10年ほど前まで、この工業団地の近くに実家がありました。

10代後半、若気の至りで争いごとに加わり、体を痛めた場所。

20代、恋愛時のひと時を過ごした場所。

30代、この岸壁のチヌ釣り名人のお爺さんから、チヌ釣り方法、時に人生を諭され、頻繁に釣りを続けた場所。

30代後半、精神が不安定だったのか、酒に酔った状態で真夜中から夜明けまで佇んでいた場所。

40代、ボクシングの練習でひたすら走り込んだ場所。

 

久しぶりに訪れましたが、釣り人がいない・・誰もいない。もう釣れないのか。。。

それでも思う。

あの時のお爺さんみたいに、日々、竿を固定し椅子に座り、中々沈まぬウキを見つめながらマキエを投げる。

たまに寄って来た若者へ、質問があれば訥々と説明し、時に、若者の小言を静かに聞く。

あの時のお爺さんのようになれたら、と。

この場所で。