スミイロ・サハリンまた来年。 | フナバシクワガタ 2

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■7月の話し、その2 長野県


7月も半ばを過ぎ、
いよいよあの山へ、あのカミキリを狙いに行く季節が来た。
3種の神器と言われる…あ、今この表現て使われているのかな。
ともかく、オトメ・スミイロ・サハリンだ。

昨年はオトメクビアカハナカミキリを採集できたので、
スミイロハナカミキリとカラフトホソコバネカミキリ、

この2種が狙いだ。
あとは、ミドリヒメスギ、フイリヒメハナのメス、

その他もろもろ…

今回は、もともとEさんと1泊2日で出かける予定だったが、
諸事情によりEさんは参加できず、
また2日目の天気が雨予報であったことから、宿はキャンセルし、
単独で1日のみの弾丸ツアーで行くことにした。

と、そこにitaさんも行かれるとのメールが。
別々で行くよりも体力的にも経済的にもメリットがあるので、
一緒に向かうことになった。
日付が変わる頃にitaさんをピックアップして現地に向かった。

途中のSAや、旧コンビニに寄り道&休憩しつつ、
目的地の駐車場には思ったより早く到着した。
クルマを降りてみると、風が強く、何より寒い。
調べてみると現地の体感気温が7℃、さらに雨も降ってきた。
先行き不安になりつつも、睡魔に襲われ、温かい車内で寝落ちした。
itaさんも仮眠したようだったが、すぐに活動されているようだった。
おそらく1時間強は眠っただろうか。目覚めると雨は上がっていた。
曇り空だが、もしかしたら晴れ間も出るかもしれない予報なので、
少し期待しつつ、装備を整えポイントに向かった。

有望と言われるポイントに着くが誰もいない。
一番乗りか、それとも誰も来ないのか。
ひとまず各々、思い思いに探索を開始する。

昨年はまだ咲き残っていたナナカマドは完全に終わって、
若い実をつけ始めていた。
ハイマツもほとんど終わっていた。

揺すっても花粉があまり落ちない。


コバイケイソウはそこそこ咲いているが、

あまり虫は集まっていない。

シャクナゲもポツポツ咲いていて、
そこにはピドニアがちらほら集まっていた。

まだハナカミキリなど飛ぶには気温が低いので、
まずはダメ元でハイマツを掬ってみる。
すると、予想外に落ちた。


オトメクビアカハナカミキリ
前胸が黒いタイプだ。
赤くなくて残念だが、いてくれたことがかなり嬉しい。
が、あとが続かずこの1頭しか落ちなかった。

若干風があったが、止む瞬間もあり、
時折薄日がさすこともあったので、昼くらいまでは粘る覚悟を決めた。

スミイロらしき飛行体を目撃するも、
ネットインできず、あれはコメツキと言い聞かせた。
目の前を茶色っぽいムシが飛んだので、ネット一閃。
今度はキャッチできた。


トドマツカミキリ
ここにいることは分かっていたものの縁が無かったカミキリ。
これでカラマツ・トドマツを手にできた。
実物を見比べて、違いを観察できる。

ひとりでテンション上がっていると、

虫屋さんがお一人いらっしゃった。
昨年もここでお会いしたし、

別の場所で妻といるときにもお会いした方だった。
その方も自分のことや妻のことまで覚えてくださっていた。
顔見知りに会うとなんだか嬉しくなる。

時間経過とともに、青空が覗くようになり、
気温もだいぶ上がってきた。
晴れ間が出ている間はかなり暑さを感じた。
これはチャンスと思い粘るが、なかなかそれらしきムシが現れない。

 

若いシラビソの葉にカミキリらしき飛行体が着地するのが見えたので、

そっと掬ってみたらこれだった。

クモマハナカミキリ

これも好きなやつだ。

そしてハナカミキリが飛び始めたということはチャンスかな。

 

さらに別の飛行体を掬うと…

ヤツボシハナカミキリ

なんとも紛らわしい。

でもこのエリトラの斑紋も面白いので確保。

 

そんなこんなでスミイロは目撃できず、
痺れを切らして周辺のハイマツを掬ってオトメを探してみる。
さっき掬ったところだったが、再び掬ってみると入った。


オトメクビアカハナカミキリ
上の画像が♂で、下が♀

網に落ちたときは交尾していたが、

確保しようとしたときには離れていた。

首赤のペアが落ちて、しかもこの条件で3頭確保は満足だな。
あとはスミイロだ。

しばらくすると、また一人虫屋さんがいらっしゃった。
この方も昨年ここでお会いしている方だった。

それぞれ方々を探索し、スミイロを狙っていたが、
お一人がようやくスミイロを採集された。
見せていただくと、まさに墨色。
居ることが分かるとテンションが上がってくる。
が、昼過ぎまで粘ってみたもののスミイロはゲットならず。

 

このポイントでの終盤、大きなカミキリが飛んできた。

だいたい察しはついたので網に入れてみる。

シラフヒゲナガカミキリ

やはりこれか。

でも確保。


ポイントを移動し、他で探索しておられたitaさんと合流。
ショウマでフイリのメスを見つけたとのことで、
その辺りを探索したが、見つけられず。

フイリがだめだったが、他のピドニアをいくつか採集。

オオバヤシヒメハナカミキリ

これは♀。

このあと、♂も採集できた。

今回ピドニアはフイリ一本に絞っていたので、
あまり気にかけず他はリリースしまくっていた。
そして、ショウマにもスミイロがいるとのことなので、
そちらも注意してみていたが、
ホンドアオバホソハナとツヤケシハナというトラップのみで、
本命には当たらずだった。

ショウマで掬ったカラカネハナできれいなのを確保。

カラカネハナカミキリ

このエリトラのグラデーションがきれいだ。
あまり見かけなかったタイプかもしれない。

帰宅後も撮影してみた。

画像がちょっと暗かったな。

でも色といい点刻といい。

やはりいいカミキリだ。

最後に、サハリン(カラフトホソコバネカミキリ)のポイントへ。
…気配なし。
ここは張り込みしないと厳しいかな。
ミドリヒメスギも見つけられず。

と、目の前に現れたムシに視線がくぎ付けになった。

…ちがった。

紛らわしすぎる。

 

目の前の葉にこんなのもいた。

ツノゼミ

なにげに初見かもしれない。

この種には手を出していないので、そっとリリース。

 

itaさんがこの周辺で確保したリンゴカミキリをいただいた。

ヘリグロリンゴ?ムネグロリンゴ?

前胸が微妙に黒が入っているが…
どっちつかずなので、もうちょっと精査してみよう。

この場所にはスミイロのポイントでお会いした方もいらっしゃったので、
いろいろお話させていただいた。
その方は、先程ショウマでスミイロを採集されたとのこと。
カミキリの神様が微笑んだのか、きっと日頃の行いの善い方なんだろうな、
と自身の日頃を思い返し、ちょっと凹んでみる。

オトメはクリアしているので、
スミイロとサハリンはまた来年チャレンジだな。
それとフイリのメスとミドリヒメスギも。
それがクリアできれば、ここは卒業できるんだが。

帰路、睡魔との死闘になるかと思ったが、
itaさんといろいろ話ながらだったので、予想外に眠気はほとんど無かった。

途中のSAで夕食。

そばと山賊焼きの御膳だったかな。

ひさびさにそばを食べたけど美味しかった。


その後の大渋滞に巻き込まれながらも、
心地よい疲れを感じながら帰宅できた。

オトメを自宅で撮影。

アカムネハナのような前胸の色合いがきれいだ。

そしてエリトラの点刻も繊細で、また色も美しい。

 

さて、カラマツとトドマツについて比較してみた。



これがトドマツカミキリ

こっちがカラマツカミキリ

 

比べてみると、前胸の形や小循板の形も違うことが分かる。

腹面の画像がないので、肢の太さの膨らみ加減は確認できない。

が、背面だけでも同定可能だと思う。


これで今月はおしまいだ。
8月はオオトラチャレンジできるだろうか。