黒い事業計画書
夕方、とある知り合いの方から電話があった。
「お前にちょっと見せたいものがある」
と言う。
なに、なにぃ? なに見せてくれるのぉ?
仕事が終わりワクワクしながら車で待ち合わせ場所に向かっている途中、あんなことやこんなことをいろいろと妄想しながら行ってみたが、なんのことはない。その方が作った事業計画書を見せられ、これを使って、うまく事が運ぶように段取りしろ!と言われた。
・・・・・。
いや、そんな黒いこと(まで)お手伝いできないでしょ。
見せてもらった資料は、それはそれは、くろい計画書だった。
先日、一緒においしいお酒を飲ませてもらったとき、一所懸命黒い話を聞いていたからといって、こっちも黒い話ができるわけではないのだ。ただただ珍しかったので、聞いてみただけで理解できていたわけではないのだ。
一応、ひととおり資料は見せてもらったが、できたのは千の位と百の位の間にカンマをつけただけで、何一つお役にたてるものはなかった。
しかし、まあ、あれだ。
カンマだけかもしれないが、一応は修正をした。もしその資料で(腹が黒い)計画が遂行されるのであれば、少しは役にたてただろうと調子にのってそのお店に顔をだし、おいしいお好み焼きを食べさせてもらおうと思うのだ。
「いや、あの絶妙なカンマのおかげで、今があるんじゃないの?」
と、もったいぶって言ってみようと思うのだ。
と、くだらない妄想をするが、しょせんカンマをいれただけだ。
今度は役に立てれるように、自分が理解できない腹黒い話に参加できるように、少しでも黒くなれれば!
と考え、帰り道にあった酒屋で、できるだけ見た目がくろい赤ワインを買って、少しでも腹黒くなれ!と念じながら一人グラスを傾けているのだ。
ということで。

