スーパームーンの満月が過ぎましたが、連日月明かりが煌々と、明るい夜が続いています。
沖縄は日中の太陽の光が強いので、私にとっては日差しが和らぐ森の中や、月のパワーの下での方が宇宙や自然との一体感を受けとりやすいようです。
今回のようにパワフルな月の夜は、体の内側から呼応するような振動が湧いてきます。自分が大きなものの中の一部だと感じる、とても幸せな感覚です。
満月の夜に砂浜へと、産卵に向かう蟹たちを見ました。
夏が来る前に、咲き乱れるような蛍の群れを見ました。
大潮の干潮時にだけ受粉する石垣島の海草など、沖縄で、宇宙のリズムと生きる生命をそこら中に目にしますが、今も旧暦の行事が多いこの土地では、人も自然と共鳴していることを思い出させてくれます。
パートナーが大事にしているアンモナイトの化石。
美しい黄金比率のスパイラル。
私が人生で一番勉強した時期は、アメリカで通った大学と大学院、この二つの学校に在学中の数年間です。
コンピューター・アートを専攻した私は、プログラミングによって創り出される、自然を描写したグラフィックスとアニメーションに魅せられ、夢中になりました。
三角関数で表現する、海中にふわふわ浮かぶジェリー・フィッシュ。
フィボナッチ数列が作る黄金比を繰り返して、モニタ画面上のマウスを追いかけて伸びていく植物の茎、そこから伸びてゆく葉。
小さく、大きく、規則的な変化を繰り返す蛍の光も、永続的に点滅を繰り返すウェブサイトの誘導ボタンも、同じ数式で表現できます。点滅 をゆっくりにするか、速くするかには物理の数式も必要。
あるプログラミング解説本の序文で著者が書いていました。
「公園に出かけ、噴水の前のベンチに腰掛けて水のほとばしる様子を見ていると、そこに美しい数学のプログラムが現れる。そしてそれは自然を模倣したものだ。」
数学は好きではなく、全く得意ではなかったのが、必死で勉強し直しました。
あの美しい動きを表現したくて。それを理解したくて。
自然界の生命が数学と物理で表現されることに私は驚き、ワクワクし、心から称賛し、そして幸せを感じていたのです。
そういったアニメーションは、何時間でも(笑)見ていられました。
気持ちが良かったのです。
小 さな羽虫が群れてさざ波のように動く様。黄金角で螺旋状に並ぶ向日葵の種子。
ゴーヤーや胡瓜のツル、きれいなフラクタルを描くカリフラワー。孔雀の目の玉模様、サボテン、そして台風。
自然の中には螺旋が溢れ、それはマクロでは銀河の動きになり、ミクロではDNAに至るまで生命そのものがスパイラル、回転し ています。
この太陽系の動きを説明したビデオを観て興奮した人も多いと思いますが、私も感動しました。
太陽は銀河の中で静止し、惑星はその周りを回り続けているのではなかった。
彗星のような猛スピードで銀河の中心から外側に向かって離れる太陽を、地球と太陽系の惑星たちは螺旋を描きながらその周りを回転し、太陽と同じスピードで銀河の中を移動しています。
そして、その太陽もまた、大きい周期で螺旋を描いている。
生命そのものである螺旋は、銀河の中の太陽系の動きそのものの姿です。
まるで、ガーヤトリー・マントラのようではありませんか。
3500年前に記されたとされるインド古代の聖典「リグ・ヴェーダ」に収められ、今でも広くインドはもちろん、ヨーガの世界で愛されているガーヤトリー・マントラは、"宇宙を奔ってゆく神の光を、どうか享受できますように。"と聖仙人が神に祈るマントラです。
光を神の象徴とする宗教は多いですが、古代インド人たちはその神の光を音(ナーダ)として捉え、「アナーハタ・ナーダ/打たれざる音」としました。
祈りを捧げて坐する聖仙人を目指し、突進してくる神秘の詞。
宇宙を駆ける光のごとく鳴り渡るその音は、祈る者の心臓内の虚空に共鳴します。そこから、胸のチャクラを"アナーハタ"と呼ぶのです。
先日アシュタンガ指導者トレーニングで、ケンハラクマ先生が興味深い質問をされました。
「耳鳴りのような、キーンとする音。高くはないけれどずーっと鳴っている音。普段聞いている人はいますか?」
続いてケン先生曰く。
それは宇宙の音。いつも鳴っているんだよ。
今夜も明るい月の下、オキシャンティのスタジオには、虫やイモリ、猫の鳴き声やその他の精霊、もしくは魔物などの生きものたちの気配に混じって、エイサーの練習をする太鼓の音も聞こえてきます。
この音のシンフォニーの中にいることが、なんと気持ちのいいことか。
螺旋を抱く生きとし生けるものすべてが、大きな螺旋の中に生きている。その一体感が、大きな喜びの感情となって襲ってきます。
私たちは同じ所へ帰ることはないんだね。螺旋を描きながら、進んでいくんだね。
そしてそして、ここに黄金比のこんなに解りやすく美しいビデオがあります。
地球の全ての生命に刻み込まれている螺旋の記憶。ただただ、美しい。どうぞご覧あれ!
オキシャンティのサイトHPはこちらから。