■もうシーズンエンドなのです。
アドベントカレンダー第11日目の記事、皆々様の投稿を毎日楽しく拝読しているうちに、あれよあれよと自分の番に。
最初はプレイオフ争いの中で激戦となったNFC東地区で、如何にイーグルスが勝ち上がるか、みたいなワクワクする記事を投稿しよう!と思っていました。しかし皮肉にも企画にエントリーしてからイーグルスは連戦連敗。むしろ内容も週を追うごとに悪くなる始末で、これはポジティブな展望なんて夢のまた夢、現実逃避というよりはもはや妄想に近い記事を垂れ流すことになりかねない、という事態に陥りました。
残り4戦でDivはDALが首位を堅持し、NYG8勝、WAS6勝とそれぞれPHIの上を言っています。まだ全てのライバルと直接対決があるので叩くチャンスがあるとも言えますが、逆に言えば、残りの試合は全て勝ち越しているチームとのマッチアップで、しかもDAL以外はプレーオフ争い真っ只中。相当に厳しい戦いが予想されます。
というわけで、今シーズンは置いといて今回はフィラデルフィアのスポーツチームの中で、どれだけイーグルスが「今」期待されているのか。そんなことを記事にしたいと思います。
■それぞれ歴史があるのです。
フィラデルフィアは伝統的にスポーツが盛んで、現在でもNFL、NBA、MLB、NHLでフランチャイズチームが存在しています。現在はNHLのFlyersが怒涛の8連勝中でDiv3位と大健闘中ですが、戦力的に整っているとも言えませんし、他のチームに至っては、下から数えた方が早い始末。創立年や優勝年を見ると、まさしくその全てが「古豪」という言葉に当てはまるかと思います。
まさしく黄金期と言えるのは、NHLは1970年代、MLBは2000年代後半、NBAは2000年近辺、そしてNFLでは2000年前半と、ここ5年以上はどのリーグでもふがいない戦いが続いております。また、それぞれ強かった時期には歴史に残るような名プレーヤーが君臨するのです。
NHLで言えば、Bobby Clarke
MLBで言えばChase Utley
NBAはAllen Iverson
そしてNFLはDonovan McNabb
私はNHLやNBAはあまり見ないものの、さすがにこれらの選手は聞き及んでる。それだけ圧倒的な存在感、まさしくリーグを代表する選手ですよね。
逆を返せば、チーム力、組織力というものが重要視されるこのご時世といえども、そうした選手がいないと黄金期は形成されない。それは歴史でも証明されているのです。
■ファンも我慢の限界
フィラデルフィアの特色と言えば、ファンの苛烈さもその一つ。
このサイトを筆頭に、ネットには「如何にフィラデルフィアのスポーツファンは最低か」みたいな議論があふれかえっています。Flyersの荒々しいファンは有名ですし、「最も下劣なファンを持つチームランキング」で1位Eagles、2位Phillies、そして7位にPenn Stateとランクインしたこともあるくらい、スポーツの楽しみ方が熱狂的すぎるきらいがあります。
Philliesの前GM、Ruben Amaro JrやEaglesの前HCのChip Kellyを辞任に追い込んだメディアを含めて、裏切り者や不甲斐ない選手コーチには容赦ない罵声が浴びせられます。
■ようやくEaglesのこと
これを見ると、フィラデルフィアで黄金期を形成するには「圧倒的なスター選手」と「ファンを黙らす活躍」が絶対条件と言えます。そして現在、それぞれのリーグにそうした選手なのでは?と思える楽しみな選手が揃ってきました。
NBAは"The Process"ことJoel Embiid、MLBは公式プロスペクトランキング全体2位に位置するJ.P.Crawford…鳴り物入りで入ってきたこれらの選手が向こう1、2年で開花しそうな中、Eaglesにも遂にそんな存在が現れました。それがQB Carson Wentzなのです。
■12月に縁があります。
今回11日に投稿エントリーしたのもWentzの背番号に合わせたかったからです。12月30日生まれですので、あと3週間で24歳になりますね。元々は第3QBの予定で、プレシーズンも一戦目に肋骨を痛めたため、今シーズンはあまり出番ないかもなあと思いつつ、まさかの初戦から先発出場。そのまま大きなトラブルもなくよく戦ってくれています。
3戦目のバイウィークまでは完ぺきなでき。柔らかいタッチでピンポイントパスを投げつつ、スクランブルもサイドラインにギリギリまで出ないガッツを見せて、チームをけん引していました。ただ、バイ明けは中々思うように活躍できず、結果としてシーズン平均レーティイングが80.1と合格とは言えない状況です。
■Wentzのせいだけじゃない。
序盤がセンセーショナルだっただけに、グレードアップしているのか不安にもなってしまいますが、そもそも取り巻く状況がルーキーには難しいもので、Wentz自身はむしろその中でよくやっているのではないかとも思っています。その理由は以下の通り
①RT受難
序盤はLane Johnsonが先発を務め、OL全体でも非常に優秀なユニットという印象でしたが、薬物規定違反により出場停止になってからケチが付き始めました。
代わりに先発したのはルーキーのHalapoulivaati Vaitaiで、WAS戦ではKerriganに抜かれまくって敗北の一因を作ってしまいました。その後は苦しみながらも適応を見せ、何とか平衡を保っていましたが、Lane復帰前に彼も怪我をしてしまい、ここ数戦は欠場中。Seumaloを試したりもしていますが、中々固定できずにいます。
特にWAS戦からWentzの投げミスが目立ってきており、なんとなくKerriganのラッシュによりバランスや判断力が狂ってしまったのかなと感じています。
②WRのドロップ
リーグ最低WRの烙印が押されてしまったAgholorやルートが覚えられないと専らのDGBなど、WRは悪い意味でバラエティ豊かな人材が揃っております。何度かTDや重要な局面でのドロップもあったため、ルーキーを助けられないWRが足を引っ張って、リズムに乗れない一面もあるかと思います。
■Wentz自身も苦しんでます。
勿論Wentz自身にも課題はあります。
①勝負時に判断が悪くなる。
試合を見ていると第4Qや劣勢時に、判断が遅れてサックを浴びるところをよく見ます。INTやドロップの恐怖があるのかなあと思いつつ、そこで度胸を見せてほしいですよね。
②体力
プレシーズンの欠場、早すぎるバイウィークなど様々な要因はあるものの、終盤に連れて精彩を欠いている印象です。また、試合を通じても終盤に力を見せる場面はありません。シーズン中は仕方ないとしても、オフに体力強化は至上命題として克服に取り組んでもらいたいです。
③投げ方
こちらは現在ネットやメディアでも議論がされていますが、HCのPedersonに公然と「投げ方に問題がある」と指摘され、それに「活躍した序盤と何も変わってないから問題ないはず」と反論したというものがあります。確かにここ数週はパス精度が悪く、それによりハイスローになったり、インターセプトを受けたりしているため、改善の余地はありそうです。
ただ、ドラフト指名時に「Bradford?見たことないww」みたいなコメントをしているあたり、自分が認めた人の意見しか受け入れないようなプライドの高さも併せ持つWentz。ルーキーHCのPedersonの指摘を受け入れるとはとてもじゃないけど思えない。
まあ聞き入れないなら聞き入れないなりに、オフは自分が認めるQBコーチから師事を受けるでしょう。
■今シーズンはとにかくいいから…
結論として、私はWentzには黄金期を作る能力が秘められていると信じています。今シーズンの不調もWentzだけの理由とはとてもじゃないけど思えませんし、どれも根本的な欠陥を示すものではありません。
だからこそ、残り4戦はホームでの同地区ライバル戦が多く残っている。苛烈なファンを鎮めるためにも、ここは何としても結果を残し、来シーズンの飛躍に向けて準備を進めてほしいと思います。
■アドベント明日も
というわけでアドベント企画の記事でした。NFL成分が少なくて申し訳ないです、明日は開催者のS@Oさんの記事になります。
http://ready-for-play.tumblr.com/
企画HPもなにとぞ!
http://www.adventar.org/calendars/1671