グロリア/映画

ストーリーはいたってシンプルなのである。マフィアのトップと深いつながりがあったグロリアという女が、秘密を握っているため命を狙われた組織の家族から子供の保護を頼まれる。その家族も6歳の男の子を残してみんな殺されてしまう。グロリアはあちこち転々としながら子供をかくまうことに必死になる。元来子供は嫌いなグロリアと、懐こうとしない男の子が次第に絆を深めてゆきながら逃げ続ける。二人がタクシーや地下鉄、バスなどで組織の目を気にしながら移動する様ははらはらさせる。だが何しろ見どころなのはグロリアという女の身ごなしである。ドキドキ緊張しながらも、相手に拳銃を向けて「遠慮しないでかかってきなさいよ」と言う肝の据わった様は凄い。それも不敵な笑みを浮かべて言葉をなげるのだ。それはそれはカッコいい。それにさらに目をひくのが、グロリアの服である。逃げて逃げて走り回るのに着ているものは、ウンガロである。フェミニンなスーツスタイルばかりでどれも素敵である。血なまぐさい世界に生きる勝気な女が着ることで、衣装と女優とが相互に引き立てあっている。グロリアを演じるジーナローランズをこの映画で初めて知ったが、表情の力がこんなに強いと感じたひとはいない。相手に凄むときの笑みがこわい。それができてまた似合うひとはそういないのでは。