青森県十和田市、奥入瀬川の支流に惣辺(そうべ)川という川あります(下地図C→A)。そこに行ったのは2021年の8月。
惣辺は”ソ-・ペトゥ(so-pet)”で、「滝の(ある)川」というアイヌ語地名でしょう。北海道にも壮瞥(そうべつ)という町があり、そこには壮瞥川という川が洞爺湖から流れ出ていて、その流れ口に近いところに滝があります。今ではその水を一部使って水力発電がおこなわれています。
青森県の惣辺川には地図上は滝はありませんが、流れは急で奥入瀬川との合流部近くには、滝を思わせる砂防ダム(元滝だったかも)があります。上流には滝がいくつかあるかもしれませんが、アプローチする道はなく、今回は確認できませんでした。
ちなみに、その北東には立惣辺山(たっそべやま?、下地図D)という山があります。これは遠野市の達曽部と同じでしょう。
国土地理院2.5万分の1地形図 陸奥焼山 より
惣辺川に掛かる「そうべはし}(上地図A)
惣辺川河口(合流部、上地図A)
惣辺川。奥に滝のようなもの(B)が見える。
滝のように見えたのは砂防ダムだったが・・・・・・
アイヌ語地名で大き目の川を意味する”ペトゥ(pet)”は、北海道ではほとんどが「別」と記されますが、北東北では「別」は今別などわずかで、少ないように見えます。それは、東北では”ペトゥ(pet)”の多くは「部」、「辺」、「戸」、「米地」、「淵」で記されるからです。
その理由は、北東北の方言ではでは語尾を強く発音せず子音化または無音化すること、さらには「う」、「い」の区別があいまいなことに関係しています。さらにはアイヌ語では清音・濁音・撥音の区別がないことも関与しているでしょう。