然別駅(しかりべつえき)は余市郡仁木町にある函館本線の駅です。今は無人駅です。

然別といえば、道東の然別湖が有名ですが、ここにも「然別がありました。

 

その意味は、

然別:アイヌ語のシカリ・ペッ(shi-kari-pet)(曲流している川)より(『北海道駅名の起源』)、山田秀三『北海道の地名』でも同様

然別駅駅舎

 

然別駅の西側にはかつてマンガン、亜鉛を主に金銀銅などを採掘していた大江鉱山がありました。また、大江鉱山の山を隔てた西側には古平町の稲倉石鉱山、同じく北には余市鉱山もあって、大江鉱山とは鉱脈で結ばれていました。大江鉱山は以前には日本のマンガン産出量第一位を占めていたそうです。

 

よって以前の然別駅は鉱山からの産出物の積み出しのため駅西側に広いヤードありました。今も草生した空き地が残っていて、当時の栄華が偲ばれます。敷地の規模からして鉱山から然別駅までは専用軌道(トロッコ)で繋がっていたものと思います。

 

駅前周辺は、鉱山の門前町で、以前はたくさんの商店・旅館でにぎわってました。しかし大江鉱山は昭和57年に閉山しました。今では国道5号線などの幹線ルートから外れた余市川西岸にあってひっそりとしています。

 

そんな歴史から、駅周囲は昭和の、いや戦前のかおりが濃厚です。まるでタイムマシンで戦前の世界に飛び込んだような感じです。

はじめてそれに気付いたのは2006年の9月、停車中の山線車内から古い商店の背につけられたホーロー板と見た時でした。さすがにいまどきは少なくなっていますが、マニアに渡ることもなくのこっていたことに驚きました。この時は下車せずに通過したのですが・・・・・。

 

 

然別駅の旧駅舎ですが、ネットではなかなか見つかりません。細田恒美さんの『北海道 ふるさとの駅』から転載させていただきます。

然別駅旧駅舎

 

2008年8月23日に輪行で初めてこの駅で下車しました。そしてその11年後の今年7月28日再訪しました。

然別駅周辺 大江・稲倉石鉱山がまだ現役時の昭和44年の5万分の1地形図「茅沼」より大江鉱山にはトロッコ軌道が、稲倉石との間には歩道と電線が見られる。

 

 

はじめて然別駅に下車したのは、2008年8月23日。然別駅で下車して、稲穂峠、倶知安峠という二つの峠(ルベシベ)を越えて、ニセコ駅まで(自転車で)走りました。

2面2線の交換駅で、この駅始発・終発ダイヤも組まれている。

 

サザエさんコテージ風の駅舎

 

きわめてクラシカルな自転車置き場。梁、柱は鉱山用のトロッコのレールでできていると思ったのだが、古いL字鋼でできていた。いずれにしろ鉱山関係の廃鋼材を転用したものだろう。

 

駅前広場かどの木村商店。2008年時は現役だった。

 

ささやかな駅前通り。駅前広場は広いが未舗装

 

この日は遅い夏祭りの日だった。準備のため、かつての住民も集まってきている様子。

 

駅南の然別神社。人口のわりに立派。

 

駅名「然別」の語源となった川の流れを分ける山

 

2019年7月28日、車で再訪

では、2019年はどうだったか?結論的には11年前とほとんど変わっていませんでした。

やはり、この駅の周囲は時間が止まってしまっているようでした。一種の魔界です。

まずはあのホーロー板は健在

 

駅舎とホーム、上下ホームは離れていて、上り列車に乗るときは構内踏切を渡る。

 

上りホームのクサイチゴが今年は豊作

 

駅舎内

 

自転車置き場健在

 

中村商店は健在だが、営業しているか確かめて来なかった。

 

 

周辺の道端に多いエゾカンゾウ

 

2023年10月29日、車で再訪

駅前

広い駅構内