学生のときに、
見た映画
「キスへのプレリュード」

ロマンティックコメディーの
ヒロインのメグライアンと
当時まだスリムで、
ウルウルした瞳の
メチャかっこいい
アレックボールドウィン…

詳しいストーリーは
忘れてしまったけど、
ワンシーンだけ、
当時、衝撃をうけた記憶が
残っています。

恋愛真っ只中にいる、
幸せいっぱいの、
とっても
チャーミングな
メグライアンが、
彼に呟いた言葉…

「こんなひどい世の中に
子供を産み落としたくない」
と。

ものすごいラブロマンスだと
思って見た映画で
突然のその言葉は
かなりの違和感でしたが、
それだけでなく、
その言葉に、当時
私は
まったくピンとこなかった…
違和感しか残りませんでした。

その頃は、
バブルがはじけた直後で
まだ、バブルの名残があって
日本は、まだ、
閉塞感に包まれていなかったし
格差もこれほどまで
進んでいなかったし、
ましてや、
私自身も
まだ若くて、
将来の夢に思いを
馳せながら、
お気楽に
楽しい学生生活を
送っていたから。
何のことを言っているのか、
まったく分からなかった。


20年以上経った今、
同じように、この映画を
見たら、
たぶん、そんな違和感は
まったく感じなかったと
思います…。


いま、
10日以上いた大阪から、
家路についています。


寝屋川の中1の男女が
連れ去られ
殺害された事件の取材…

未熟ながらも
この20年
様々な現場に行き、
特に事件現場は、そのたび、
辛く苦しい気持ちに
なりますが、
こんなにも
胸が痛くなる現場は
あまりありません。

容疑者は
否認しているとはいえ、
この事件の残忍さ…
怒りに震えます。

この数十年で、犯罪件数は
データとして減っていると
いうけれど、
社会の歪みからくる犯罪は
増えているのでは?
と、ここ数年
特に感じます。

「こんな世の中」なのか…


そんなとき、
幼なじみから

産まれたよ

と報告ライン。

また、新しい生命が。

産まれ来る子供たちが
笑顔で、夢をもって、
安心して育てる社会で
ありますように…

車窓の流れる街並みを
眺めながら、
失われたふたつの
大切な生命に
心で手を合わせました。