ひかりはある
川越市のおかやす学(岡安学)です。
謹んで新春のお慶び申し上げます。
浄土真宗本願寺派布教使で、公益財団法人仏教伝道協会の職員である、江田智昭さんが面白い企画を発案しました。
それは、「お寺の掲示板大賞」というものです。
お寺の掲示板の写真を投稿してもらい、その中から受賞作品を決定するものです。
その中で、江田さんが心に残る言葉を、一つ上げていました。
これは、心理学者の河合隼雄さんの逸話に基づく言葉です。
河合さんは、その日、学会で出張中でした。
そのとき、夜遅い時間でしたが、自分の患者さんから、自死をほのめかす電話を受けていました。
自分が急いで駆け付けたところでなにができるのか。
そう思いながら、夜遅く、新幹線の駅員さんに切符を求めます。
すると、駅員さんがこう言ったそうです。
「のぞみは終わり、ひかりならまだあります」
この何気ない言葉に河合さんは心打たれました。
このときの逸話を、ある住職が掲示板大賞に投稿しました。
のぞみはありませんが ひかりはあります
新幹線の駅員さん
のぞみとは、わたしたちの希望です。
生きている中で、希望が持てないという現実があります。
しかし、ひかりがある。
ひかりとは、仏さまの慈悲や智慧です。
ほんとうは、常にひかりに照らされているわたしたちがいます。
でも、のぞみがない、ことにとらわれて、ひかりに照らされていることに気づきません。
のぞみを失っても、ひかりがある。
のぞみを失って、見えてくるひかりもあるのです。