3年前の7月、仙台に行ってきました。別にGotoキャンペーンに便乗したわけでもありませんが、そろそろ、北海道外に出掛けてもよいのではないか?と思い、気になっていたことを調べに出掛けました。こんな時期のせいか、仙台駅前直近のホテルが朝食付きで11,000円で泊まれました。

 

仙台行きの目的は、『仙台市西方太白区・青葉区の茂庭(もにわ)はアイヌ語のモイワではないかどうか?』を確かめることです。

 

 

北海道には遠くからでもよく目立つ小独立丘に「茂岩」、「藻岩」、「萌和」などを当てたモイワが数多く存在しています。典型的なのは現在は円山と呼ばれている札幌市街西方のものです(現在の藻岩山は、もと「インカルウシぺ」)。これらはもちろんアイヌ語地名です。

 

一方。東北北部(ほぼ北緯40度以北)には「茂谷」、「靄」、「母谷」、「母屋」などの字を当てモヤと読む小独立丘が点在しています。これらはその形、まわりにある数多くのアイヌ語地名から北海道の「モイワ」と同じアイヌ語地名と考えて間違いないと思います。

 

そこで、東北中南部にいくつかある茂庭もやはりアイヌ語のモイワ由来なのだろうか?という疑問が生じます。東北地方でアイヌ語地名が濃厚地域な南限は西は秋田・山形県境、東はやや南の宮城県の鳴子、大崎平野とされています。しかし茂庭の分布はそれより南ということになります。

 

「モイワ」にしろ「モヤ」にしろ、地形としては独立した小丘をそのように言うわけです。仙台の茂庭地区には「モニワ」という名の山はありませんが、太白山(下地図矢印)という標高320.6mの小独立丘があります。これの形状がモイワに似ているとすれば、茂庭はアイヌ語地名である可能性が高いのではないでしょうかねえ?

 

仙台地下鉄東西線終点の八木山動物公園駅(下地図)で下車、ブロンプトンを組み立てというコースで走りました。このうちの地域が茂庭地区です。今では茂庭台と呼ばれる新興住宅街が形成されています。

国土地理院地図 仙台西南部(令和2年)より

 

走り出すと、すぐに太白山は「周囲からたいへん目立つ山」であることがわかりました。そのため仙台が政令指定都市となる際に「太白区」という区名が付けられてのでしょう。

地点Bのアンダーパス上から見る大白山

C地点より

D地点より

E地点より

 

 

さて、ここまでで太白山が「周囲からたいへん目立つ小独立丘」である音がわかりました。

F地点から右折北上し、いよいよ茂庭地区に入ります。

F地点

 

ところが、F地点からはだらだらと続く連続登り勾配となり、ブロンプトンでの登りは結構きつく、周囲を眺める余裕はなく、G地点に着くまで太白山のことは忘れていました。

太白山

茂庭地区の地点より見た太白山

 

結論として太白山は周囲からよく目につく小独立丘であり、アイヌ語でいうところの「モイワ」であり、「茂庭」という地名も、アイヌ語の「モイワ」に由来するものであると思います。

 

参考までに北海道の「モイワ」と、北東北の「モヤ」の典型例を示します。

 

北海道のモイワ・札幌市円山(もとモイワ山)

北東北のモヤ 秋田県鹿角市毛馬内の茂谷(もや)

秋田県大館市(旧北秋田郡田代町)の茂屋方(もやかた)山

 

「仙台の茂庭はモイワの可能性はあるが、確証はない」が結論ではないでしょうか?

松浦武四郎の東西蝦夷山川地理取調(十)はほぼ現20万分の1地勢図の『留萌』の領域をあらわしたものですが、その中にカマワマナイタプコプという山が記されています。場所は今の新十津川町を流れる徳富川の流域です。

 

近くにカマヤコナイという川があるのでそれからとったものと思います。ヤとコはどちらかが誤記(松浦武四郎は悪筆で有名で書写時に誤りが生じやすいということ)。

 

雪解けも進んで道路上橋もよくなってきたため、行ってみました。


下図を拡大して180度回転

松浦武四郎の東西蝦夷山川地理取調(十)

地理院地図より

 

 

さて、新十津川市街から国道451号線に沿って西にさかのぼります。

 

しばらく走り、吉野の集落から北を眺めると、二つの孤立峰が望めます。2.5万図で確かめると、左がす鷲峻山しすんやま)、右が小鷲峻山とあります。

位置的に、鷲峻山がカマワマナイタプコプだろうと思います。

 

国土地理院2.5万図「吉野」より

 

遠目から見た鷲峻山(カマワマナイタプコプ)

 

近くより見る

 

鷲峻山(左)と小鷲峻山(右)

 

ヌタップ川と暑寒別連峰(ヌタップはもとはタプコプオマナイだったと思われる)

 

ヌタップ川の橋から見た鷲峻山

 

しかし、なぜ「タプコプ」が「シスン」となってしまったのか?

 

双子峰のタプコプを見るのは初めてです。双子峰のモイワは青森県十和田市の大母屋・小母屋、秋田県八峰町の母谷山・薬師岳があります。

 

 

 

ところで新十津川町の石狩川の堤防上から北西を眺めるとと、コブ状の山が目に入りますが、これはm敵のタプコプではなく、夫婦山でした。

石狩川堤防より見る夫婦山

土手のフキノトウ。もう春なのだ

 

 

雲谷峠(という名の山)は、青森市から南方の八甲田山系を見るときにぽかりと見える山です。地形的にはその南麓が峠状になってはいます。

 

青森市内から見る雲谷峠(1997年)

青森市郊外から見る雲谷峠(右)と八甲田山系(左)(1997年)

雲谷峠(1997年)

 

国土地理院2.5万分の1地形図 雲谷 より

 

この雲谷(もや)は、北海道各地にあるモイワ(藻岩、茂岩、萌和などと書くことがある)と同じで、小独立丘を示すアイヌ語地名です。東北地方のアイヌ語地名に興味を持つまでは、「くもたに」と読むのだと思っていましたが・・・・。

 

この雲谷峠は、青森市民の手ごろなスキー場となっています。札幌で言えば藻岩山スキー場のような存在でしょうか?。ただし札幌の藻岩の方は本物のモイワではなく、元インカルシベ(見まわしの山)で、札幌の本物のモイワは今の円山です。2021年5月の連休に青森県のアイヌ語地名探索の際に24年ぶりに訪ねました。

 

ひときわ目立つ存在青森市南郊より(2021年5月4日)

雲谷スキー場より(2021年5月4日)

雲谷スキー場より(2021年5月3日)

雲谷スキー場西南より望む(2021年5月3日)

 

雲谷峠南方にある岩木山展望台兼八甲田除雪隊発祥の地


岩木山展望台より南面(裏側)を見る(2021年5月3日)

雲谷峠南方より見る岩木山(2021年5月3日)

雲谷峠南方より見る岩木山(2021年5月4日)