投稿するタイミングを逃していましたが、昨年何度もくり返し観ていた映画のこと。

 

NYから来ていた友人ともアマゾンプライムで観た「American Utopia」。

 

できるなら劇場空間で観るのがお勧めですが、難しいですね。どこかアートハウスで上映していたら是非とも馳せ参じたい。

元々オフ・ブロードウェーの劇場ショーなので、大きな画面で観ると最高だと思われます。

 

最初から最後まで全て見どころ、という内容ですが、クライマックスにあたるパフォーマンスがジャネール・モネイの「Hell You Talmbout」のカバー演奏。

 

黒人のスラング英語で「What the hell are you talking about」の意ですが、日本語では柔らかく言って「何言ってやがるんだ」、といった感じでしょうか。

 

その楽曲には、アメリカで理不尽な状況で死んでしまった黒人たちの名前が連呼されるパートがあり、スクールで十代の黒人の生徒たちがパフォーマンスする映像がYouTubeにたくさん上げられています。

 

映画自体は全編人種問題提起というわけではもちろんなく、圧倒的なパフォーマンスにこころ踊る胸熱な映像体験です。

 

「Hell You Talmbout」 のカバーでは、演奏をバックに名前を呼ばれるそれぞれの家族が亡き人たちの遺影と共に映るのですが、そのシーンの後に、もっと、まだまだ居るんだとたくさんの名前が画面をうめていきます。

 

映画の監督はスパイク・リーですから。

 

同じニューヨーカーの前衛アーティスト繋がりかと思ったら、あぁ、ここでポリティクスが出てくるのか。

なぜ彼がディレクターなのか理由が解かりました。

 

 

graffitiC

 

今はなきNYのグラフィティ作品群、5Pointz

 

 

名前も無いように扱われる黒人たちが、アメリカには確かにいます。

 

私が住んでいた間にもたくさん事件があり、歩いていただけで事件の犯人にされた少年もいました。

 

そのケースはドキュメンタリー番組で一部始終を観たのですが、敬虔なキリスト教徒である家族の壮絶な戦い、特に母親の努力で裁判に勝利。

 

審議で息子の潔白を訴える愛と信条にあふれる母の証言を前にして、感情をほとんど表すことのなかった少年が静かに涙を流すのはとても印象的だった。

 

原告のぼんやりとした表情の白人たちは、黒人なら誰でもいいから適当に罰してやればいい、といった考え方だったのです。

 

American Utopiaの座長デビット・バーンはジャネール・モネイに、この歌のカバーを自分がしてもいいだろうかと聞いたようで。

「白人の、いい年したおっさんなんだが」と。

 

彼自身もスコットランドからの移民で、この国は多民族じゃないと立ちゆかないとショーの中で言っていますが、デビット・バーンは白人。

黒人のプロテストの楽曲に敬意を表していました。

 

と言うのも、中には黒人ではない人種からの干渉を嫌う人たちも多いのです。

ブラックパンサーのマルコムXがその姿勢で有名。

 

Black Lives Matterムーブメントには黒人だけではなく影響力のある白人たちも支持を表明していました。

それは大きな運動にしていく助けになると思うし、アジア人である私は支持します。

 

私自身もスローガンをSNSでシェアしました。

それは友人に黒人がいる、親しい友人の結婚相手が黒人、その子供たちがいる、などの理由からです。

 

センシティブな問題なので、気を遣う。

アメリカで自分とは違う人種のムーブメントに関わる場合、ある種の覚悟が必要だと感じます。

 

本気さというか、特にブラックに関しては。ラティーノとはまた違うマジさが必要。

 

少し前に藤井風くんが、Nワードが入る歌をカバーして作曲者に指摘されていました。

 

Nワードは黒人同士で使い合っているし、自分たちの中ではいいんだけど、他人種に使われるのは絶対にダメなんです。

私はそういうことに興味があって知ることができたけど、アメリカ国内でも知らない人はいると思う。

 

藤井風くんも悪気なく好きな曲をカバーした際に、たまたま歌詞にあった言葉だったんだろう。

 

BLM運動に話しを戻すと、「Black Lives Matter」に対して「All Lives Matter」と言う人たちが現れた時、ガクンと力が抜けました。

 

おっしゃるとおりですが、BLMの問題はそこではない。

 

All Lives Matterの主張が聴こえてくるのは主に白人たちからで、私の身近にいる日本人にもいました。

 

それは美しい言葉だけれど、あなたたちは通りを歩いている時はポリスが一番たちが悪い、アメリカで黒人として生まれるのは障がい者として生まれてくること、と時にそういった認識を持つ人生を歩む彼らの叫びを、その運動から感じているのでしょうか。理解せずとも。

 

そういったことからは遠い側からの言葉に感じるんです。

 

American Utopiaのあのシーンの力強さは、名前の持つパワーに間違いないと思います。

 

名前とは、大切なもの。

それは存在そのものだから。

 

長くなったので、名前の話しは後編に続きます。

 

 

 

 

 

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