性犯罪厳罰化、改正法が
昨日、全会一致で可決されました



性犯罪は、他人事ではなく
常に、誰でも被害者になりうる
身近な危険でもあります。

現に私も、二十代の頃、
痴漢をのぞいても、
2度、性被害にあっています。


ひとつは…
夜、友人と食事をして別れ
最寄りの駅からコンビニに寄り
自宅マンションの一階エントラスで
郵便受けに手を伸ばしたときでした…

背後から、抱きつかれるように
口を塞がれ
何⁉︎と、思った瞬間
そのまま、何者かに、
床に叩きつけられました

胸を触られ
スカートはめくり上げられ、
揉み合いになりました。

当時、私はニュース番組で
事件リポートなどもしていたので、
刃物を持っていたら…ということばかりが
頭をよぎり、
とにかく、相手の顔を見ず、
手首だけは、抑えようと必死だったのを
覚えています。

とてつもない恐怖。

その頃は、単身者ばかりの、
一階はエントラスだけの
ペンシルマンションに住んでいたので
大声をあげても、誰も
助けにきてくれることはなく

でも、揉み合いになりながら
私の大きな悲鳴に、さすがに
そろそろヤバイと思ったのか
男は、ダッシュで、逃げていきました

しばらく呆然としましたが、
すぐに我に返り 
男が逃げたほうへ飛び出すと…

男の姿は消えていましたが、
まわりのマンションの
あちこちの窓から、
顔を出すたくさんの人たちが
見えました。


そして、動転しながら自ら110番通報。
すぐに、何台もパトカーが
やってきました。

急行してくれた警察官たちの
「大丈夫ですかっ⁉︎」という
ただ事でない呼びかけに我に返り、

自分の姿を見てみると…

スカートは破れ、
ストッキングはビリビリで
足も擦り傷だらけ、
カットソーには血が滲み、
あちこち青アザ。
着ていた革ジャンの肘には
大きな穴が。

そのとき、初めて
自分に起きた事態に
愕然としました。

おでこには、大きなコブ…
朦朧としていて
軽い脳しんとうも起こしていたようでした

その姿で、察知されたのか
すぐに、婦人警官がやってきて
パトカーのなかで、
事情を聞かれました。

レイプはされませんでしたが、
ただ、運がよかっただけかもしれません。
警察に、泣きながら
「叫んでも叫んでも誰も来てくれなくて」
と話していたら
「こういうときは、火事だっ!と
言いなさい。そしたら、みんな通報
してくれるし、出てくるから」
と言われたことも、忘れられません。

今ほど、防犯カメラが
あちこちにあるわけでもなく、 
捜査のかいなく、
その後、逃走した男は捕まることも
ありませんでした。

そのときは、しばらく休んで治療して
ゲガは治りましたが、

20年近く経った今でも、
背後に人の気配を感じるだけで
言葉にできない恐怖が蘇り
からだ中に、震えが起きます。



そして、
2度目は、
取材現場で。

白装束の宗教団体の車列を追って
連日
中継リポートしていた頃。

現場は、
メディアと野次馬で、
人が入り乱れ、ぐちゃぐちゃになり
大混乱。
そんななか、人混みで、
若い男の子が、
私の胸に手を伸ばし、ヘラヘラと
笑いながら、触りました。
まるで、物のように。 

一瞬凍りついて、
声も出せませんでした。

すぐに、近くにいたディレクターが
異変に気づき、
男の腕をつかみ、
混雑の警備にきていた
警察に突き出してくれたのです。


なんでもない
日常の中で起きる非日常ほど
おそろしいものはありません。
日常の狂気。


中部地方の警察で、
そのまま聴取を受け、
被害届けを出しました。

その後、
東京に帰ってくると、
本人に聴取中だと捜査員から
電話がかかってきました。


捜査員は、
「学生だし
本人も反省してますから」と。
さらに、
「何度も、手続きとか、東京から
こっちに出向いてもらうことになりますよ?
忙しいですよね?」と。

あんに、告訴取り下げろ、と
言わんばかりです。

そして、
その大学生だという男が電話に出ると
「すみませんでした。
お金は、僕が働いて払いますので」
と。

「私は、あなたからお金が欲しくて
被害届け出したわけじゃありません。
あなたのしたことが、
どれだけ、人の心を傷つけるか
きちんと分かってください」
と話しました。

胸を触られたくらいで許してやれよ
くらいの警察と、
猛省もせず、口先だけの謝罪のうえ、
慰謝料目当てでしょ?
と言わんばかりの加害者。

両者から、
再び、傷つけられた気持ちで
虚しさで、警察に
「もういいです」と告げました。


もちろん、その男からは、
その後、
謝罪もなにひとつありませんでした。



性犯罪の被害者は、
簡単に、癒えない苦しみを受けたうえ、
その被害に
声を上げることさえ躊躇されます。




今回の改正のなかで、
強姦罪や強制わいせつ罪などに
問うために必要だった、
被害者の告訴が不要になったことは、
喜ばしいことだと思います。

そのほか、改正された点も
評価に値しますが、
まだまだ課題は残されています。


昨日、
参議院の法務委員会では
中学時代から成人するまで、父親による
性的虐待を受けた山本さんが
参考人として出席し、静かに
訴えました。
「法改正が加害者の適正な処罰につながり
社会の関心が広く性被害の実態に
向くようになればと願う」と。


山本さんが受けた苦痛と絶望は
あまりに、大きすぎて、
私には、とても想像してもできないと
思いますが、

でも、
まさに、
心から、そう願います。