【映画】あしたの少女 | 野球と映画、ときどき…

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野球中心にスポーツ観戦が大好きです

ただ、映画鑑賞は私のライフワーク

吹奏楽、美術鑑賞、舞台鑑賞そして猫

好奇心のおもむくまま「おきらく」に

生活を楽しむをモットーにしています

あしたの少女(2022・韓・138分)

監督:チョン・ジュリ

主演:ペ・ドゥナ、キム・シウン

 

2017年韓国で起こった実在の事件をモチーフに

ごく普通の高校生が過酷な労働環境に

疲れ果て自死に追い込まれる姿を

リアルに描く社会派サスペンスドラマ。

 

タイトルは希望を感じさせるのに

ストーリーやチラシの

暗いムードと、あいません。

労働搾取や教育現場と警察や企業との癒着。

根深い問題と未成年の自死という

悲しく重たいテーマに最初は

映画館に行くのをためらいました。

しかし、「空気人形」の頃から

私はペ・ドゥナさんの大ファン。

透明感があって人形のように

キュートで可愛いラブペ・ドゥナさんに

胸がキュンとしました。

それから着実にキャリアを重ねて

今では存在感のある韓国を代表する

女優さんとなりました。

 

前半は自死した女子高生ソヒの物語

後半は自死の原因を探る

刑事ユジンの視点から描かれる物語。

本来なら、ソヒの「自殺」で

処理されるところ刑事ユジンは

ソヒの友人、先輩に会い

職場、学校と巡り

ソヒの足取りをたどることで

ある確信を得ます。

 

女子高生と刑事

何の接点も見当たらない

2人には、ある共通点がありました。

そして立場は違えど彼女たちは

社会の大きな闇に

一人で立ち向かっていました。

その孤独と無力感。

分かるなぁ。

理由はどうあれ自ら命を絶つのは

残された人の悲しみを思うと

理解をしたくもなんですけど

彼女が追い込まれた「孤独」が

リアルかつ丁寧に描かれていて

共感できる部分がありました。

 

学校の補助金欲しさに就業率を

上げることに腐心する学校現場

劣悪な労働環境(実習生)など

現在の韓国社会の知識が

個人的に不足しています。

クレーマーの言葉使いや

すぐにカッとなって暴力的になるのが

彼女たちの独自のキャラクターなのか

お国柄なのかも、わからなかったので

この映画で描かれているのが

100%事実だと判断もできません。

 

しかし

 

苦しい状況の中で

相談できる人、聴いてくれる人

ただそばにいてくれる人

やはり人が必要なんです。

 

では肉親はどうなのかというと

死んだ魚のような目をした母や

知ってて知らないふりしている父。

シーンは少ないのに

病んでいる家族関係も垣間見えます。

 

ペ・ドゥナさんの鋭い眼光が

物語を引き締めました。

 

観てよかったです。

感動や衝撃を与えられたというより

「あなたは、どう思いますか?」

「あなたなら、どうしますか?」

と、問題を投げかけられたような気がします。