墓じまいと
遺産相続と障害者と
色々と面白い本だった
P92
この人は、生まれたときから大きな荷物を背負わされているのに、だれをもうらむことなく、いつも優しい。
(略)
そして、自分にはだれも居なくてひとりぼっちだと思っていたけど、姉が居た。
この人は、何もできないけど、ひたすら正美のことを愛してくれている
正美も、姉を同じように愛しているから、わかるのだ。
ちまたで大安売りの「愛する」ということを、どれだけの人が実践し得るというのだろう─。
P112
「残りは全額、花の光園に寄付します」
花の光園とは、姉の君枝が入所している施設だ。
(略)
「なんで、役立たずでお荷物の君枝なんかに……!
あいつが生まれてきたせいで、うちの家族は不幸になったんじゃないか。
あんなやつ、生まれる前に死ねばよかったんだよ!
そしたら、こんなことにはならな─」
兄の放言が中断したのは、正美に殴られたためである。
最初に平手打ちしたが、すぐにそれを後悔した。
こぶしを握って殴り直した。
(略)
「もういっぺんいってみろ、
このド外道が!」
実際
腐れ外道!
と相手を罵倒
することが最近あった
手も
出そうになったが
美ら奥さまに止められた
亡くなった母の
お骨をしばらく手元において
東京の墓じまいをする予定だったが
勝手に
寺と話をつけて
戒名までつけてしまった
金だけはある(笑)
が
沖縄にある
墓への想い
など微塵も
ない
恥をさらす
ことになるので
墓じまいに限らぬ
相手のこれまでの外道ぶりや
自分が
東京の墓じまいを
考えるに至った経緯は記さない
納骨の
当日には
仕事がふたつ入っていた
きっちりと
仕事を済ませ
帰宅をしてから
美ら奥さまと息子と
三人でウートートーをした
墓なんか、紙に名前を書いたものを部屋に貼っておくだけで十分
死んだ親を思い続けても自分の人生は何も変わらない
一見しただけでは
罰当たりな文章にみえるが
行間を読むと
……深い
色々考えた
それはまた改めて