今年は例祭をはじめ地鎮祭などの外祭でも、新型コロナウイルスの感染予防のため、

「手水(てみず)の儀」と「直会(なおらい)」は、行われないところが多いかと思います。

 

手水とは、社殿や斎場に入る前に、水で、両手を清め口をすすぐ、という行為です。

神社に行くと、境内に入ってすぐのところに手水舎(てみずしゃ)がありますし、

地鎮祭などではテント等に入る前のところで、手水奉仕が受けられるようになっています。

しかし目下のところ、感染予防のために厳格な手指消毒が推奨される状況であることや、

ひしゃく等の道具を通じた接触感染が心配されることから、

従来のかたちでの手水の儀は、行われないことが大半です。

 

一方、直会(なおらい)は、祭典のあと皆で御神酒などを戴くことを言います。

直会(なおらい)の名は、もともとは「なおりあい」であったとも言われ、

神事の場から元の生活に戻る境目の部分の儀式で、本来的には祭典の一部です。

ですが、お酒を戴きますので、「打ち上げ」のように捉えられることもあります。

いずれにしても、無事に祭典をとりおさめることができたという、

安堵感と解放感が皆の間で共有される場面であることは確かです。

御神酒だけでなく、お下がりの食べものも、皆で分け合って味わうのが本式です。

神様が召し上がったお酒や食べもので直会を行うことで、御恵を戴くと考えます。

 

しかし現在の新型コロナウイルス感染症の流行状況を考えますと、

和やかな場とはいえ、皆がマスクを外して御神酒を戴いたり、

同じお皿からお下がりを分け合って味わい、語り合う、という行為には、

やはり感染拡大の不安が伴います。

これまでのところ、神社でクラスターが発生したという事例は無いように思いますが、

せっかくのお祭の場が、そのようなことになってしまってはいけませんので、

当面は慎重にならざるを得ません。

残念な状況であり、皆様にはご迷惑をおかけしますが、今しばらくご協力をお願い致します。