父は「我慢せよ!我慢せよ!たぁけ!たぁけ!」と言い続けた。
とにかく先送りが信条のにんげんだった。
まだ生きているが。
小学生の俺が勉強したいというと
NHKのマイコン教室番組を
録画させるだけで、
テキストもマイコンも買わないのだ。
ビデオテープだけが溜まっていく。
おおよそ「学ぶ」と言うことが理解できていないのだろう。
テキストもないマイコンもない。
どうやって俺に学べと言うのか。
こんな足りん人間でも銀行員という職だけでプライドと給料を得て
一丁前の顔をしていた。
わけのわからないことで不意打ちの様に俺を責め
わけのわからない事で褒め出す。
俺が理解できたことは超有名スポーツ選手に価値があるので
息子(俺)はそれを目指して死に物狂いにならなければいけない。
自分はテレビを見てみかんを食べ続けながら
息子に死に物狂いを求める人間だった。
俺はここから自分を救わねばならない。
母は俺が幼い時は居丈高だった。
歳をとった今は
なんというか幼さを故意に見せつけてくる様にすら見える。
不愉快だ。
心が汚い。
弱いもの(幼い俺)には強気に出て
54の俺には弱さ愚かさを見せてくる。
どうしてこんなずるい人間だったんだろう。
心身の苦しさに眠れぬ夜は睡眠薬で無理やり眠る。
明日も働かねばならないからだ。
自分の心に溶け込まされた毒を
言葉という形で結晶化させ
自分の心から排出している。