こんもりとふくらんだ羽根ぶとんの中に足を入れる
中はほんのりあたたかい・・キャラメル色の猫がふとんをあたためている・・・
わけではなくて1時間程前に入れたカツンと固い湯たんぽが実にいい仕事をしていた
ごろんところがりこむ
ぼくはあったか~い空気につつまれた
とたんに体の力が抜けていく・・・
「まるで焼きたてのスポンジになったみたい」
ふかふかやわらかになったぼくは昼間に見た
オーブンから出て来たばかりの黄金色のスポンジを思い出した
力強く泡だてられた たまごとおさとうはあっという間に
ビロードの手ざわりの黄色のわたになる
「さふさふっ たぽんたぽん」
と音をたてて出来るなめらかな生地は熱くなったオーブンへと身をゆだねる
どれくらいの時が経ったのだろうか
よく焼けた豊かな香りが工場だけでなくお店までも支配する
つられたぼくのおなかは「ぐう~」と音を放つ
満ち足りた香りとあたたかさ・・
ぼくの1日を二重マルへとみちびいてゆく