短歌味体―宇宙論的な試み(260首) 3 | nishiyanのブログ

nishiyanのブログ

この列島の一住民です。(九州)
今までにない最悪の復古的イデオロギー政権を退場させるため消費(GNPの約6割を占める家計消費)を意識的に控える活動を広めることを開始。2017.12.14に休止。★ひとり継続中。

 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


121 ▲
回って回って回るう
裏通りは
目まぐるしい時に肩固く張りゆく

 註.肩が凝るということ、その現場の有り様を想像して。


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


122 ▲
言葉は高層ビル
ずずずんと
寡黙(かもく)な地階からにぎやかな高層まで

 註.社会に流動する全ての言葉を高層ビルに見立てて。


123 ▲
言葉は記号ではない
ざっくりと
こころやからだ突き刺し刺さる
 

  註.言葉は人間の証(あかし)かもしれないが、一方、言葉は不幸の証でもあるかもしれない。



 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


124 ▲
深い闇打ち震えるは
何ゆえに
生きものみな体中(からだ)走りゆく


125 ▲
震えるを打ち消し消さんと
声絞る
わあおおおーんわおわおおーん


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


129 ●
風が立ち日は差し巡り
内になびく
動植物の自然な足跡


130 ●
この地にて
姿形変え
今に在る
数十億年の
黙する大地よ


131 ●
大地には
生あるものが
未だない
聴く者いない
時を刻むばかり


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


132 ●
おぼろげに
不在の日々を描き出す
自由自在の言葉という奴


133 ●
宇宙に股(また)掛ける時
目まいのよう言葉は凍る
(あっおっうっい)


134 ●
人だけか
言葉に咽(む)せる森さまよい
沈黙の太鼓どんどん鳴らす


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


135 □
さざ波立つ内なる森の
葉揺れひとつ
みどりに染まる気は樹を生みゆく


136 □
石投げて水面(みなも)見つめる
時もある
1234………湧き上がる抒情(うた)


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


141 ▲
遠目には見知らぬ他人
囲われて
角出し槍出し底なし沼へ


142 ▲
あがいても言葉の手足も
みんな 泥まみれ
ああ どこにある「ほんとうのこと」
 

 註.宮沢賢治―吉本隆明の「ほんとうの考えと嘘の考えを分けることができたら、その実験の方法さえ決まれば」を思いつつ、また現下の福島原発大事故が当該生活者住民にもたらした、もたらし続けているこまごまとした諸問題と、その上空で相対立する放射能被害問題を思いつつ。



 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


143 ▲
ほんとうは 人それぞれの
色放ち
交錯しても黒く濁らぬなら


144 ▲
誰にでもなじみの音色
ふいと来る
ゆあーんゆよーんゆやゆよん

 註.中原中也「サーカス」より


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


145 ▲
折れ曲がる人付き合いの
意味別れ
二心ありの「いい加減」

註.「いい加減」という言葉に二重の意味が発生したことを想像しつつ。


146 ▲
距離により湧き方ちがう
イメージの
体温となって流れ下る
 

 註.例えば、歌手や芸能人や有名人や王などに対して人が熱くなるのは、自分との距離感の大きさゆえか、その距離感を縮めようとして熱くなるのか、もちろん、わたしのように距離感の大きさゆえ無関心ということもあり得る。



 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


154 ▲
ちょっとした一言なのに
軽くなる
人のこころの飛び交う大空


155 ▲
1g増やしただけで
味ちがう
心模様の変化する境界値(へんげするさかい)


156 ▲
投げ入れてしまった一言
こうかいに
荒い波風立つのが見える


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


160 ▲
独り言つぶやく人も
無言でも
あれこれそれとカジュアル・トーク


161 ▲
くり返しおさらいしてても
相手には
ビミョウな誤差や屈折生まるる


162 ▲
ひとひとがうまくかみ合う
時あれば
流行歌軽やかに舞う


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)


163 ●
沈黙の奥の奥まで
すべり落ち
古井戸の底染み出すものあり


164 □
何もない
と振り返り言うも
何かある
生きてるかぎり
舞台裏は駆動し続ける 


165 □
あ    お
ああー
あっああー  おっおおーー
 

 註.そういえば、小さい頃山遊びなどでそんな声出していた
    ような………。



 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


166 ★
う (みず) (水なのか?)
(ちろちろち)
(きらめいている) う (水なのか・・・)

 註.人間の遙かな遠い記憶、瞬間のまぼろしのように。


167 ★
・・・ゆれ・・て・・・・
・ゆ・れ・・
・て・・ゆれてい・・・る・・


168 ★
はじまりは言うに言われぬ
苦労して
この穏やかな海に溶け泡立つ


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


172 ★
ゆらゆらら 踏み出す一歩
後ろ髪
引かれ幻の踏み行く小道


173 ★
あいさつの「はじめまして」は
遙か遠く
出会いの時の踏み均(なら)し秘め


174 ★
名札付く言葉以前の
顔立ちは
すっぴんぴんと微笑むばかり

 註.言葉の品詞(名札)ということを思いつつ。


175 ★
風の音の沢沢沢と
吹く時は
葦(あし)も膨らみ言葉もふくらむ


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


176 ★
生まれ立ての赤裸(あかはだか)のよう
染み付いた
観念の服脱ぎ立つ気分


177 ★
場面変わり声色(こわいろ)変
・・・さま
初源も今も平等の揺らぐ

 註.名字がないとか言われる人々の映るテレビを観てて、ふと。


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


178 ★
な・が・れ・て・流れているよ
今ここに
始まりから始まり巻き込み


179 ★
なるようになるほかないか
流れ来た
始まりからの海波に心逆らう


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


180 ▲
「あ」と「い」の距離を走破する
時間(とき)の内に
人それぞれの匂い立ち込む


181 ▲
一つ言葉分解しても
あいうえお
微分して導線の行方見る


182 ▲
ハッとする深み増しゆく
色合いの
言葉染みてる地を踏みゆく
 

  註.電子空間に限らず、思いがけず、普通の人々の味わい深い言葉に出会うことがある。それぞれなんらかの仕事や専門があるのだろう。このしんどい同時代を踏み歩いてきた年輪からいい香り立つのに出くわすことがある。



 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


183 ▲
なにゆえにひとりに帰り
ちいさな場
一人一人でまもりまもらん

 註.「まもる」(古語)は、見守ると守るとの意。


184 ▲
洗練しカッコ付けても
やり込める
学の表情(ことばのよそおい)ボスザルに似て


185 ▲
恐れなす獣のように
呼び込むや
宗教・イデオロギー(まじないにきょうつうのまぼろし)


186 ▲
石持て打つ残虐も
イエスを超え
疾走する世界に互いに打たるる

 

 註.事件として浮上する残虐は、ワイドショーでも真面目くさって裁かれるが、内省を迫るイエスを超え、つまり内省の余裕すらなく、当事者たちはこの世界の流れに追いまくられ、互いに打たれている。そこから見ると行き場のない黙する〈悲〉の情景が見えるような。



 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


197 ★
知らぬ間に心臓動き
大気を吸う
ひとつ流るる 今を生きる


198 □
重々巡り巡っても
始発する
終着点は言葉であるよ


199 ●
静けさの夜の底を
突き抜ける
ただ 暗闇と小さな光


200 ▲
振り返れば あれこれそれと
色鮮やか
ひとつ流れに引き絞られゆく


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


223 □
足もとに小石のあるが
ふと懸かり
歩み入るのは何の通路か


224 ●
重力なんて気にしない
実感無く
実感超え作動す宇宙原理は


225 ★
おそらくは月に降り立たずとも
始まりは
体の重み自ずから覚(おぼ)ゆ


226 ▲
知ってても知らなくても
変わらない
この人の世 光り明滅す

 註.人の日々の営みとこの世界の移りゆきということを思い浮かべて。


 


 [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


227 □
ただいまと日々帰り来る
不思議さよ
と迷い込めば深淵(しんえん)開くか


228 ●
砂を見る ひとつひとつの
乾ききり
夜が下りれば冷えゆくばかり


229 ★
いつからか 振り返ることもなく
手際よく
焼き上げていく厨房の人


230 ▲
目に染みる煙り漂い
ストーカー
振り払っても煙煙煙


 


 [歌味体な Ⅱ]  □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


237 □
ドア開ける 日々くり返す
透き間より
アブナイ匂い微かに煙る


238 ●
人間界(ひとのよ)の蟻さんたち
俺 俺 俺!
あちこちそちこち (・・・・・・)


239 ▲
ズームイン 一つ一つの
川砂の
重み増し増す画面いっぱいに


240 ★
ズームアウトをくり返し
踏み踏み
固まる芯ははじまり記憶す


 


 [歌味体な Ⅱ]  □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


244 □
日差しやら風雨にさらされ
ひび入るよ
芯の芯までざっくりんりん 


245 ●
記憶あり巨きな時間が
ゆったりの
夢の中までりんりんと響く


246 ▲
くり返す日々の自然に
溶け込んで
思いもしないぱっくり破局


247 ★
そういえばいちにーさんぽ
立ち上る
遠い微気配またぎ越し来る


 


 [歌味体な Ⅱ]  □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


253 □
なぜなのか ものみなすべて
静止せず
始まりあって終わりがある


254 ●
生きものの数に合わせて
たくさんの
時間と空間(ときとば)がある 巨きな時間(とき)の内に


255 ▲
人のみがこの宇宙(せかい)の
沈黙の
さざ波立つ由来訪ねてる


256 ★
数百万年(ながいとき)歩み来た人の
足跡は
いろんな癖を今に刻みつつ


 


  [短歌味体な Ⅱ]  □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


280 □
なぜ思い浮かび漂い
流れ出す
朝もやもやと人の気配なくとも


281 ●
生きものの現れる前も
死滅後も
光差しては闇下りる(だろう)


282 ●
わたしの生まれる前も
死後さえも
朝が明け夜が下りる(のだろう)


283 ▲
にぎやかな音と光の
ダンスする
表通りをひっそり抜けゆく


284 ★
言葉のどんな表情(しぐさ)にも
遙かな
生まれ育ちの傷跡の微(かす)か


 


  [短歌味体な Ⅱ]  □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


288 □
ああここかと石を反(かえ)す
うずくまる
まぼろしの魚(いを)眼窩に跳ねる


289 ●
雨に濡れ艶々(つやつや)みどり
何ゆえに
感応するやこの宇宙原理


290 ▲
知らぬ間にみどり流れて
ひとり負い
ふたりさんにん背負いゆく日々


291 ★
振り返る記憶たちの通路(みち)に
バックミュージック
反り跳ね屈(くぐ)むみどり流るる


 


  [短歌味体な Ⅱ]  □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


292 □
さっと引く朝のはじまり
今日もまた
日差し差し込み模様替えする


293 ●
何気ない一言の揺らぎ
ずり落ちる
砂防ダム越え真っ暗闇


294 ▲
荒れ狂い飛沫浴びる
時もある
まぼろし寄せる堤防の道


295 ★
人により色や形が
違っても
まぼろしの防波堤(せき)止めるは同じ


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


317 □
石ころがころがっても
笑い出す
音楽みたいに飛び石を踏みゆく


318 ●
暗黒の光一滴もない
緘黙(かんもく)は
静かな宇宙の孤独の表情(かお)


319 ▲
小説(まぼろし)の中だけでなら
光内秘め
暗黒宇宙(うちゅう)に入る緘黙症 

 註.埴谷雄高『死霊』の登場人物を思い浮かべて


320 ★
今も続く 光る暗む
流れる
ぐぐっと引き合いばんと反発する


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


334 □
火花散る見知らぬ街を
通りゆく
心に映る十重二十重(とえはたえ)の火


335 ●
月から地球を見渡す
暗い海
から擬人の船が浮上する


336 ▲
フェリーから遠い岸辺の
灯り見ゆ
夜のしじまに肌を流るるあり


337 ★
ふいと肌流るるものは
深ああい
時間の海から起動し来たる


 


  [短歌味体な Ⅱ] 政治論シリーズ・続


341
ぐーんとぐんぐんぐん
近づいて
内には入れぬただ外に匂う


342
ぐーんと近づきつつ
つつーと反転
内に自らの体験、像結び流る


343
政治家A いつものように
歩いてく
明るい廊下いつものように


344
政治家B 楽屋を通り
身繕(づくろ)い
スポットライトに声の裏返り微(かす)か


345
政治家C 踏み慣れた道
横切るは
無縁の顔の蚊声(モスキートトーン)


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


346 □
片付け捨てる ビミョウな
分岐点では
年輪の手立ち迷う


347 ●
星々や銀河系にも
生死あり
生花のように輪廻転生す


348 ▲
人知れず泣き微笑むも
ありらんらん
歌うリズムは雑草のごとく


349 ★
人界(ひとのよ)の街歩きする
視線(め)走らす
こころ揺れ揺られ 同一性と差異性(ひとそれぞれに)


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


356 □
稲光る自然の現象
耳目(じもく)に入り
言葉を超えて肌の丘陵(おか)を流るる


357 ●
人超えた巨きな時間(とき)の巡りから
地震津波
人知を破り押し寄せてくる


358 ▲
人の世の悪行は
自然似でも
心ころころ鈍く転び出る


359 ★
突き詰めて無とか悟りとか
上り詰め
下を見返せば心ゆらぎ居り


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


366 □
知る知らず区別もなく
触手(て)を伸ばし
走査する言葉は疲れを知らず


367 ●
可能のみ言葉は発掘し
少しずつ
時の地平を超えダークマターと引き寄せる


368 ▲
わからないとつぶやく時も
その球面(せかい)
に肌触れつつ上り下りしてる


369 ★
そうですかと言いながら
言葉は
経験(とき)の始まりから反芻(はんすう)している


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


384 □
密やかにちろちろ水の
流れ照る
いつか誰かが気付きはじめる


385 ●
わたしたちの眼力(がんりき)超えて
てんきりん
遙か果てまで星々の瞬(またた)く


386 ▲
生涯は匂い味わい
絞り出し
ぐるぐるぐるん 静かな失地


387 ★
人はみな百花繚乱
奥処(おくが)には
古い古い一花(いっか)小花(しょうか)の咲く


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


392 □
ああ蟻だこんなところに
動き回り
キギありありと(我が心に)足跡残す

 註.(我が心に)は、置き字です。読みません。


393 ●
そんなことあんなことあろうと
モクモクと
日差し風流れ微変位し行く


394 ▲
細々(こまごま)と日々切り分ける
流しにも
柔らかな日差しサンサ差し込む


395 ★
(ユラユラ)夢現のように思っても
時の重力(おもり)
生涯を七色に均(ならす)

 註.(ユラユラ)は、置き字です。読みません。


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


399 □●▲★
今日もまた日上り沈む
タンバリン
昨日と今日(微妙に色合い違って)棚引いている

 註.(微妙に色合い違って)は、置き字です。


400 □●▲★
階段を上り下りする
静夕暮(せいゆうぼ)
靄もやから親しい顔の


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


401 □●▲★
夕味林(ゆうみりん)独りさまよい
微かに
肌を流るるは遙かな(少年の)日々

 註.(少年の)は、置き字。


402 □●▲★
口癖は古い年輪の
一木(いちぼく)の
芯の方からモスキート香

  註.「モスキート香」は、「モスキート音」からの言葉のずらしです。


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


414 □●▲★
立ち上がり歩み始める
ここそこと
上り下りして終点を踏む


415 □●▲★
ジャンプして無常と見ても
重心を
流れ逆巻く血は現在(いま)を指す


416 □●▲★
(手前にてあることを)
知ってても知らなくても
引かれた
カーテンの後ろダークマター

 註.(手前にてあることを)は、置き字です。


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


417 □●▲★
見ていても見えないことが
ありありと
動き回るのが小さく見える


418 □●▲★
外国に行ってみたいと
思わない
AKBも知らない この岐(わか)れ道は何?


419 □●▲★
外国に浮かれ旅をし
歌い手に
イカレルも良し 深まりきた自由だから


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


422 □●▲★
星々は見えなくても
古びた
フライパンは焦げやすくなった


423 □●▲★
数値計算しなくても
ふとつまづく
人と人との距離測り難し


424 □●▲
見た画像(こころ)深く沈め
小さな
煙り出し朝食(しょくじ)を作る

 註.「見た画像」とは、ハッブル宇宙望遠鏡からの画像。(こころ)は、置き字。


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


432 □●▲★
ぽったりんしゅわしゅわわ
内側で
波立ち広がり色混じり合う


433 □●▲★
関係は物と物でも
自身でも
ぶつかり合って色変わりしゆく


434 □●▲★
色あせても深みに息づく
色合いは
真っ赤な血の脈波打つ


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


435 □●▲★
静かな雲 目をつぶらなくとも
引っ張られ
上横ふくらみ時間の海へ


436 □●▲★
静かな雲 に・から・へ・を
駆動する
もうもくもくと静かな起動音


437 □●▲★
いつから知り始めたのか
雲という
姿形や唇震う音


438 □●▲★
知ってから・・・何度目の
ver up か
何度目かの雲今大空に


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


448 □●▲★
灯り落ちびゅうびゅーん
荒れの記憶
この台風に溶け混じり居る


449 □●▲★
らむらむらむらむらむらむ
音揺らぎ
不定場から遙かな遠吠えの


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


450 □●▲★
ものが頭に落ちてくる
そんな日は
いろんなつながりの糸たぐり寄せている


451 □●▲★
「ふと」という言葉につまずいて
すっからかん
底の底まで突き抜けている


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


462 □●▲★
すべり出す言葉の舟は
かたち成し
チョーかわゆいと時の帆を張る


463 □●▲★
あれいいねのびる言葉の
触手
時間の空洞(ときのふかみ)から浮上する


464 □●▲★
時代(とき)の大気に触れ湧き上がる
いい感じ
からだの芯から肌のふるえる

 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


474 □●▲★
(((waowao))こんなに大きゅう
なんしゃって)
息せき切って駆けてくる言葉


475 □●▲★
(どれがいい?これあれそれ?)
どの道も
選び採らないただ本流の深味


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


485 □●▲★
雲見てる しずかな大空
もくもくと
変貌しゆく姿形の


486 □●▲★
雲に見る 何かの形
捜している
遙か太古のイメージの匂いする


487 □●▲★
雲を出る 時間の旅路は
今もなお
残虐と豊穣と結ぶ


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


491 □●▲★
降り積もる時間の言葉よ
歌うこと
何にもないと思っていても


492 □●▲★
誰も背を押していないのに
微風に
すっと入り込み言葉の滲む


493 □●▲★
なぜかしら持ってしまった
普段着の
言葉の自由度(かるさ)、変幻自在か


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


499 □●▲★
はじまりとおわりの間に
(そこが全てと)
踊り出したりはにかんだり


 


  [短歌味体な Ⅱ] □:入口論、●:宇宙論、▲:世界論(人界論)、★:起源論


500 □●▲★
この世には残余があって
喜びも
また悲しみも沈黙の二十五時(とき)を持つ