ブログをさかのぼると、2013年の年始にも書いています。「般若心経」を勉強すること。
改めて今年の抱負は、「般若心経」を覚えて書けるようになりたい、と思います。
というのも、昨年末からのシンクロニシティが何度か般若心経をヒットしていまして。
昨年後半に"ゴータマ・ブッタの仏教"とはどのようなものなのか、解脱・涅槃そして悟りを解説した興味深い本を読みました。最近では"テーラワーダ"など、大乗から観る少し軽んじた呼び名の"小乗"仏教とは違う名称が浸透してきている古典仏教に近い、元来ゴータマ・シッタールタが何を目指し、そこに達成するとどうなるのか、を「わかる」ことを目的とした本です。
そこから大乗仏教の仏陀入滅に対しての立ち位置、"釈迦は亡くなったのではなく、今でも生きていて説法を続けている"を知り、般若教のエッセンスを最小限にまとめたと云われる般若心経を読み返したいと思いました。
般若心経の主人公である観自在菩薩はヨーガの神さま、シヴァ神の化身でもありますし。
次に年末に本屋に行った時に、般若心経のなぞり書きノートや写経セットが置いてあるのが目に入りました。それを見て、暗証して書けるようになりたいという気持ちが蘇ります。
そして数日前、インド北部の学びの土地、ダラムシャーラー在住でヴェーダーンタを学んでいる知り合いが、サンスクリット語(の発音?)できちんと"Prajnaparamita hrdaya sutra a.k.a heart sutra"をチャンティングできるように学んだ、と言っていたのです。プラジュニャーパーラミター・フリダヤ、般若心経です。
さて、意味のある偶然、シンクロニシティからの信号は充分だと感じたので、今年の抱負のひとつは「般若心経」に決まりました。
オキシャンティのスタジオには、今はアメリカで暮らしているオキシャンティーズの卒業生のおひとり、雅号を"蘭月"というカオリさんが写経してくださった般若心経が掛けてあります。
何年か前に一時帰国された時のカオリさん、自筆の写経の前で。
日本人に広く耳慣れた般若心経というものが私には、長いこと身近にあるわけではありませんでした。それがヨーガと共に最初に入ってきたのがNY生活から戻った2009年、東京で毎日何時間もヨーガ、ですがアーサナ主体の練習に明け暮れていた時です。
朝、昼、晩と毎日少なくとも3度は通ったスタジオのクラスは、八支則などのヨーガの教えに関連付けたお話しから始まります。例えば"アスティーヤ/不盗"とは対象が物質に限らず、約束の時間に遅れるなどの、他人の時間を盗むことも含まれるなど。
講師陣のそれぞれがいつも、日常を切り取ったパーソナルな視点をシェアしてくださいましたが、ある時おひとりが、ご自分の娘さんが通う幼稚園のお友達が難病で、ここ数日危篤状態になっている、というお話しをされました。
お声の様子から深刻さが伝わってきましたが、その後間もなくして幼い命は亡くなってしまいました。そして次のクラスのお話しは、マントラに造詣が深いご友人から鎮魂のために良いと教えてもらったものを、よければいっしょに唱えて欲しいというものでした。
私はごくニュートラルな気持ちで講師の後に続いたのですが、「ガテー、ガテー」と始まったそれが般若心経だと解ったのです。
その日のクラスのシャバーサナでの彼女の誘導は、死が起きた後の体から肉がこそげ落ち、骨が砂塵になり、といった、まさに亡骸のポーズを体現していくようなものだったのを覚えています。
その後のヨーガ指導者トレーニングの合宿での、ルームメイトのひとりがサイキックでした。母親を看取った時に般若心経を暗記し、毎晩唱え始めてから周りで不思議な事が起きはじめたといい、お棺の中にも埋まるほどに写経を入れたそうです。
その時までは、お寺でもいつか聞いたことのある「ギャーテー、ギャーテー」というあれか。般若心経とは、祈りや死や成仏などに関わるものなのか、という印象でした。
どんな内容なのか興味が湧いたので良さそうな解説本を探していた時、再びヨーガ仲間から解かりやすい本があると教えてもらったのが、巻末に「絵心経」が編されている、仏教研究者の割田剛雄氏の「般若心経」です。
その感想とヨーガスートラとの関係は以前に書きましたが(こちら)、般若心経のバックグラウンドにある女神信仰など、ヨーガを通して知っていく般若心経を取り囲むいろいろな事柄や文化にも魅せられます。
昔から日本人の生活に浸透していたことがよく分かる「絵心経」。
"Prajnaparamita"プラジャーパーラミターには般若波羅蜜多という漢字があてられますが、これは智恵の女神の名前で、大乗仏教と密教で崇拝されたターラー女神の化身のひとつであり、インド、チベット、ネパールではホワイトターラーとも呼ばれます。
空の哲学を伝える般若心経ですが、女神がテキストにもなっているのです。
今年はまずは漢訳を。そしてサンスクリット語でも覚えたいです。