すごく幸せな現役生活だった
やり残したことは本当にない
バトミントンダブルス
日本初の金メダリスト
高橋礼華
あの時の鮮烈な映像は
今も強烈に脳裏に焼き付いている
2016年8月19日
リオオリンピック
バドミントン女子ダブルス決勝
デンマーク相手に16対19
リオセントラルパビリオンの観衆は
誰もがデンマークの勝利を信じ
熱狂していた
このままではだめだ
せめてあと一歩!
デンマークに一矢を報いるんだ
タカマツペアは
アイコンタクトでお互いの気持ちを理解した
次の一瞬
松友の放つシャトルが
相手コードの右サイドに決まる
まだいける
再び二人はサインを確認する
いったいどうなってしまうんだ?
コートを静寂が支配する
一気に流れが変わる
タカマツペア4連続得点
あと1点で金メダル
最後の一矢を!
相手が必死にシャトルに食らいついていく
高橋は一歩下がりながら
クロスに向けて渾身のスマッシュ!
一筋の閃光!
デンマークコートに突き刺さる
コートに倒れ込む高橋
飛び上がりガッツポーズをする松友
ギャラリーは目の前におきた
感動の逆転シーンに感情を爆発させた
あれから4年後
2020年8月19日
高橋は引退記者会見を開いた
すごく幸せな現役生活だった
やり残したことは本当にない
私に関わってくれた全ての人に感謝します
涙に声を詰まらせる
後悔の涙ではない
懐古の涙
隣には13年パートナーを務めた松友
リオ五輪で金メダルを取ったあと
この次どうして行こうかという
モチベーションにすごく悩んだ
気持ちを新たに
東京五輪に向けて頑張ってきた
19年の代表レースが始まってから
思うような結果もあげることができなかった
新型コロナで五輪延期も引退の決意の理由の一つ
あと1年、自分の気持ちと体がもつのかな
という気持ちもあって
素直な気持ちを松友やスタッフに伝えた
尊重してくれる形で今回の決断に至った
松友と組んだから
ダブルスが楽しいと思えた
こうしていろんな経験ができた
ずっとシングルスをやっていたり
他のペアだったら成し遂げられなかった
嬉しいことや楽しいことは少なかったけど
松友と二人だから
いっしょだったから
困難を乗り越えられた
もう涙は止まらない
松友も必死に涙をこらえながら
聞き取れないほどの小さな声で
高橋に続いた
中国に勝つのは難しいと思わざるを得ないほど
実力の差があった
私たちは諦めずに少しずつ成長して
最強だった中国にも勝てるようになった
高橋先輩とじゃなければ絶対にできなかった
すごいパートナーに出会えることも
なかなかないと思うので
本当に幸せだった
心からの感謝の気持ちでいっぱいです
高校時代から13年ペアを組んで来た
ここまで一緒に走り続けてきた
それはお互い
いっしょにいて
楽しかったから
お互いを認め合っていたから
あねご肌で強気の高橋
周りを立てて冷静にプレイする松友
性格もプレイスタイルもまったく違う二人
だからこそ
息の合ったコンビネーションは抜群だった
高橋は引退する
これからは
後進の育成とバトミントンの発展に携わる
松友は現役を続行
混合ミックスで来年の東京五輪を目指す
すごく幸せな現役生活だった
やり残したことは本当にない
私に関わってくれた全ての人に感謝します
今
万感の思いを自分の言葉に乗せ
二人静かに惜別の時を迎える
あきらめない強さと
色あせない感動を
本当にありがとう
そして
お疲れさまでした




