まつや 石垣餅


 新型コロナに猛暑も加わって、残念ながら今年の夏はほとんどどこにも行けませんでした(本当に”特別な夏”になりました)。
 そんな長かったような短かったような夏も終わりかけた先日、用事があるので久しぶりに大阪の電気街、日本橋(東京の秋葉原のようなところ)に出かけてみることに。



 用事を済ませた後、こちらはもっと久しぶりの新世界界隈(日本橋から歩いても10分くらい)も気になり、訪ねてみました。 新世界は大阪市内の繁華街の1つで、キタやミナミとも違ったテイストを醸し出しているところでしたが、ここ10年ぐらいの間に串カツのブームにインバウンド客の急増も加わったからでしょうか、何だか道頓堀界隈ぽくなっていたので、ちょっとびっくり。
 そんな新世界のランドマーク通天閣と並んでシンボル的存在になっていたのが、づぼらや(1920年創業の老舗フグ料理店)の大きな大きなフグの提灯。 その提灯がづぼらやの閉店に伴って無くなってしまいました。







因みに、づぼらやは串カツブーム以前から新世界界隈を代表する飲食店で、個人的にも少しご縁があったお店なので、今回の閉店は本当に残念ですし、新世界からフグ提灯が無くなったのも何だか寂しい気がします(今回は提灯が撤去される少し前に行くことができました)。
 もちろん、全国的にも知られたフグ提灯だけに、大阪市などが残す方法も考えたみたいですが、画像のように公道の上に大きくはみ出していたので... 難しかったみたいです(残念)。



そんなフグ提灯の行末を案じながら訪ねたのが今回ご紹介しますまつや。 づぼらやから歩いても2分くらいで、老舗串カツ店が並ぶ小さな通り(昔からの新世界の風情が残ってます)の一角にお店がある和菓子屋さんです。

 こちらは6年ほど前にできたまだ新しめのお店ながら、気になる和菓子があるので一度訪ねてみたところ。 そのお菓子が石垣餅です(なんで大阪に石垣餅?)。
 と言うのも、石垣餅は大分県の郷土菓子で、2年前に大分を訪ねた際も和菓子店で探してみたのですがその時は見つけられませんでした(家庭で作られるおやつ的なものかも)。



 と言うことで初めて石垣餅とご対面。 角切りのサツマイモが入っているところなど、名古屋のこちらも郷土菓子の鬼まんじゅうによく似た感じ。 ただ、生地は鬼まんじゅうより熊本のいきなり団子に近い印象で、よりモチモチした質感のもの(なので、石垣餅なのかも)。 サツマイモの自然な甘みと風味も一緒に楽しめます。
 中にはつぶ餡も入っていて、雑味の無い小豆の旨味をしっかり引き出した美味しい餡になっています。

 大阪は新世界のまつやで、石垣餅が作られているのはご主人が大分の出身だからのよう。 もちろん、こちら大阪で(関西でも?)石垣餅が買えるのはまつやだけだと思います。



 まつやの店頭では他にも気になるお菓子があり、幾つか買ってみました。
 あんドーナツもその一つ。 やや扁平ぎみで、見た目にも美味しそうな生地は、玉子がしっかり入っているようです。
 餡は瑞々しさが感じられるこし餡になっていて、こちらも雑味がなく小豆の風味を活かした美味しい餡。 全体としても良く仕上がっていると思います(オススメ)。



 最後はちょっと個性的なさつまいもドーナツ。 最初はその構成が良く分からなかったのですが、棒状に切ったサツマイモを串に刺し、上からドーナツ生地をクルクルと巻いて揚げたもの(こちらのオリジナル商品)。
 生地はあんドーナツより気持ちふっくらとした感触。 ホクホクとした新芋の風味、甘味に生地の旨みが絡んで、一味違ったドーナツの美味しさが味わえる一品に仕上がっています。

 それにしてもどうしてこんな形になっている? と食べながら考えていたら、”あっ 串カツ!”
 なるほど、串カツで知られる新世界らしいお菓子です。
 因みに、まつやの斜め向かいには、串カツブームの火付け役”串かつ だるま”の発祥店が今でも残っています。

 まつや
 大阪市浪速区恵美須町東2-4-20
 TEL:06-6641-5589