「住宅ローン、変動金利のままで大丈夫ですか?」
今、この問い合わせが急増しているそうです。
理由は明確です。
9月1日の債券市場で、長期金利の代表的な指標である10年国債利回りが一時3%を突破。
1996年以来、約30年ぶりの高水準となりました。
そして、住宅ローンを抱えている人にとって、さらに気になる数字があります。
住宅金融支援機構の「フラット35」。
2026年9月の21年以上35年以下の最頻金利は、3.46%。
住宅ローンを取り巻く環境が、これまでとは明らかに変わってきています。
「変動金利が一番お得」は、本当に大丈夫なのか?
これまでの住宅ローンでは、
「変動金利のほうが金利が低い」
というのが、ある意味で常識でした。
実際、変動金利と固定金利にはかなりの差があります。
だから、
「今は低金利の変動金利を選んで、金利が上がったら繰り上げ返済すればいい」
と考える人も少なくありません。
ところが、ここで怖いのが、
「金利が上がる可能性」をどこまで織り込んでいるか
です。
住宅ローンは、数百万円ではなく数千万円単位。
しかも返済期間は35年にもなります。
0.25%程度の金利上昇なら何とかなると思っていても、
それが何回も積み重なれば話は変わってきます。
実は「金利」だけを見てはいけない
今回のニュースを見ていて思うのは、
住宅ローンを「今の金利が何%か」だけで判断するのは危険だということです。
重要なのは、
「金利が上がったとき、自分の家計が耐えられるのか」
です。
例えば、
・共働きで2人の収入を前提にしている
・子どもの教育費がこれから増える
・車の買い替えがある
・貯蓄が十分ではない
・住宅ローン以外にも借入がある
こうした家庭の場合、
「今は変動金利が安い」
だけで決めてしまうのは少し怖い。
逆に、金融資産や預貯金に余裕があり、金利上昇時にも十分対応できる家庭なら、
変動金利のメリットを活かせる可能性もあります。
つまり、
変動か固定かに絶対的な正解があるわけではない。
その人の家計によって答えが変わります。
固定金利は「高い」のではなく「保険」と考える
固定金利を見ると、
「3%台なんて高すぎる」
と思ってしまいます。
しかし、固定金利には、
将来の金利上昇リスクを金融機関側に移す
という意味があります。
例えば35年間、返済額が基本的に変わらない。
これはかなり大きな安心です。
住宅ローンを借りるということは、
「今後30年、40年の家計を予測する」
ということでもあります。
でも、30年後の金利なんて誰にも分かりません。
だったら、
「金利上昇の可能性を自分で負うのか」
それとも
「多少高い金利を払ってでも、そのリスクを固定するのか」
という考え方になります。
固定金利は単純に「高いローン」ではなく、
金利上昇に対する保険料
と考えると分かりやすいかもしれません。
住宅ローンで一番怖いのは「金利」ではない
個人的には、今回のニュースで一番怖いのは金利3%そのものではありません。
もっと怖いのは、
「今までの常識がこれからも続く」と思ってしまうこと
です。
長い間、日本では低金利が当たり前でした。
「金利はそんなに上がらない」
「住宅ローンは変動金利でいい」
という感覚が、多くの人の中に染みついています。
しかし、30年ぶりの水準まで長期金利が上昇している。
これは、
「過去30年間の感覚で、これからの30年間を考えていいのか?」
という問いでもあります。
日本銀行は2026年7月の金融政策決定会合で、政策金利を1%程度とする金融市場調節方針を維持しています。
一方で、委員の中には追加利上げを求める動きも出ています。
もちろん、今後さらに金利が上がると決まったわけではありません。
だからこそ難しい。
「得する金利」より「耐えられる金利」を考える
住宅ローンを選ぶとき、
「どっちが得ですか?」
と聞きたくなります。
でも、本当に考えるべきなのは、
「どっちが自分の家計にとって耐えられるか?」
なのではないでしょうか。
例えば、
「変動金利が1%上昇しても返済できる」
という家計なら、変動金利を選ぶという考え方もできます。
一方、
「毎月2万円、3万円返済額が増えたら生活が苦しくなる」
のであれば、多少金利が高くても固定金利を検討する意味があります。
住宅ローンは投資ではありません。
「一番安いもの」を選ぶゲームでもありません。
何十年も払い続けられることが一番重要です。
これからは「金利上昇を前提にした家計」が必要になる
今回の長期金利3%突破は、住宅ローンを組む人だけの問題ではありません。
預金金利にも影響します。
企業の借入金利にも影響します。
設備投資にも影響します。
そして最終的には、物価や賃金、企業の利益にもつながっていきます。
つまり、
「金利がある世界」に日本経済が戻っていく
ということなのかもしれません。
今までの日本では、
「借金をしても金利はほとんど気にしなくていい」
という時代が長く続きました。
これからは、
「いくら借りるか」だけではなく、
「何%まで金利が上がっても大丈夫なのか」
まで考える必要がある。
住宅ローンだけでなく、会社経営も同じです。
借入金が多い会社ほど、
「今の金利」ではなく、
「金利が1%、2%上がったら利益はどうなるか」
をシミュレーションしておく必要があります。
住宅ローンの変動金利と固定金利。
どちらが正解なのか。
答えは、たぶん「人によって違う」です。
ただ一つ言えるのは、
「今、一番安いから」という理由だけで選ぶ時代ではなくなってきた
ということ。
これからは、
「得するか」ではなく、
「想定外が起きても耐えられるか」
という視点が、住宅ローンにも経営にも必要になってくるのだと思います。