『室戸ユネスコ世界ジオパーク』
今年7月に箱根(大涌谷)の「箱根ジオミュージアム」を訪れた際、
四国にも「室戸」にジオパークがあることを改めて知り、
是非、体感したいと訪れました。
ジオパークは
「自然と、歴史と、生活文化、食文化に触れ、自然とジブンとの関りを知る場所」
と『室戸ジオパーク推進協議会事務局発行”ジオトラベルブック』で
説明されています。
徳島市から車で2時間半程度で室戸市に入れます。
国道の東側には太平洋が広がり
ドライブにはちょうど良い距離です。
先ず『夫婦岩』
正確には「鹿岡鼻の夫婦岩(かぶかのはな の めおといわ)」。
いつもは、近くを通過しながら眺める程度ですが
今回はジオ体験のため、車から降りての散策です。
室戸岬側から北上しているとよく目にする景色です。
遊歩道を歩き近づくと・・・
夫婦岩の近くに双子の子岩(?)も。
新たな発見です。
そして一部をアップ。
岩の表面には、色々な大きさの穴が見えます。
岩に海水がしみこみ、塩の結晶が成長することで
崩され風化を受けた構造で
「タフォニ」と呼ばれるそうです。
『夫婦岩』を後にし南下。
途中「むろと廃校水族館」を訪問し、さらに車を走らせること数分。
大きな岩山が出現します。
『日沖-丸山(ひおき-まるやま)海岸』です。
この岩の塊にも個性があるようです。
ここも歩道が整備され近くまで散策できます。
この岩はマグマが冷えて固まった『玄武岩』とのことです。
表面には、たくさんの丸い枕状の塊が見えます。
この塊は『枕状溶岩』。
玄武岩がドロドロのマグマだった状態で
海底から海水噴出され、急激に冷却。
表面はすぐ固まりますが、中はまだ熱い溶岩。
熱い溶岩は固まった表面を破り再び噴出。
これを何度も繰り返し丸い塊が出来たとのことです。
正に海底火山からの贈り物のようです。
引き続き室戸岬を目指し南下。
やがて「室戸世界ジオパークセンター」に至ります。
ここでは室戸の大地のなりたちや独特な文化などが紹介されています。
個人的ですが、立体眼鏡を使用し地図を望むと
高知県太平洋部の沿岸(南海トラフ)が
急深というより断崖絶壁的な構造と
なっていることを知り衝撃的に感じました。
海洋深層水の一大取水地であることにも納得です。
「室戸世界ジオパークセンター」を出発。
やがて『室戸岬』先端近くに到着しました。
きれいに整備された遊歩道を散策。
色々な岩が見られます。
■ビシャゴ岩
■エボシ岩
室戸岬先端付近には深海でできた地層が広がっており
「深海ゾーン」と名付けられ、昔の海底を散歩することが出来ます。
駐車場から歩くこと数分で深海ゾーンに到着します。
そこで、感動的な岩と面会。
タービダイト。
地球のパワーが伝わってきます。
思わず握手
5億年の旅。
これからも、息吹き続けるのでしょう。
タービダイト拡大
薄い板を何枚も重ねたような縞模様の岩が
縦方向に激しく折れ曲がっています。
薄い板様のものは海底に積もった泥や砂の層が
長い時間をかけ重なったもので海底では水平方向の層のはずです。
高知県太平洋沖の南海トラフでは
海洋性のフィリピン海プレートと大陸性のユーラシアプレートが
ぶつかっています。
海洋プレートは大陸プレートよりも重いため
大陸プレートの下に潜り込みます。
結果、プレートの上にある沈み込めなかった海底の地層は
ユーラシア大陸東端で縦方向に追いやられ陸の地層と化します。
これが「付加体」と呼ばれる地質帯のようです。
日本の殆どの岩石は付加体でできているそうです。
その後、3000万年前ころより
日本列島(付加体)は大陸から引きちぎられ東へ移動し
およそ1500万年前に現在の場所に至っています。
現在の室戸岬周辺の大地の大部分は
約5000万年前~1600万年前の時代に
太平洋の深海で堆積した地層でできているとのことです。
室戸ユネスコ世界ジオパークの3つのポイントとして
『室戸ジオパーク推進協議会事務局発行”ジオトラベルブック』で
次のように紹介されています。
①深海に積もった地層ははぎとられ「付加体」となる
⇒「付加体でできた大地」
②「付加体」は押し上げられ陸地となる。
⇒「隆起する大地」
③陸地はプレートが押す力でさらに持ち上げられ続ける。
⇒「変動帯に生きる」
7月に訪れた「伊豆」にしても今回伺った「室戸」にしても
地球の息吹を十分体感することができました。