■7月中旬の話 長野県
今年もこの季節がやってきた。
あの山で、あの3種を探す季節。
オトメ、スミイロ、サハリン。
オトメことオトメクビアカハナカミキリは攻略済みなので、
スミイロハナカミキリとサハリンことカラフトホソコバネカミキリが狙いかな。
あとは、ミドリヒメスギとか、フイリヒメハナのメスとか…
いやいや、あまり欲張ってもダメだ。
今回はスミイロ一本に絞って集中せねば。
そう、昨年のリベンジだ。
あの地に行くたびに、誰かは「スミイロ採れた」と聞く。
つまり、採れている人は採れている。
だから自分の順番が回って来たらきっと採れるはずだ。
そう思って、敢えて一本勝負だ。
竿も新調した。
今までのは伸ばしてもしっかり止まらず、すぐに収縮してしまうくらい、
緩くなっていたので。
前日の夜に出発して、道中の道の駅で仮眠。
朝、目覚めて外に出ると、あたりは雨に濡れていて、
現地に向かっている途中も小雨が降っている。
これは今までで一番条件悪いかも、と思いながら向かった。
駐車場にクルマを止め、身支度を整えいざポイントへ。
まずは吹上になっているスミイロのポイントへ入る。
すでに何名かいらっしゃっている。
気温は申し分ない感じだが、
基本曇っていて、時々雲が切れて晴れ間がのぞき、
風がちょっと強めで時折小雨がぱらつき、目まぐるしく天気が変わっていく。
時々こんな風に晴れたりもしたが、虫はほとんど飛んでいない。
前回はここで昼過ぎまで粘ってダメだったので、今回は早めに見切りをつけた。
空中戦が苦手なので、心が折れかけたと言っても過言ではないかもしれない。
時計を見なかったが、時刻は10時にはなっていなかったと思う。
直感も働き、後ろ髪引かれることなく移動した。
この決断が後に運命を左右する。
ちなみに…あたりは花が皆無。
ナナカマドはとっくに終わっていて、ハイマツもほとんど花がない。
あっても花粉が散らないくらい落ちてしまっている。
これまでの雨の影響か。
シャクナゲとコバイケイソウもあまり咲いていない。
昨年とほぼ同時期に来ているが、随分と様相が違う。
ただ、ショウマはいい感じに咲いている。
現地で出会った虫屋さんとも花の具合について話したり、
虫の状況について話したりした。
この方、前日にスミイロを2頭得られたそう。
また昨年もお会いした虫屋さんとも1年ぶりに再会。
ついつい話しかけてしまう。
もし厚かましさを感じたら申し訳ないです。
顔見知りの虫屋さんにお会いすると無性に嬉しくなってしまうのです。
吹上ポイントからショウマのポイントへ移動。
ここでは広大な草原に咲くショウマを炎天下のもと、しらみ潰しにチェックしていく、
いわば苦行のような採集方法だ。
自分なりに目をつけた場所へ踏み入り、ショウマをチェックしていく。
アオバホソハナ…、ツヤケシハナ…、ヤツボシハナ…、
これはピドニア…でもフイリじゃない…と、ブツブツ独り言を呟きながら見ていく。
炎天下で汗がダラダラ流れてくる。
時折吹く風が、気持ちい、あ…生ぬるい。
そういえば、いつのまにかカンカン照りで、風もそれほど強くない。
条件が良いのか悪いのか、良く分からないが、雨よりマシだ。
それに涼しいより暑いほうが良いはずだ。
どのくらい見ただろうか。
1時間くらい経ったのかな。
その時は突然きた。
アオバホソハナっぽいけど、翅端に向けてすぼまっていない。
光に当たって青っぽくもない。
ツヤケシハナのようにエリトラの会合線が凹んだ感じもない。
!!!!!!!!
「いたっ!!!!!」小声だったか叫んだか覚えていないが、
とにかく何か言った。
写真なんか撮ってる余裕もなく、ネットに落とした。
手に取って、気持ちを落ち着かせてから撮影。
スミイロハナカミキリ
4度目の正直でついに手にできた。
リベンジ達成だ!念願叶った!
直感で移動を決意して良かった!
こんな感じの咲き具合のショウマにいた。
帰宅後に撮影。
まさに炭色だなぁ…いやぁ嬉しい。
ギガンやヤツボシに振られたのはこの時のためだったんだな。
気を取り直して、追加を探すべくまたショウマチェックに取り掛かる。
違うけど嬉しいやつ。
カタキハナカミキリ
やはり今年はやけにカタキハナに会うな。
さて、クルマに戻るのに復路もチェック。
見つけたらほぼ持ち帰るやつ発見。
ルリハナカミキリ
これ好きなんだよなぁ。
なんかこういう色合いが堪らない。
それからこれも。
クモマハナカミキリ
今回は2頭採集できた。
汗だくになりながらクルマまで戻ってくると、
先ほどもお会いした虫屋さんがいらっしゃったので、
スミイロが採れたことを報告した。
おめでとうございます。と言っていただけると、
照れくさいけど嬉しい。
本当にありがとうございます。
さて、これで気が抜けてしまった。
ふと車内に忘れていた携帯にまめわらびーさんから連絡が来ていたことに気付く。
すぐに電話すると、すでに下山、移動中とのこと。
このあと向かう予定のとあるポイントで合流することにし、
自分も移動開始。
サハリンのポイントにも立ち寄ってみたが、
どうも頭痛がし始めたのでチェックせず移動した。
日に当たり過ぎたのかな。
前回と同じ感じだ。
某高原とか、ちょっと様子見で流してみたけど、
以前ノリウツギがたくさんあった場所に花は無く、
とんだ無駄足になってしまったと思いつつ、
頭痛との戦いは続いていた。
最寄りの道の駅でちょっと休んでみたが、
前回のように回復してこない。
ひとまずとあるポイントに向かわねば、と移動再開。
すでにまめわらびーさんはいらっしゃって、
一通り撮影されたご様子。
すっかり遅くなってしまい申し訳なかったです。
コトラ祭り!とのことで見に行く。
ここでもうお一人虫屋さんがいらっしゃった。
吹き上げポイントでお隣にいらっしゃった方だった。
ここでもお会いするとは…。
あまりお話しできませんでしたが、
またいつかどこかでお会いすることがあったら、
その時は宜しくお願いします。
さて、さっそく置かれた材をみてみる。
ちょろちょろと走り回っているのが目に入った。
そして掴む。
コトラカミキリ♂
コトラカミキリ♀
こっちのほうに来たらやはり見ておきたいムシだ。
この場所は安定して見られるので嬉しい。
コトラ以外にも。
ヘリグロベニカミキリ
シラホシカミキリ
コトラはあっと言う間に5頭確保できて、すぐに満足した。
まぁ頭痛もあって、ちょっと吐き気もしてきていたので、
早めに満足できて良かった。
まめわらびーさん、わたしちょっと塩対応だったかもしれません。
すみませんでした。
本当はもっとお喋りしたかったのですが…
まめわらびーさんと別れ、クルマの中でしばし休憩。
ちょっと動けるようになり帰路へ。
空腹を覚えるまで回復してきたので八ヶ岳PAで夕食。
清里カレー 厚切りベーコン&ストラスブルス 1500円
あれ、前回食べたときは1350円だったのに…
その前は1000円だった…。
ま、いっか。
これでも食べる価値ありと思うくらい美味しいので。
お腹の満たされて、疲れも心地よいものに変わり、
食後にアイスコーヒーを飲みつつ家路についた。
が、この先の大渋滞で帰宅は軽く日付が変わってしまった。
スミイロカミキリは、〆てから2~3日後、
良い具合にくたくたになって展足しやすくなってから、
微針で展足してみた。
久々に展足で手が震えた。
触角とか爪とか欠けたら泣くに泣けないし。
このあとは、微調整しつつ乾燥させていく。
標本箱に入れるのが楽しみだ。
さて、次はどこに行けるか…。