【千葉例会】沖 千葉例会 2月 特選句 | 航海日誌

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創刊53周年「沖俳句会」公式ブログです。
主宰 能村研三 創刊主宰 能村登四郎

 

令和4年2月 沖 千葉例会

紙上句会

主宰・副主宰 特選句 講評

 

能村 研三 選

【特選】

邪を削ぐ雪原のファインダー    頓所 敏雄

 

(評) 煩雑なものも覆い尽くしてくれる雪原。

純真無垢な白い雪原ほど美しいものはない。

カメラのファインダーを覗いても静寂な雪原の風景には

邪が入り込む余地はない。

 

【準特選】

窓枠の木目明かりや春の雪    稗田 寿明

 

(評) 近年はアルミサッシなどの窓枠が主流だが、

木の家の木目のある窓枠から見える春の雪明りは

柔らかく優しさがある。

 

森岡 正作 選

【特選】 

採寸の手足すらりと合格子     柴﨑 英子

 

(評) 誰でもその場の様子や雰囲気が想像できる句である。

合格した学校の制服の採寸であろう。

店員さんの指示に従って緊張しながら生徒は

手足の先までピーンと伸ばしている。

保護者も傍でにこやかに見ている。まさに家族の春である。

 

【準特選】

佐保姫の裳裾のゆるる湖あかり   佐久間由子

 

(評)田姫は秋、佐保姫は春を造化する神である。

この佐保姫は春の風の化身となって湖面を渡って行ったのであろう。

いわば湖面の明るさから春が広がり始めたのである。