星の時間 -Stella tempus-

 いつも私の九州講演などを企画してくれている
榎枝さんと私の母は、不思議な運命の糸で結ばれていた!!

 それが判明したのは2ヶ月ほど前なのだが、
その昔、彼女がまだ高校生の頃、
ボランティアに携わっていて、
彼女の友人が「杉並老後を良くする会」という
ボランティア団体事務所に一年間、在住することとなり、
その事務所に遊びに行ったことがあるという話をしてくれた。

 「それは多分、うちの母が始めた会だと思うけど…」
 「ええ~っ!!そんな偶然ってあるのでしょうか!!」

 私と榎ちゃんは、出会う30年近く前から、
母が作ったボランティア施設を通じてニアミスしていたというわけ。

 それがきっかけとなり、
榎枝さんと母を引き合わせることになったのだ。
グループホームなどに興味がある彼女は、
母が杉並区で行ってきた老人福祉の一部始終を
インタビューすることになったのだ。

 そこで私は母の現在に至るまでの
40年以上に渡るボランティア活動の一端を知ることとなった。

 確かに私が物心つく頃から、
母は杉並区の専業主婦たちと、
ありとあらゆるボランティアを行ってきた。
かなり楽しそうに。
たまたまその中に、社会福祉学者として有名な、
一番ケ瀬靖子先生がいたものだから、
母の周りの専業主婦たちは、やがて時間を経て、
プロの老人福祉の専門家になっていった。

 驚くべきことに、当時の彼女たちの活動は、
お金を得るどころか、持ち出しの連続であったらしい。
やがてそのことに疑問を感じて、
役所を動かして、活動費のサポートを、
公的機関の予算から得ることを思いついたようだ。
しかし母を含め、母の友人たちは、
経費はなんとか捻出できたものの、
ノーギャラで活動を続けていたようだ。

 今思うと、母の周囲にいた
あの飄々としたおばさま連中は、
なかなかスゴイ人たちだったのだなぁ(笑)。

 母、私、榎枝さんという
不思議な三者会談は、とある荻窪のレストランで開かれたのだが、
その後、用事があるという87歳の母は、
私たちに別れを告げると、
さっさと一人で人混みの中に消えていった。

 そんな忙しい母に、いつもいい意味で
放ったらかしにされて育った私は、
世界のいたるところで見知らぬ人に親切にされていたりする。
もしかしたら長年に渡って母が行ってきたことが、
巡り巡って私の身を守ってくれているのではないか♪

 そんなことを考えさせられる一日だった。

 このような発想は、占星術で言うと、とても木星的かもしれない。
心のなかに象徴を作り出す衝動に木星は関わっている。
偉大なる神話や宗教を形成してきた創造力こそ、木星の働きだからだ。

 母の行ってきたことには大きな意味があると捉え、
それが私の今を支えていると考えたりする。

 木星は人をオプティミスティック(楽観的)にさせる星である。
たとえば悲惨な現実のまっただ中にいても、
ふと視点を変えて、このような発想ができるとき、
私たちは、迷路から脱出することもできるのだ。