こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

絶賛連載中の

神武征討記

今回は、大和勢力側人物から見た外伝です( ・ω・)

 

 

 

神武征討記外伝

戦鬼クロウノウシワカの誕生

 

ストーリーテラーのアメノウズメでございます。

「一人ひとりが主人公」の『神武征討記』。

今回は、大和勢力側の人物の視点からの外伝です。

主人公は、大和十二神将最強の武将・クロウノウシワカ。

クロウノウシワカは、源平合戦で活躍した源義経の前世武将です。

 

 

クロウノウシワカは、山城(京都府)の小豪族の息子として生まれました。

歳は神武様よりも5歳年下です。

時は、神武様が出雲大社学宮(イズモタイシャマナビノミヤ)に入学した年。

クロウノウシワカは7歳の子どもでした。

 

 

この年、クロウノウシワカの生まれた山城の集落は山城国内の戦に巻き込まれます。

クロウノウシワカの父は戦死。

クロウノウシワカは、母のトキワに手を引かれ、戦場を逃げておりました・・・

 

 

トキワ「ウシワカ!あと少しです!鞍馬の山まで逃げましょう!」

 

クロウノウシワカ「ははうえ!」

 

山城兵A「いたぞ!トキワだ!評判の美人だ!我が主に献上するぞ!」

 

山城兵B「ガキはどうする!?」

 

山城兵A「殺せ!」

 

 

山城兵達に捕まるトキワ。しかし、必死にクロウノウシワカを逃がします!

 

 

クロウノウシワカ「ははうえ!」

 

トキワ「逃げて!あなただけは逃げて!

私の身はどうなってもかまいません!

どうか、息子だけは見逃してください!」

 

豪族大将「お前がトキワか。なるほど。良い女だ。

俺がかわいがってやる。衣を脱げ!」

 

トキワ「ううっ・・・どうか・・・あの子だけは・・・

お見逃しを・・・」

 

クロウノウシワカ「ははうえ~~~!!!」

 

 

クロウノウシワカの目の前で豪族大将に犯されるトキワ。

クロウノウシワカが初めて知った戦場は、目の前で父が殺され、

母が犯されるという目を覆うばかりの凄惨なものでした・・・

故郷である集落と両親を戦により失ったクロウノウシワカは、

一人、鞍馬の山に入りました。

鞍馬の山には、天狗族が住んでいます。

天狗と対面するクロウノウシワカ。

 

 

天狗「お主は・・・人間の子か?人間が何をしに来た?」

 

クロウノウシワカ「うっうっ・・・」

 

天狗「泣いていてはわからんな。まあ良い。どうせ戦で追われてきたのだろう。

落ち着くまでここにおるがよい。

ちょうど、人間の娘も逃げ込んできていたところだ。

人間の子ども二人がいれば寂しくも無かろう。」

 

クロウノウシワカ「にんげんのむすめ?」

 

シラビョウシシズカ「あなたも、にんげん?」

 

 

ちょうど鞍馬山の天狗の里には、やはり戦で集落を焼き出された5歳の女の子がいました。

名は、シラビョウシシズカ。後にクロウノウシワカの妻となり、また戦いでもパートナーとなる女性です。

クロウノウシワカとシラビョウシシズカの二人は、鞍馬山の天狗達に育てられました。

厳しい修行により武芸と兵法を天狗達からたたき込まれるクロウノウシワカ。

天狗の女達から戦闘能力を上げる不思議な踊りをたたき込まれるシラビョウシシズカ。

二人は、人里から離れ天狗達からの修行を受けることで人間離れした能力を身につけていきました。

クロウノウシワカが10歳、シラビョウシシズカが8歳の頃。

天狗の里長の講義を聴く二人。

 

 

天狗の里長「我ら天狗一族は、古来よりこの地で暮らしていた。

しかし、今よりはるか昔、出雲(島根県)でオオクニヌシ様が

この日本(ヒノモト)の原型となる国作りを進めていたときに、

天津神(アマツカミ)達の地上侵攻があった。

我らの先祖も多数が天津神に殺されたが、生き残った者達が

出雲のオオクニヌシ様を頼り、天津神との激しい戦いがあったのじゃ。」

 

 

 

クロウノウシワカ「天津神というのは、何者なのですか?」

 

天狗の里長「天津神というのは、高天原(タカマガハラ)の

アマテラス大御神を長とする神々だ。

我ら土着の神々、妖怪を虐殺し、この国を奪い取った憎きヤツらだ。」

 

シラビョウシシズカ「土着の神々、妖怪を虐殺・・・たくさん、殺したの?」

 

クロウノウシワカ「天津神!その長のアマテラスは悪いヤツだ!」

 

天狗の里長「オオクニヌシ様はアマテラスに国を譲り、アマテラスの孫の

ニニギノミコトという者が天孫と称して、地上に降臨した。

しかし、ニニギノミコトが地上に降臨しても、地上は何も良くならなかった。

どこに行っても戦ばかり。

平和なのは、天孫一族の周りの少数の地域だけじゃ。

オオクニヌシ様とともに国を作った大和(奈良県)の三輪山に鎮座される

オオモノヌシ様こそが、我らの真の主。

アマテラスの子孫である天孫一族は、我らの敵じゃ!」

 

シラビョウシシズカ「天孫一族・・・」

 

クロウノウシワカ「そんな悪いヤツらは、俺がやっつけてやる!

天孫一族!アマテラスの子孫!天津神の子孫ども!

そいつらをやっつければ、きっと良い時代が来るはずだ!」

 

天狗の里長「はっははは、天孫一族をやっつけるか。

クロウノウシワカ、お主は勇ましいのう。

まあ、せいぜい、強くなることじゃ。

この乱世を生き抜ける程度にはな・・・」

 

 

立場が変われば、物の見え方も変わる・・・

天津神の一人、アマテラス様の側近であったこのアメノウズメには耳が痛い話ね・・・

どんな理想を掲げても武力を用いれば悲劇が起こる。そして憎しみが生まれる・・・

その憎しみは連鎖し、さらなる戦を生む・・・

どこかで憎しみの連鎖を断ち切らなければ、人は永遠に戦争を続けることになってしまうわね・・・

時は過ぎ、クロウノウシワカは13歳、シラビョウシシズカは11歳となりました。

この年は、ちょうど、神武王太子夫妻が新婚旅行に出かけた年です。

 

 

鞍馬山の天狗の里を出ることになったクロウノウシワカ。シラビョウシシズカがそれを見送ります。

 

 

シラビョウシシズカ「ウシワカ。気をつけてね。私も、あと数年したら、

あなたの下へ必ず行くわ。」

 

クロウノウシワカ「元気でな。シズカ。必ず迎えに来る。」

 

 

クロウノウシワカは、鞍馬山を下り、人里へ向かいました。

当時の山城(京都府)は、神武様の出雲大社学宮の同窓生であった

ヤサカギオンが父の跡を継いで王になったばかりでした。

山城には、出雲大社学宮武将クラスのカグヤツキヒメ、オンガエシオツル、

ハナサカジジロウ、イッスンボウ、チカラジロウ、ショウジョウジタヌ、

ゴンヒョウジュウ、サルカニニギリ、オムスビゴロリ、シタキリノスズメ、

ソノナアマビメ、タナバタオリヒメ、カチカチウサギメ、ネズミノヨメ

という14名もの武将が所属している強国でした。

この山城の王都周辺で、この頃、力試しに一騎打ちを挑み、刀を奪っていくいう

謎の事件が頻発しておりました。

その現場となる場所へ行くクロウノウシワカ。

そこには、巨大な体躯を持った一人の怪力無双の猛者が待ち構えていました。

 

 

ベンケイ「お主は、天孫一族の子分ヤサカギオンの手下か?」

 

クロウノウシワカ「天孫一族の子分?この国の王は天孫一族の子分なのか?」

 

ベンケイ「ふん。そんなことも知らぬのか。田舎者め。」

 

クロウノウシワカ「うむ。お前。俺ほどではないが強そうだな。

俺の子分になるか?」

 

ベンケイ「ぬかせ!俺を怪力無双のベンケイとしってほざくか!?」

 

 

クロウノウシワカに打ちかかるベンケイ。しかし、クロウノウシワカは、舞うように

ベンケイの攻撃をかわします。

 

 

ベンケイ「当たらぬ!?俺の攻撃が!?」

 

クロウノウシワカ「どんな剛力も当たらなければ意味は無い。

はっ!」

 

ベンケイ「ぐおっ!まいった!」

 

 

簡単にベンケイを倒すクロウノウシワカ。ベンケイはクロウノウシワカの臣となります。

ベンケイを連れたクロウノウシワカは、かつて故郷の集落があった場所へ行きます。

しかし、そこは一面の焼き野原。もはや、集落は存在しませんでした。

クロウノウシワカは近隣の集落で情報収集を行い、母トキワが豪族大将に犯された後に

自害したこと、父母の墓となっている場所、両親の敵である豪族大将がどこにいるかなどを

探し当てます。

墓と呼ぶには、あまりに寂しい父母の眠る地を参るクロウノウシワカ・・・

 

 

ベンケイ「そうですか・・・ここが、クロウノウシワカ様のご両親の・・・」

 

クロウノウシワカ「豪族であれば、巨大な墳墓に埋葬されてもよいもの・・・

だが、これが敗軍の将の扱いか・・・」

 

ベンケイ「クロウノウシワカ様。これからどうなさりますか?」

 

クロウノウシワカ「仇敵の居場所はわかった。豪族大将の城を攻める。」

 

ベンケイ「兵は500。我らは二人ですか。」

 

クロウノウシワカ「ベンケイ。お前は一人で何人やれる?」

 

ベンケイ「500ならば、それがし一人でも。」

 

クロウノウシワカ「ふっ。行くか。」

 

 

クロウノウシワカとベンケイの二人は、兵500が守る豪族大将の城を攻めます。

そして、たった二人で城を落とすクロウノウシワカとベンケイ。

 

 

豪族大将「ひっ、バケモノ・・・助けて、命ばかりは・・・」

 

クロウノウシワカ「俺が無念なことが何かわかるか?」

 

豪族大将「お前の父を殺し、母を犯して自死させたことを

憎んでおるのか!?」

 

クロウノウシワカ「ちがうよ。俺の両親を殺したのが、

史に名を残す名将でなく、貴様のような雑魚だったことだ!」

 

豪族大将「ぐぴっ・・・」

 

 

豪族大将の心臓を貫くクロウノウシワカの拳・・・

その光景を見ていた男と二人の少女がいました。

 

 

 

セイショウノナゴン「すっご~い!今の見ました!?

キョウノミチナガ様。」

 

ムサラキノシキブ「たった二人での城攻めなど・・・

兵法の常識を無視した男たちですわね。」

 

キョウノミチナガ「ほっほほ。これはこれは。

天下に勇士は多くとも、この男は他に類を見ぬ強者。」

 

ベンケイ「クロウノウシワカ様。何者かがおります。

豪族大将の主であるヤサカギオン王の手の者でしょうか?」

 

クロウノウシワカ「おい!貴様は何者だ!?

天孫一族の子分の手の者か?」

 

キョウノミチナガ「いえいえ。私は、天孫一族とは敵対する者でございます。

大和(奈良県)の神将が一人。キョウノミチナガと申します。

この娘達は、私の側近のムサラキノシキブとセイショウノナゴン。

あなた様の御名は?」

 

クロウノウシワカ「クロウノウシワカ。こいつは、俺の家来のベンケイだ。」

 

キョウノミチナガ「クロウノウシワカ殿。あなたは、天下最強の武人だ。

我ら大和に神将として仕えませんか?」

 

クロウノウシワカ「大和?三輪山に鎮座するオオモノヌシ様と関係があるのか?」

 

キョウノミチナガ「おお。オオモノヌシ様をご存じでしたか。

我らの主は、オオモノヌシ様のご息女であられるヒメタタライスケヨリヒメ様に

ございます。」

 

クロウノウシワカ「オオモノヌシというのは、大昔の神ではないのか?」

 

キョウノミチナガ「そうです。ですが、人間の女人を愛し、

ヒメタタライスケヨリヒメ様がご生誕あそばされました。

我らの主は、神の娘でございます。」

 

クロウノウシワカ「大和に仕えれば、悪の権化である天孫一族を倒せるか?」

 

キョウノミチナガ「天孫一族こそ、我らの宿敵。最大の敵は、

天孫4世である神武王太子でございます。」

 

クロウノウシワカ「神武・・・そいつを殺せば、世の中がよくなるのか?」

 

キョウノミチナガ「すぐにとは行きませんが、

ゆくゆくは倒さねばならぬ相手でしょうね。」

 

クロウノウシワカ「良いだろう。大和に仕えよう。」

 

 

こうして、13歳のクロウノウシワカは、キョウノミチナガにより、

スカウトされ大和勢力に属することとなりました。

そして、後に、大和十二神将最強の男と成長していきます。

 

 

そして、関東争乱の後、10年の停戦期間が過ぎた年。

神武東征編の2年前・・・クロウノウシワカ23歳のとき。

 

 

ヤサカギオン「し、信じられん・・・こんなことが・・・」

 

 

クロウノウシワカ「ベンケイ、ヨイチノユミ、

俺が危なくならない限り、手を出すな。」

 

ベンケイ「御意。」

 

ヨイチノユミ「あら。久しぶりの戦なのに、それでは、私達の出番は

無さそうですわね。」

 

シラビョウシシズカ「ウシワカ様!この舞により強化された力で、

存分に戦ってください。

戦神の舞!義経戦舞!!!」

 

クロウノウシワカ「弱い!弱い!弱い!これが、神武の子分ども!

山城の将兵どもか!」

 

クロウノウシワカ一人に倒されていく山城軍1万の兵、

そして、出雲大社学宮武将クラス出身の将達・・・

 

 

ヤサカギオン「あ、ありえない・・・

こ、こんな・・・ありえない・・・」

 

カグヤツキヒメ「ヤサカギオンさん!逃げましょう!

神武様の下へ逃れて、再起を図ります!

王であるあなたが死んではダメよ!」

 

オンガエシオツル「兵のみな!すまぬ!

ヤサカギオン王の撤退のために、壁となってくれ!」

 

イッスンボウ「みんな!生きてるか!?逃げるぞ!」

 

シタキリノスズメ「しっかりして、逃げるわよ!神武様の下へ!」

 

 

ベンケイ「ヤサカギオン王ほか、将達が逃げます。

追撃しますか?」

 

クロウノウシワカ「放っておけ。雑魚だ。」

 

 

たった一人で山城を滅ぼしたクロウノウシワカ。

その武名は、神武様と並んで日本(ヒノモト)に知らぬ者が無い存在として

鳴り響いていく・・・

こうして、神武様の最大のライバルとなる戦鬼クロウノウシワカは天下に

現れることとなった。