007年1月15日までに加入した場合、基本使用量月2880円>
 <ゴールドプラン、ソフトバンクから>
 <友達は大切に>


CMでは、以下の2点を伝えています。

「ゴールドプラン」では、夜9時までは無料なので、学生は特におすすめですよ

   ↓そして、

周りの人はソフトバンクに移行するはずなので、あなたも移行してください


これはネガティブ・アプローチ(※)という手法をとっており、説得力があるやり方であり、ソフトバンクに移行したほうが良いことを伝えるわかりやすいCMです。


しかしこのCM、特に最後の「友達は大切に」の部分がいじめにつながるとして、かなり批判を浴びており、ネガティブ過ぎてしまった感があります。


ソフトバンクでは1月15日の「予想外割キャンペーン」終了に伴い、「※印(注釈)」なしの新料金プラン「ホワイトプラン」を1月5日発表 しました。
「ホワイトプラン」は基本料980円/月、通話料無料(1~21時)・21円/30秒で、付帯条件が全くないプランだそうです。
ソフトバンクは今まで「予想外割0円」CMやブラッドピット・キャメロンディアスを起用したCMなど、かなりインパクトがあるCMを連発しています。
次の「ホワイトプラン」CMは福岡ソフトバンクホークスが登場するCM なんだそうです。


ちなみに、ソフトバンクモバイルのWebサイトも白色のみ 。何も書かれていないところが「予想外」です。


※ネガティブ・アプローチ:企業が広告を用いて消費者に接近する方法として、広告されている製品・サービスを購買・消費することにより、避けることの出来るネガティブな情景を表現する。(宣伝会議 マーケティング・コミュニケーション大辞典


「TVCMを読み・説く」。第20回は三洋電機「eneloop 」です。


先日「Wii」のTVCMに関する記事 を掲載しました。

この原稿を掲載後、どうしてもWiiが欲しくなり、ジャスコの抽選会に並び、運良く購入することが出来ました。

正月休み、実家にWiiとともに帰省し、両親にWiiを紹介。

二人ともたちまちハマってしまったのでした。
帰省三日目、Wiiから「Wiiリモコンの電池を交換してください」というメッセージが。


Wiiリモコンには単三電池が2本必要なんです。

WiiのWebサイトには「リモコンはアルカリ電池で30時間以上持続 」とあります。

考えてみれば、30時間ごとに2本ずつ消費されるのってすごいペースですよね?

こんなことが毎日全世界でおこっている。


さて、ここから本題。

「eneloop」ってご存知ですか?三洋電機から発売されている充電池です。


eneloop

充電池を購入したことがある方なら分かるかと思うんですが、充電池って買ってすぐに使える訳ではなく、まずは充電しなくちゃならない。
だからデジカメの電池が切れたときなど、あれば便利で経済的なんだろうけど、最初の充電が面倒なので購入しない。

ところが、この「eneloop」、買ってすぐに使えるんです!


業績が低迷している三洋電機は、”Think GAIA”というビジョンを掲げ、その第一弾商品として「eneloop」を発売しました。

三洋電機では環境保全という高邁な思想の下、事業の再建に着手しています。
エコマーケティング(※)の手法を貫いているシャープの例でも分かるとおり、私たちは環境のことを考えている会社を応援したくなってしまいます。


今回の「eneloop」には次の特長があります。

・自己放電が少ない。
・充電済みで販売されているので、買ってすぐに使える。
・通常のニッケル水素充電池の倍となる1000回の充放電が可能。


今まで欲しかった電池ってこういうものじゃなかったですか?


私たちの手元には「Wii」やデジカメなど電池を激しく消費するものが増えています。

そんな今、この「eneloop」は時代に合っています。


この「eneloop」の本当の強みは、「買ってすぐに使える充電池」ってところなんだと思います。

で、CMですが、このCMでは1000回使える充電池ってことぐらいしか伝えていません。

なのでCMだけでは他の充電池との差がピンときません

全く新しい電池で、本当に良い商品だと思う分、もったいないな~しょぼん と思っちゃいます。



※エコマーケティング:文字通りエコシステムに配慮したマーケティングを指す。その根拠として、この地球社会は微妙なエコシステムのバランスの上に成り立つゆえに、社会の一員たる企業もその成長推進力たるマーケティング活動に、「環境に優しい」対応を取るべきという思想にある。
(嶋口 充輝 マーケティング・パラダイム―キーワードで読むその本質と革新