運命の赤い糸とか信じるタイプではないけど、短い人生の中でレパートリーとなる曲との出会いは、やはり運命といえるのかもしれない🎹
しかし、私がレパートリーとする曲たちは、自分で選んできたわけではなかった。
例えば。
「エリーゼのために」は、幼い頃からこの曲を弾きたかったという母の願望を押し付けられた形だし、「きらきら星変奏曲」は、生徒に発表会で弾いてもらうのが夢だったという先生の願いを実現した格好だ。
そして、最近レパートリーに加わった「雨だれ」は、次の発表会でショパンを弾きたいと思っていたところ「あなたに合うんじゃない?」と、これまた母から提案されたというわけだ。
とまぁ、大人ピアノを嗜む者として情けないほどの自主性のなさであります
一方、最近練習中の「月光」。
及川浩治さんのリサイタルとホロヴィッツの録音を聴き、「私も弾いてみたい」と思ったわけだが、きっかけはもっと前にあったのかもしれない…
数ヵ月前のこと。
ミューザ川崎のストリートピアノを弾いていたら、見知らぬ高齢の女性から大量の楽譜を譲り受けた(その日の顛末は過去記事にも書いています)。
そのいただいた楽譜の中に、月光のピースが入っていたのだ。
もともと家にあったベートーヴェン名曲集の楽譜で月光の練習をしていたある日、ふとこの古いピースのことを思い出した。
せっかくだし、ピースで練習してみよう
と楽譜を開き、数小節目にさしかかった時。
あれっ?なんか音が変
一音だけ違和感がある。
早速、曲集とピースの楽譜を見比べてみた。
やっぱり…
三連符のうちの一音が違う
正しいのは明らかに右の曲集の方だ。
楽譜の誤植ってよくあることらしいけど、それでもかつてこのピースを使って一所懸命に練習していた人たちのことが、何だか気の毒になってしまうのだった…