1948年の映画。カナダの小さな島が舞台で、主人公は耳が聞こえず話すこともできないベリンダという女性である。聴くこと話すことが不自由だからといって知能まで未発達であるはずもないのに、教育も満足に受けられずにベリンダは成長した。島に赴任して早々の医者がベリンダに出会い決して知能は低くないことに気づく。そして手話や文字を教える。ハンデの塊のような恵まれない環境にいるにも拘らず暗さはなく前向きである。文字を勉強したり手話や唇を読んだりすることで一緒に暮らす伯父や叔母とも、その医者ともコミュニケーションがとれるようになる。そして美しく成長してゆくのだが、乱暴され妊娠してしまうという困難に遭う。

しかしその結果生まれた子供を慈しみ育てる。じぶんが恵まれない幼少期を送ったからなのか、片時も離さない。そのあとに起こる事件と裁判が後半の見どころである。苦しむ姿の表現は観るものにも沁みてくる。暗さを滲みださすぎず、でも真摯に生きようとするベリンダの難しい役を演じたのはジェーン・ワイマンという女優さんである。この映画で初めて出会った人だが、演技派の女優さんである。もうひとつ初めて知ったことだが、彼女はレーガン元アメリカ大統領の元夫人である。