ときどき、幽霊や祟りに関するご相談を受けることがあります。
霊が見える・霊障がある等でお困りの方が、
神道のお祓いでそれを取り除くことができるか、とお尋ねになるのです。
お悩みになっている方には申し訳ないのですが、こうした問題については、
神社では、直接にはお役に立てることは少ないように思います。
神社神道では、清祓い等の祭典はありますので、
場をお清めしたり、祟り神や迷える魂を、慰め、鎮める祝詞を奏上したり致しますが、
霊能者のように実際に霊が見えたり、それらの言葉を聞いたりするのではないのです。
神職になるための勉強の中でも、そのようなことには全く触れません。
霊が見えると仰る神職の方がいらっしゃるとすれば、それはその方の個人的な特質です。
ただ、古来の祭式に則って、正統な清祓いの祭典を行うことで、
穢れが祓われ、罪が清められて、霊障が鎮まることはあるのかもしれません。
神職に出来るのは、神道として正しいとされる作法を守って祈願することです。
神職は霊能者ではない、ということをご了解戴けた上であれば、
神社神道の祭式としての清祓いを執り行うことは可能です。
ご理解を戴けましたらと思います。
ちなみに、一般的な話として、夕暮れ以降に神社に行くものではない、とよく言われます。
逢魔が時からは、何かが出る、ということになっているようです。
私(権禰宜)には霊感が全くありませんので、それが本当かどうかわかりません。
ただ、神様にお詣りするのは太陽の光を浴びる時間にすべきだ、
という作法上の戒めとして、そういう言い方がされているのかな、と思うことはあります。
神社へのお参りは、理想的には朝の清々しい時間帯が最もふさわしいのですが、
午後の場合も、お日様の出ている時間のうちに行くのが良いと言われています。
ご家庭の神棚も、神様には太陽の方向(東あるいは南)を向いて戴くように設置するのが
望ましいとされています。
暗い時間帯に神社に行くのは、丑の刻参りなど典型ですが、
決して、健やかな、幸せなイメージには繋がらない行為ですね。
ですが勿論、前夜祭や観月祭など特別に夜の時間帯にお祭りをする場合は、別です。
神様に夜の行事を愛でて戴くために皆で活動しているのですから、
例外的に「夜更かし」のお詣りの日もある、ということになります。