ダニエル・デイ・ルイス。

気が付いたらこの人が出ている作品をいくつか観ていた。きっとダニエル・デイ・ルイスが出演する作品の傾向が私の好きなものだったということなのだろう。ラストオブモヒカン、リンカーン、父の祈りを、ゼア・ウィル・ビー・ブラッド、存在の耐えられない軽さ等々、ほかに主役ではないものもいくつか観ている。主役ではないときは後から彼だったと気づくほど、自分のカラーやにおいを役の中に練りこませていて出すぎない感じが見事に思える。主役として彼の演じる人物は歴史の中で生半可でない道を歩んできたひとが多く、精神的にも肉体的にもタフなんて言葉では失礼なほどのエネルギーを使い尽くしている。凡人ならその立場になれば放り出して逃げたくなるだろう。というより放り出したり逃げたりする選択肢などないのだ。こんな映画たちの似合うダニエル・デイ・ルイスだが、映画界から引退をしたということで残念でならない。たとえ老人でも気骨のある役柄を演じてくれる彼の映画をみてみたい。