――その一言が、組織を壊すことがある

「オフレコでお願いします」

この言葉に、どれほどの人が安心し、
同時にどれほどの人が油断してきたでしょうか。

最近話題になった、政権中枢関係者による“オフレコ発言”報道。
発言内容の是非以上に、多くの人が引っかかったのは、

オフレコの場での発言が、なぜ表に出たのか

という点だったと思います。
 


■なぜ人は「オフレコ」に弱くなるのか
オフレコの場には、不思議な空気があります。

記録は残らない

名前は出ない

公式見解ではない

そう言われると、人はつい本音をこぼしてしまう。

それは政治家でも、記者でも、
そして――会社員でも同じです。
 


■これは「政治の話」では終わらない
このニュースを見て、
ふと胸がざわついた人も多いのではないでしょうか。

社内の飲み会での一言

会議後の雑談

「ここだけの話だよ」と前置きされた情報

「まさか外に出るとは思わなかった」
「悪気はなかった」

企業不祥事の多くは、
まさにこの言葉から始まっています。
 


■法的にセーフでも、社会的にアウトになる時代
オフレコ破りは、実は法的に罰せられにくい行為です。

裁判になっても、

表現の自由

公益性

知る権利

といった理由から、
報じた側の責任が問われないケースがほとんど。

でも――
処分されるのは、発言した側です。

2023年、非公式の場での発言が報じられ、
その後、職を追われた官邸関係者がいました。

違法ではなくても、
「信頼できない」という評価は一瞬で広がります。
 


■コンプライアンスが守るのは「ルール」ではない
ここで大切なのは、

「それを言ってよかったか」
ではなく
「それが外に出たら、どう見られるか」

という視点です。

コンプライアンスとは、
規程を守ることでも、マニュアルを暗記することでもありません。

人からどう見られるかを想像する力
それ自体が、今や最大のリスク管理です。
 


■「一時の本音」と「長期の信頼」
オフレコ破りが続けば、

本音は語られなくなり

意見は無難になり

組織は静かに弱っていく

これは報道の世界だけでなく、
会社組織にもそのまま当てはまります。

一時的にスッとする発言より、
長期的に守るべきものは何か。


今は、
「匿名だから」
「非公式だから」
「内輪の場だから」

それが何の免罪符にもならない時代です。

だからこそ、
オフレコを守れる人が信頼され、
オフレコを軽く扱う組織ほど、外から崩れていく。

このニュースは、
私たち全員への静かな警告なのかもしれません。