俺たちは電子だ!
鍼灸のイメージとは
世間一般ではこんな感じだと思います。ちょっと摩訶不思議そうな〜
一方対する鍼灸界も“少し不思議系”をウリにしている傾向があります。
だから、こうした
鍼灸イメージが定着してしまうのも仕方ない…のでしょうか。
もっと広く医学として鍼灸を理解していただきたい
と、私も常々望んでいるのではありますが、このイメージではリアルさに欠けると言うか。
実は、例えば鍼灸学校の教科書でさえも陰陽五行思想と経絡経穴の昔話で終始していて、
全体の90%はこの世界観で埋め尽くされています。
こうした鍼灸の古典理論が間違っていると指摘しているのではありません。
間違いどころか、私も生命の真実はここにあると考えているぐらいです。(だって鍼灸師だもん)
ただ、このツボがどう、経絡の流れがどう、と書かれていてもあくまでそれは基本の法則に過ぎず
その治療法は一般論のテンプレート。だから実際に臨床で
「どのくらい効くのか?」
「なぜ効くのか?」
という好奇心が湧き出ざるを得ない、
医学という以上は現実的な問題として、やっぱりこれについての説明は欲しいです。
しかし残念ながら、その好奇心を満たしたい欲望に反して
神聖な領域
として踏み込むことが阻まれているかの如く
日本鍼灸界ではこの疑問はタブーの様になっています。
「ほんまに効くんですか?」
「ほんまにそこにツボがあるんですか?」
と私は学校で聞いたら怒られてしまいました。
さらには師匠も曰く「なんでか?そんなん学者に任せといたらええ」と。
…いやいや、これって
フツーで素直な疑問だと思うんですけど〜
みなさんいかがお感じでしょう?
本当に効果のある「素晴らしい医学」と言うのであれば、
ガンを治し、パンデミックを迎え撃つ、そんな現実に応じたレベルまで高めたい
と、考えてしまうのですが、わからんでもええんやと一蹴されてしまう
この「檻に囲まれた感」は一体なんなんでしょう? ひょっとして何かの陰謀〜?(笑)
なので、流れとして
ちょっと斜めから鍼灸を見てみようと
素敵な御本を取り寄せました。
アメリカ鍼灸では
バイブルとされている鍼灸の教科書です。
もともと東洋医学なのでもちろん陰陽五行思想と経絡経穴の内容が書かれています。
ただし、まず第1章と第2章で(効くか効かないか、測定されたか仮説のままかを含めて)現状を紹介しています。そして第3章から鍼灸理論に入っていきます。
古典鍼灸理論に入る前に
1、どの様にこのテクニックが西洋に伝わったか
2、本当に効果が確認されたのか
3、なぜ効果があると考えられるのか
から
始まっている所が、とてもとても面白いと思います。
日本人らしく「鍼灸の書だ。頭から信じろ。師に従え」…という態度より
(外国でなくとも)鍼灸を語る前にこの素直な疑問に答えを示すのが
あるべき順番だと私は思います。ナイスバイブル。
そしてその内容もまた統合医療の中での位置付けが見えるようで嬉しくなります。
Acupuncture Energetics より以下引用して目次を紹介させていただきます。
↓
『コンテンツ
はじめに ...
序章 鍼治療エネルギー学の組織、 お詫びと 謝辞
パート1
第1章:西洋の鍼治療
レストン以前の北米、19世紀フランス、20世紀フランス
初期のヨーロッパ人の漢方薬との接触.. 古典中国の情報源
19世紀と20世紀の中国 年表…
第2章:鍼治療の基礎科学、臨床科学、思弁科学
セクション 1: 測定された効果と仮説のメカニズム
経穴と経穴の生体電気特性
鍼治療チャンネルの存在を示唆する証拠
鍼治療の経路に沿って伝達される感覚
鍼治療チャンネルの最新のトレース
チャンネルに沿った電気伝搬…
ツボの形態学的研究… ツボ、モーターポイント、トリガーポイント
鍼治療鎮痛....末梢神経系および自律神経系経路、電気鍼鎮痛の 2 つのシステム、中枢神経系経路、びまん性有害抑制制御、その他
その他の神経化学的要因 ...表面温度と自律神経系、血液化学と免疫系の変化
セクション 2: 臨床研究
世界文献調査.
..外科鍼治療鎮痛、薬物乱用の治療、制御された臨床効果試験、疼痛管理 、急性および慢性喘息の呼吸困難、術後および化学療法による吐き気、婦人科および産科の問題、脳血管障害と頭部外傷の後遺症、尿路疾患、 狭心症、耳鳴り、 腸機能、うつ 、獣医鍼治療研究、催眠術としての鍼治療、一般的な効果、有害反応、合併症、および注意事項
セクション 3: 物理学、数学、生物学からの推測
物理学と数学の進歩: 新しい哲学的マトリックス
複雑系物理学
混沌と支配
自然と鍼治療におけるフラクタル
ホログラムと暗示的秩序。
表現の新しい文脈
評価と治療への新しいアプローチ
電気半導体ネットワーク
筋膜
神経周囲伝達ネットワーク
生体電気、神経ペプチド、および微小管通信ネットワーク
生物学的に閉じた電気回路
鍼治療と傷害電流
血管作動性腸管ペプチド
微小管と細胞骨格伝達
生体電磁仮説
第 3 章: 鍼治療のパラダイムの概要
臓器電場...
針電極
マルチシステムの生理学的モデル。
..
鍼治療エネルギー。
鍼治療における解剖学的位置
....
次のステップへ 』…
とても面白く素敵です。
そして、日本の鍼灸との大きな違いとして、
電気が基本に据えられているのがお分かりでしょうか?
リアル物理チュアルです。
第2章のセクション3『物理学、数学、生物学からの推測』で、混沌と秩序の複雑系と量子力学的な
考察、電気半導体ネットワークが記述されている箇所が中でも私のお気に入りです。
つづく…