潤滑オイル新製品の紹介【その2】 実際に試用してみる | ヒト・モノ・アソビ... 人生を楽しく快適にしてくれる素敵なものたち

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なるほど!店主が長らく課題として感じてきた潤滑、オイルに関しての条件を満たすような製品が地元兵庫県のメーカーが生み出し、やはり地元のサイクルショップからご紹介いただくことができました。CNTを分散含有した低粘度のオイルです。製品はLPGのエアゾールスプレーで小さなものが90ml、大きなものが250mlです。黒鉛、という先入観ですが手に噴霧してみても「黒い?」という印象はありません。さらりとした感じですが滑らかな感触はずっと継続します。しかし他のスプレーオイルと比べてみても、あるいはその他のオイルと比べてみても触感では何ともその性能までは判らないレベルです。あくまで人間の皮膚表面での圧力や摩擦で違いが分かるほどではないのでしょう。ただ、どの程度の粘性のオイルをベースにしているのかは大体推定できました。これまでの潤滑オイルではその粘性でチェーンに試用した際に「大体○○㎞位は持続するだろう」ということを掴んでいます。おそらく300㎞位は問題なく持続するでしょう。ただ、固体潤滑の本領を発揮するのはそのオイルが切れた状態でどれだけ金属同士の摩擦低減を継続して持続するか、です。あるいは距離は伸びなくとも、雨水や路面の水、埃などの環境でオイル自体の持続は大幅に短縮されてしまいます。そうした際にこのCNTがなくなってしまったオイルに代わってどれだけ潤滑を続け、摩耗を防いでくれるのか、が大きな特徴となるはずです。ちょっと期待が膨らみます。

ところで、2~300㎞ごとにとチェーンを洗浄して新たにオイルを塗布、というサイクルをこまめに繰り返すのであれば、極端なところなにもCNTオイルでなくとも、どんなオイルでもそれなりの好条件でサイクリングを楽しむことは可能です。100㎞程度で枯渇してしまうような超低粘度のオイルでは役不足ですが、適度な粘度のオイルが見つかれば必ずしもCNTオイルでなくても、というのが正直なところです。果たしてそれだけの効果を感じることができるのでしょうか。
一方で、チェーン以外への活用をいろいろと考えてみます。製造メーカーも必ずしも「自転車用」として開発、製品化したものではないのですからそれ以外にも適した用途がたくさん考えられ、あるいはすでに効果的に実用されているということのようです。研削、切削を行う金属加工や一般的な重量機械の潤滑などにも効果を発揮しているのだそうです。低粘度を生かした高速回転軸への使用も良い結果を得ているそうです。ということはチェーンに限らず、自転車のあらゆる回転部分への使用が効果ありそうです。自転車の整備用工具やチェンソウを含むあらゆる工具、道具にも、です。当然ながら車やオートバイ、ミシンや釣り具、引き出し、扉、アウトドア器具・・・ おそらくあらゆる潤滑を必要とする箇所の全てに使え、そして大きな効果がありそうです。溶液媒体としてのベースオイルも、スプレーガス材料についての情報が明確にされているのでもし適合しない場合は事前に調べることができます。そうしていろいろな試す対象物を考える中で閃きがありました。「グラファイトが無油条件下でのゴムの潤滑性が良い」ということを耳にしたことがあります。商品的には「グラファイトワイパーブレード」というものがあり、ガラス面をワイパーゴムが滑らかに滑ることが特徴です。そうか、ゴムや樹脂と相性がよいのか・・・ 樹脂との潤滑性が良いのはシリコンなどがあげられますが一方でシリコンは金ての潤滑能力や持続性が十分ではないと考えられています。それではCNTを含むグラファイトでは・・・ 金属間での摩擦が小さく、ゴムや樹脂に対しても無油状態で潤滑性が期待できる、となるとかなりの広範囲への適応、効果が期待できそうです。なぜこれに今まで気づかなかったのでしょう!自転車にはブレーキケーブルやシフトケーブルが使われています。金属製のインナケーブルが樹脂ライナーを伴ったアウターハウジングの中を摩擦しながら動いています。グリスでは繊細な動きに抵抗となってしまい、粘度の低いオイルでは間もなく流失してしまい十分な潤滑が不足します。不十分な潤滑で金属ケーブルが樹脂ライナーを傷つけてしまえばさらに摩擦抵抗が大きくなり、到底正確で快適な操作は困難という状態になります。組付けでこれらの適切な処置がされていない(やっていない)場合はスムーズな作動がされていない状態もあります。そこで昨今はケーブルにPTFEなどの樹脂コーティングを施したものを採用することが行われています。ところが「コーティング」というものは長持ちしない、という言葉の現れですからこれが剥がれて引っ掛かって抵抗を増やしているということも起こっているのです。 そこでオイルでもなく、グリスでもなく、CNTオイルを注入、塗布してみようというわけです。ほかにもありました。マウンテンバイクではフロント、あるいは前後に「サスペンション」を有しています。これらのサスペンションはその作動性、つまり低摩擦で軽やかに追従して動くことが求められます。ところがフロントフォークにしても、リアサスペンションユニットにしてもその内部のオイルを外環境と遮断するために、オイルシールやダストシールというゴム製シール構造を備えています。ゴムの・・・といえば上記に挙げた「ワイパーブレード」がすぐに頭に浮かぶのですが、そうシールのゴムリップとインナーチューブ表面との摩擦軽減にCNTが活躍するのでは?と。内部はオイルやグリスが充填されていようとも外気に接する部分や金属表面と擦れる部分の潤滑は十分に行われていません。想像するに簡単ですがこれは大きな効果があるに違いありません。
さらに・・ 少し前にバズった話題としてはベアリング、つまりベアリングの素材(種類)による回転抵抗の性能は実あまり大差がなかった、というものです。ここで紹介されていたものはカーとリッジベアリングに派生する回転抵抗の要因で大きなものはそのボールやレースの素材ではなく、1.充填されているグリスの稠度 2.接触ゴムシールが多くを支配して抵抗となっているというものです。長時間をメインテナンスフリーを期待するものであればグリスの稠度は仕方がないものですが、シーゴムシールの摩擦は何とかして抵抗低減を図りたいものです。加えてゴムシールが接触して摩擦を生じているということはその接触部のゴムの摩耗も考慮されるべき問題です。水や埃の侵入を防ぎ、グリスの流失を防ぐ目的のゴムシールが摩耗していけばそのシール効果が損なわれ、錆や異物混入、潤滑不足というベアリングにとての致命的なものとなります。そこでベアリングの金属転輪と接触するゴムシールとの境界をCNTで潤滑を与えれば・・・回転抵抗が軽減すると同時にシールの摩耗も制限できるということになります。これは画期的なことです。
そうして同じように考えればクルマやオートバイの車体各部やベアリングにも同じことが当てはまります。特にエンジンには数多くゴムシール(オイルシール)が使れています。自転車ほどの損失でなくとも摩耗やシールの損傷はむしろ深刻です。すべてにやるべきです。ところでオートバイに限ってですが、これらのチェーンには原付など小排気量や競技用を除きほとんどが「シールチェーン」というものが採用されています。チェーンを構成するローラーとピンの内部にグリスを充填し、プレートの隙間をゴムのOリングでシールすることで内部的にはメインテナンスフリーな環境を構成して寿命を伸ばすことが行われています。この種のチェーンのメインテナンスとしては内部の封印したグリスを流し出さないために、と過度の洗浄や化学薬品の使用が敬遠、制限されています。結果的には多くの人が「触らず」で外側に「悪影響のない」といわれる専用チェンオイルを「上塗り」しているのが現状です。自転車の整備をする側からすれば埃が堆積した古いオイルの上からさらにオイルを追加してもあまり効果は期待できないだそうし、むしろOリングのゴムをゴムを痛めやしないかと心配するところです。そこでCNTオイルの出番、と考えたのです。シールチェンの外部へのオイル塗布はあまり効果を期待できませんが内部グリスを封印するOリングと接するプレート間での摩擦を固体潤滑の力で低減することができれば結果的にはOリングの摩耗、損傷を抑えることができ、内部の潤滑環境が良い状態で長期に維持できるはずです。これは十分に試す価値はあります。ただし、効果を確認する方法がないため、上記の理論を理解して黙って恩恵を受けるしかないのですが。
その他、オートバイやクルマにも操作用ケーブルが多数使われていますが、自転車用よりは上等とは言えないこれらにはさらに効果が期待できそうです。
 
そうしていろいろと、使用してみながら思いついたあれこれに試して使用していっているのが現在です。最も主となる用途である自転車のドライブチェーンについてはま十分な距離に達してはいないものの、塗布した直後から良い感触をえています。こまめな洗浄と給油のサイクルを繰り返せばどんな潤滑油でもたいさがないのではと記したものの、摩擦係数が半分以下になるという潤滑性向上の効果ははっきりと形には表せないまでも十分に感じることができるものでした。加えて同じ自転車の使用されているすべてのべアリング(接触ゴムシール)にCNTオイルを噴霧しています。こちらも目に見えての効果は表現しようがありませんが、感じる手ごたえと、そしてシールの摩耗を抑えて長持ちさせることができる(であろう)という効果には十分以上に満足を感じています。そしてマウンテンバイクのサスペンション。実は他社からも同様な効果を謡う製品があって試していたのでその効果は明らかに感じるところで、あとは持続性がどの程度なのかを経過観察している過程です。オートバイやクルマの各部への使用でも当然のことながら悪い結果は見られず、例えば本来なら分解してグリスを給脂して、という個所をスプレーで済ませることも可能になると実感しています。たとえばクルマのドアヒンジなどは分解するにも困難、かといって一般的なオイルスプレーだけでは不十分、そんな箇所には高圧面への潤滑が可能になるようです。これらは従来の「モリブデンスプレー」と置き換えて使う感覚でよいと思いますが、価格が安くなって摩擦がさらに低下できるのですから、良いことずくめ、というわけです。
 
以上のようにまだ試験過程なものを含め、良い経過、結果をえています。専ら自転車用にとしてもチェンを主体にあらゆる回転、摺動箇所に使用して十分に高い効果が得られそうです。さらに自転車以外にもと考えると無限の可能性を効果を期待することができそうです。製造する会社は自転車専門の会社ではありませんのでより広い用途と価値観で製品開発を行っています。さらに、潤滑油、オイルだけの専門メーカーではない化学メーカーであることからオイルだけに問わられない潤滑の発想があります。このCNTオイル以外にも次の発想による製品の開発も控えているということで新しい製品にも期待が膨らみます。