短歌味体 Ⅲ | 日付 |
短歌味体Ⅲ 3102-3104 ネット海シリーズ | 2019年03月15日 |
短歌味体Ⅲ 3105-3107 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月16日 |
短歌味体Ⅲ 3108-3110 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月17日 |
短歌味体Ⅲ 3111-3113 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月18日 |
短歌味体Ⅲ 3114-3116 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月19日 |
短歌味体Ⅲ 3117-3119 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月20日 |
短歌味体Ⅲ 3120-3122 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月21日 |
短歌味体Ⅲ 3123-3125 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月22日 |
短歌味体Ⅲ 3126-3128 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月23日 |
短歌味体Ⅲ 3129-3131 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月24日 |
短歌味体Ⅲ 3132-3134 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月25日 |
短歌味体Ⅲ 3135-3137 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月26日 |
短歌味体Ⅲ 3138-3140 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月27日 |
短歌味体Ⅲ 3141-3143 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月28日 |
短歌味体Ⅲ 3144-3146 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月29日 |
短歌味体Ⅲ 3147-3149 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月30日 |
短歌味体Ⅲ 3150-3152 ネット海シリーズ・続 | 2019年03月31日 |
短歌味体Ⅲ 3153-3155 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月01日 |
短歌味体Ⅲ 3156-3158 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月02日 |
短歌味体Ⅲ 3159-3161 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月03日 |
短歌味体Ⅲ 3162-3164 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月04日 |
短歌味体Ⅲ 3165-3167 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月05日 |
短歌味体Ⅲ 3168-3170 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月06日 |
短歌味体Ⅲ 3171-3173 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月07日 |
短歌味体Ⅲ 3174-3176 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月08日 |
短歌味体Ⅲ 3177-3179 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月09日 |
短歌味体Ⅲ 3180-3182 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月10日 |
短歌味体Ⅲ 3183-3185 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月11日 |
短歌味体Ⅲ 3186-3188 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月12日 |
短歌味体Ⅲ 3189-3191 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月13日 |
短歌味体Ⅲ 3192-3194 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月14日 |
短歌味体Ⅲ 3195-3197 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月15日 |
短歌味体Ⅲ 3198-3201 ネット海シリーズ・続 | 2019年04月16日 |
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ
3102
ツイッターの流れは速い
のんびりと
魚釣りする気分じゃない
3103
次々に泳いでくる
魚たち
バシャッとひれ打ち色鮮やかもある
3104
ぼくらはひとり舟乗りさ
目まぐるしい
光景も凪(なぎ)と操(あやつ)り進む
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3105
にぎやかなネットの海へ
(ちゃぽん)
今そこに ほら chapoon!
3106
言葉の瓶はぷかぷか
ぷかぷか
流れていく ああ 流れて行くよ
3107
言葉の舟の操法が
色んな
人の姿形 ぼわっと映し出す
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3108
言葉・映像・音楽の
次々に
繰り出される出し物に触れる
3109
鮮やかな花々の街角
戦争・経済・政治の街角
動物たちの街角、次々と
3110
あれいいなこれもいいよと
つぶやきながら
自分でもあれこれ繰り出す
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3111
ひっそりと言葉紡いで
そうっと
飾り付けもなく店先に置くもある
3112
奥まった所に人はいて
何を売ろう
としているのかわからない
3113
売るって、ここでは ほら
わかるでしょ
知らない内の心のこうかん
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3114
言葉が出ない出ないよう
と気張ってる
イメージばかりは彗星のよう
3115
それぞれの沈黙を担(にな)い
イメージが
通りを駆ける 馬も車もいらない
3116
おんなじ文字でも ここと
あちらちら
イメージの烽火(のろし)違うみたい
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3117
足早に時間を下って
ゆくゆくは
何かに出会うかと心泡立つ
3118
イメージの破片群を
かき分けゆく
一瞬、サーカスのふしぎな光景に会う
3119
脇道から色んな楽隊
現れては
消え イメージの破片踏みゆく
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3120
一昔めくってみると
一画像
開くのに一分以上もかかったよ
3121
いま考えられないことが
未来のみちは
深い眠りにいるんだろうね
3122
バーチャルのそれが何なのさ
本道は
依然雑草の難路行
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3123
押し上げられた 時代の水圧
振り返る
ぼくらの重いおもい他人事のよう
3124
すいすいと滑る滑る
幻の
色鮮やかな水面をすべる
3125
確かな触感の
バーチャルな
イメージ水面きらきらはねる
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3126
デラシネも死語となった
古書店
ばかりは名にし負いさらばえているか
3127
始まりは新しいぞ!
ばかりでない
デラシネの影終終(シュウシュウ)してる
3128
確かに父母(ちちはは)から
生まれたが
死語中空に終終終(シュウシュウシュウ)
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3129
新しい古いの向こう
地層の
全体が浮き上がっている
3130
対立は不毛の昨日から
怨怨怨
背後からふうっと怨嗟が来る
3131
文字となったバーチャルの
血は見えぬか
くるくるくると墜落するぞ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3132
せんどうの顔は見えぬが
見知らぬ
古びた国に棹を差している
3133
端正な書体なのに
濁った
泥水ばかりが流れて来る
3134
同じ文字の形して
新旧の
異装にぎわうネット海はも
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3135
酔っ払った書体が
あちこちに
ぶつかっては身を立て直し
3136
流れ出す意味は無意味に
さ迷って
ちぎりちぎられ流れにのる
3137
どこかに流れ着くか
なんてこと
思い浮かべちゃいけない
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3138
走法がむずかしくても
ただただ
いい感じに流れに乗ることさ
3139
イメージがすずずんと肌を
流れる
もうそれだけで言葉は要らないのさ
3140
あれこれと操りながら
心内(こころうち)に
未来の種も小さくつぶやく
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3141
いつでも瞬時にネット
海に入り
淡い間のあわいを流れる
3142
色色のいろんなものが
小さな
泡吹きながら流れてゆくよ
3143
見知らぬ顔の言葉にも
時には
ああいいねと手を振る
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3144
菜の花の列を過ぎると
誰かな?
ふいと微かに匂い流れる
3145
春。色鮮やかなのに
しっとりと
生の香りがしない ネット海。
3146
イメージの水に浸かった
目を上げる
やっぱり春だねえ 新春(シンシュン)。
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3147
ひとつの動画を潜(くぐ)る
モチーフと
偶然とはらはら絡み落ちる
3148
モチーフの丘を越えて
ずっと向こう
あの青葉の下で出会うんだ
3149
名声もお金もうけも
別にいいけどさ
ほら この青葉が滲みるなあ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3150
顔立ちも表情も
見えない
ブラインドのすき間から触れる
3151
顔がないせいだろうか
もじもじと
くり出す言葉は少ないなあ
3152
ヤナギタの「正視」かき分け
語り出す
青い種族の伏し目がちはも
註.柳田国男によると、この列島の民の精神の遺伝子では、正視するのではなく目を合わせないのが常態だったという。
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3153
どこへ流れて行くのか
わからない
流れの水を掬ってみる
3154
言葉となった自分の
顔の移ろい
水鏡に映っている
3155
流れは速い はやいなあ
〈あ〉の言葉
流れにとどまる間もなく去る
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3156
(何か言おう とすると)あ うえを
びゆくの
とっぴんしゃらら うえびゆくのよ
3157
(何んでもいい と言うから)
ダダーン!
踏み踏ま踏みょはれへるほはと
3158
(見晴らしは)悪くはない
でもでも
デモする方がいい日差し浴びるよ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3159
ネット海に魚が跳ねる
花々の
あわいにネコが戯れる 春。
3160
流れる 舞台上に
イメージ群
ガンダムランダム 新しいぞ。
3161
生々しい匂いはしない
シナイ半島
煙が上がるよ 不穏。
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3162
宇宙船の中しかない
世界なら
イメージだけが生え繁茂する
3163
背負っている木々や山川
ある限り
二重の視線イメージの中を走る
3164
イメージの雨の中に
ぴっちぴっち
ちゃっぷちゃっぷ素肌を流れる
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3165
よいしょと上がって海へ
ダイブする
これって時間の TLL流れだな
3166
流れにどんな未来が
差してるか
何て知らないさ 過去現在のTLL
註.TLは、timeline(タイムライン)。
3167
振り返ると遠い過去が
化粧され
今日の顔で流れて行くよ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3168
わたしは服を着る
変身!
〈私〉となってネット海を泳ぐ
3169
学校で男先生が
おとうさん
ではないように〈私〉は泳ぐ
3170
おんなじ部屋にいても
〈私〉は
わたしではない 分身の術さ。
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3171
さくらがネット海に
咲いている
「きれいね」「きれいだね」
3172
ふしぎでもなんでもなくなった
けどけどけ
(おかしいだろう)どこからか声のする
3173
下ろしたての服の物語
こなれて
流れてゆくよ どんぶらこ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3174
ただの木切れじゃん、とはならないな
イメージの
宿りして人形が生き始める
3175
人形にもこころ揺れる
人だから
イメージの流れ泡立つにも
3176
なあんだこれ造花じゃん
から時を越え
見分けつかなくなってしまったよ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3177
ネット海に浸かりながら
中継する
きみは新手(あらて)のアナウンサーか
3178
中継するすると
幕上がり
もの珍しい光景迫る
3179
みるみると目は楽しんで
イメージ面を
すいすいすすいスピード・スケート!
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3180
ほんとうの顔は見えない
ネット海
流れはあるよ、ほんとうのって何?
3181
息子とオレオレ詐欺は
どう違う?
同じ通路を言葉は駆ける
3182
流れる画像や言葉たち
ほんとうの
選択する手匂い立つ 微か
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3183
絶対にバレないとして
さてきみは
百鬼夜行をなすか ナスカ
3184
ナスカにはナスカの事情
があって
ナスカ原理にコンドルは飛ぶ
3185
ゆったりと飛んでいる
コンドルの
翼はアンデスの風に染まり
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3186
はっきりした言葉が通る
世界が
あるあるある世界があり
3187
はっきりと言葉で言えない
世界が
あるある通路を探している
3188
まなざしを少し傾ける
と とっとっと
世界の色が多重になる
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3189
大声の大泡立つ
流れに
小声や無心の泡小さく立つ
3190
どんな小声も堰き止めない
まぼろしの
流れの倫理 さくら花びら
3191
真になる条件の
平均台
小声で静かに渡ってゆく
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3192
もう花見はしないなあ
石ころを
蹴りながら桜道をゆくよ
3193
音楽過剰本過剰
ドラマ過剰
広告過剰過剰かよ
3194
過剰に肯定も否定も
なく、ただ
渦中を昨日と同じく歩む
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3195
ああこの小石感じいいな
出会いあり
持ち帰り机上に乗るもある
3196
ありふれた小石ゆえにか
時として
ひかり輝く時がある
3197
ネット海いずれにしても
腐海なら
誰も泳ぎに来ないよなあ
[短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続
3198
花冷えの春、人も世界も
しずかに
昏(く)れる世界の渦中歩いて行く
3199
(わからない)とつぶやく
隣を
ふうっと抜けていく風がある
3200
楽しい歌やダンス
いいけどさ
心の内に鳴り響く 異音異韻律
3201
(やけに楽しそうじゃないか)
閉ざされた
行き止まり ぶ厚い雲 ウ